構音障害と音楽
皆さんは「構音障害」がどのようなものがご存じでしょうか?
構音障害とは言語障害の一つです。
言葉を正確に発音する能力が失われる障害で、正しい発音ができないため、特定の音がうまく出せないなどの症状が出ます。
原因によっては咀嚼嚥下がうまく出来ずに誤嚥につながることもあり、気管支炎を起こすこともあります。
構音障害にはいくつか種類があるのですが、高齢者に大きく関わる「運動障害性構音障害」についてみていきましょう。
運動障害性構音障害とはパーキンソン病、脳腫瘍、脳血管障害、外傷などの理由により、発声発語器官に異常が起きる障害です。
発声発語器官に異常が出るということは、唇や舌などの動きが悪くなるなどの理由で言葉が不明瞭になり、話す速度が遅くなり不自然な抑揚になるなど、正しい発音が出来なくなるということです。
そして構音障害の方が全員同じ症状ではなく、麻痺の状態や病気の種類によって状態が変わります。
では構音障害に対して音楽療法はどのような効果があるのでしょうか?
運動障害性構音障害では唇、舌、口蓋、声帯などの発話に使われる筋肉を制御する脳の部位が損傷しているので、言語療法が効果的とされています。
構音障害の方の機能回復、維持訓練を行う言語聴覚士などの専門家は
呼吸、発声、共鳴、調音の順に訓練し、最終的には本人が自分で声の調子などを調整できるようにするのが目的にすることが多いです。
この行われている訓練内容、歌に応用できるのではないでしょうか。
歌を歌うということは脳や筋力機能の活性化につながります。
心肺機能の維持、向上にも効果があり、さらにプログラムなどの内容の工夫により口を大きく動かすことが出来、音程やリズムを正しくとろうと脳や筋肉が動きます。
このことは構音障害の機能回復、維持に効果的だと言えます。
歌う時に使う筋肉は食べ物を咀嚼し、飲み込む筋肉でもありますのでつまりは誤嚥防止につながり、
歌は自然と深い呼吸を促し、酸素を体内に取り入れることが出来るので血液循環も良くなります。
歌うことで唾液量も増えるので口腔トラブル防止にもなり、表情筋も刺激される効果が期待できます。
より歌うことの効果を意識したセッションを行ってもいいかもしれません。