見出し画像

少し後と、しばらく後の話 | 父とのこと #2

それからたぶん、少し後のこと。

家族でどこかに出かけていた。
暗かったから、どこかに行った帰りの夜?

父が少し先を歩き、わたしと母と弟は少し後を歩いていた。

弟は母と手をつないで、嬉しそうに何かを話していた。
最初は、わたしも母と手をつないでいたかもしれない。

母が、
「ほら、お父さんひとりで歩いてるから手をつないであげて。」
というようなことを言った。

わたしは父に追いついて、手をつないだ。


違和感しか感じなかった。


少しの間、手をつないでいた。
落ち着かなくて、手を離した。


違和感しか感じなかった。


***


あるとき、うちに友だちが遊びに来ていた。
母はおらず、父だけが隣の部屋にいた。

何の遊びだったのかよく分からないけど
照明をつけたり消したりする紐のまわりをまわって遊んでいた。

何の遊びだったのかよく分からないけど
ものすごく楽しかったことを覚えている。

父が隣の部屋から顔を出した。

寝てるから静かにして、というようなことを言われた。

いったんは遊びをやめたような気がする。

でも、子どもだから。

ものすごく楽しいこと、は、
いつの間にか、また、やってしまう。


その次に覚えているのは、父を見上げている映像。

父の足が上がっている。


それは、たぶん、父に、蹴られた直後。



truthseeker08によるPixabayからの画像

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?