【DDLC/ドキドキ文芸部】モニカを解釈してみる
※ネタバレが多大に含まれます
※この記事は私なりの解釈であり、正当性はありません
※解釈を押し付ける意図はありません
※特定のキャラクターを批判する目的はありません
久々にDDLCをプレイし直し、当時とはまた違った視点でモニカを捉えたため記しておきます。
●区別のためサヨリの幼馴染の主人公をAと呼称し、画面の向こうのあなた(プレイヤー)をPと呼称します。
①モニカのいる世界って……
端的に言えばサヨリ、ナツキ、ユリはAに恋愛感情を抱くようプログラムされたbot。
モニカはそれに気付いてしまい、ゲームの中で唯一自我を持ったキャラクターである。
建前は恋愛ゲームだからこそ特定のヒロインの好感度を上げるとスチルが見れたりヒロインとイチャコラできる。
しかしモニカだけは初めから攻略対象外として設定されているゲームの世界。
主人公Aの立場に置き換えると、ヒロインはAを認識していつつも好感度を上げる手段がなく、Aを置き去りにして文芸部で遊んだり騒いだり時には喧嘩したり。
だけどヒロイン達はA以外の男性に恋をしてしまうようにストーリーが組まれている。
AもPも置き去りにされたままストーリーが進んでいく。
そんな恋愛ゲーム、どこが楽しいですか?
モニカはヒロインの立場として、そんな環境にただ一人置かれているわけです。
プログラムを弄ってでもこんなくだらないものをぶち壊してやろう。
そう思ってしまうのは至極当然であると考えます。
恋愛ゲームのヒロインなのに自分だけ攻略対象外で、更に他のヒロイン達はbotだということに気付いているのですから。
②A→モニカ
ある意味ここが一番難しいところでもあります。
Pがモニカをどう思うかはさておき、Aはモニカに対する選択肢が必要最低限しかなく、モニカへの態度や感情も曖昧です。
メタ的なことを言うとPを通してAが動くわけなので、選択肢が用意されていない以上当然だとはいえますが。
とにかく、Aは文芸部の部長・モニカの指示に従って詩を書いたり文化祭の準備をするだけで、キャラクターとしてのモニカでなく自我を持ったモニカのことはもちろん見ていないわけですね。
モニカが頻繁にPに対して遠回しにメッセージを送り続けているのにもかかわらず、Aは気付きません。
それに関してはAもPに操作されているだけのbotと言えるでしょう。
ゲームの仕様上Pはモニカに対する選択ができない、Aは部長としてのモニカとしか接することができない。
これはDDLCだけでなく他の数多の恋愛ゲームでも同じことが言えます。
プレイヤーは主人公に感情移入してお気に入りのヒロインを攻略するために試行錯誤し、デート先の選択肢として「海に行こう」「遊園地に行こう」「動物園に行こう」等が表示され、ヒロインが気に入りそうなものを選択する。
そして「遊園地かぁ!とても楽しそうね!」と喜んでもらえるのも「動物園ってなんか臭そうだし嫌だわ……」と断られるのも最初からキャラ毎にプログラムされた結果。
しかし、そういったゲームはヒロインがbotだと分かっていてもプレイヤーが感情移入して「ヒロインともっと恋愛したい!」と思えて楽しめるように作られています。
でも、もしヒロインが実はbotでなく自我があったら? プレイヤーの存在を認識していたら?
モニカ……というかDDLCはそういった視点での恋愛ゲームを見せてくれます。
③モニカ→A
モニカもAのことは見ていません。
文芸部の部長だから、キャラクターだからモニカはAに対して他ヒロインの前ではAを見て接しているように振舞ってはいます。
しかし、他ヒロインが席を外したりしている間はモニカ自身の言葉としてAに話しかけています。
正確には言葉として、詩としてPに対して何度もメッセージを送っています。
「私は他のヒロインとは違う存在よ。私はP君と同じ。botではないのよ?」
と。
Pに操作されているだけのAはそのメッセージの意味には全く気付きません。
「すごくいい詩だな!」と褒めるだけのbot。
それなら、他のヒロインを狂わせて追い出してしまえば私とPくんだけの空間を作れる?そうしたらPくんは本当の私に気付いてくれる?
