あなたの反省なんて知らない 6(fantasy)
末節
俺は一体何をしてしまったんだ。
目の前の女はいつものように実験器具を前に楽しそうに鼻歌を歌っている。
頭が痛い。
胃がムカムカする。
飲みすぎたのか。
そんなことより今の状況は良くない。
同僚の女が居るのにほぼ全裸に近い。
というか、肌着だけつけているのはもう全裸だろう。
実験室には簡易ベッドが置いてある。
その上に白衣を布団に寝ていた。
「おはようございます、伊東さん。昨日は楽しかったですね。」
はああ?!
そこからあっという間に最愛の家族から遠ざかってしまった。
めんどくさい事から逃げ回っている内に戻れない所まで来てしまった。
初動が悪かった。
ちゃんと本当のことを話せば良かった。
ちゃんと愛していると伝えれば良かった。
出会った頃は簡単に言えていたのに、俺は大バカだ。
二度と会えなくなってしまった。
残ったのはこの気持ちの悪い女とその子どもだけだった。
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