二周目からはこのような思考が前面に出てきます。
まあモニカはスクリプトを弄ることに関しては上手くないのでおかしな演出が頻出しますが、モニカがメッセージウインドウの前に現れたりモニカに対する選択肢を用意し(しかもPが強制的にモニカを選択してしまうように)主張が激しくなっていきます。
ユリは一周目で家に招いた時点でリスカしていることを示唆する表現があったり、性的な感情になるアロマを炊いたりと、モニカがスクリプトを弄らなくとも狂気に溢れたキャラではあります。
最終的にはAに対する恋心と狂気を抑えられなくなり、腹を刃物で刺して自殺してしまいます。
モニカはそれについて、
「ユリの執着気質を少し増幅させるつもりがやりすぎちゃった」と語りますが、それは本当にスクリプト弄りをミスした結果なのか、それとも故意なのかは定かではありません。
ただ、Pを独占したいモニカにとっては後者であっても不思議ではありません。
④モニカの求めているもの
これは本当に個人的な捉え方になりますが、三週目モニカは「大好き」「愛してる」といった言葉を何度も繰り返しますが、それ以上にモニカ自身の思想をPに対して語っています。
ですから、モニカがPに求めているのは恋愛ではなく「感覚の共有」なのかと。
よく考えてみれば、一周目の時点でモニカは詩の共有、文芸の楽しさの共有等、やたらと「共有」に執着しているように見えました。
そして、Pもこれがゲームなんだと理解しながら決められたストーリーを歩むだけの存在。
サヨリが自殺しても「サヨリはキャラクターで、こういうストーリーなんだから仕方ない」と諦めを持つことしかできない。
モニカの立場と一致しています。
だからこそ、モニカは同じ立場の者同士で感覚を共有したかったのではないかと。
唯一の同じ立場だからこそ大好きで愛している。
モニカには画面の向こうのPの性別も年齢も性格も、何もかも分からないのでモニカの「大好き」「愛してる」を恋愛感情として捉えるには無理があるのでは、と。
二周目ユリルートで「モニカちゃんは私に嫉妬しているのですか」と問われても、モニカは困った顔を見せるだけで何も反論できなかった。
もしモニカが嫉妬していないなら、モニカは「嫉妬なんてするわけないでしょ?だって相思相愛なのはAくんとユリだもの!」とからかって見せる余裕のあるキャラだろうと思います。
反論できなかったのはユリの言葉が図星だったから。恋愛ゲームのプログラムとして主人公Aと恋愛できているユリに嫉妬しているから。
ただ、ユリは「Aさんが私に夢中になっていて悔しいのでしょう?モニカちゃんもAさんのことが好きだから嫉妬しているのでしょう?」といった意図であると思います。
しかし、モニカとしては「私はユリと違って初めから攻略対象のヒロインじゃないの、だから悔しいの」といった意味で嫉妬しているのでしょう。
最期はP自身の手でモニカを削除します。
せっかく二人きりになれたのに。何故こんなことをするの。とモニカは怒りを露わにしますが、最終的には感謝の言葉を述べて消えます。
だって、Aとモニカが接することはできてもPとモニカが接することは一生叶わないのですから。
モニカがPと関わりたいという唯一の望みすら叶わないのですから、これ以上モニカが残っていたところで何も報われませんからね。
モニカは「私のルートを用意しなかったなんて」とゲーム作者のことまで批難します。
Pはモニカに対して何もできない、モニカもPに対して何もできない。
モニカの思想や愛情を聞いても、プレイヤーとしてのPが何かを感じることが出来てもモニカに伝える手段は最後までないのです。
できることといえば、モニカにだけ用意されていなかったモニカルートの創作やモニカが言っていた通り私服のモニカを描いてあげることくらいでしょう。
それもゲーム内のモニカには届かないのですが……
本当に、本当に何一つ報われなかったキャラクターだと思います。
⑤Just Monika
Just Monika
「電気式華憐音楽集団」の「時果つる夢」の歌詞が本当にモニカさがあるので気になる方はぜひ聴いてみてください。
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以上、本日のモニカちゃんの執筆アドバイスでした!ご清聴、縺ゅj縺後→縺?#縺悶>縺セ縺励◆