【SIGDeMO2022に参加】衣服を引っ張る触覚を用いた小型デバイスによる姿勢誘導システム
はじめに
杉浦研究室学部4年の吉村です。10/6,7に北海道阿寒湖で開催されたSIG-DeMO-14に参加しました。今回は「衣服を引っ張る触覚を用いた小型デバイスによる姿勢誘導システム」と題して発表させていただきましたので、ご報告させていただきます。
研究の概要
人は一日の大半を座って過ごすことが多く、猫背や反り腰のような「悪い姿勢」は、疾患を引き起こしたり疲れを増大させたりしてしまう恐れがあります。
そこで、触覚を用いてデスクワーク中の姿勢の改善を促進することを考えました。具体的には、モーションキャプチャによって人の動きを認識し、その位置によってサーボモータを回転させることによって誘導する方向を提示しました。人の動きが画面上のアバターなどに投影されているのを見たことがあるでしょうか?モーションキャプチャは、人やものにマーカと呼ばれる反射材をつけることで、その動きを認識できるというものです。
本研究の段階では1次元で方向を提示することを実装したため、衣服を左右方向に引っ張りました。先ほど紹介したサーボモータの先にクリップを取り付けて衣服を引っ張れるようにし、実験内では目標位置をランダムに設定して誘導しました。
この触覚提示と比較するため、画面上に現在位置と目標位置とを点で表示して視覚提示を行いました。その結果、視覚提示の方が短い時間で誘導できるという結果が得られましたが、触覚提示でもリアルタイム性が必須な場面でなければ十分に使用可能だと考えられる程度の時間で誘導することができました。また、触覚提示の方が時間がかかってしまった理由として、システムの処理量が多いことが挙げられます。そのため、負担を減らせるような手法の考案やプログラムの作成が今後の課題の一つです。
また、引っ張りを提示する際に、首に付けるアクセサリーであるチョーカーにサーボモータを取り付けていました。すると、引っ張るときに首側に反力が生じ、どちらに引っ張られているかが分からなくなってしまうという意見がありました。したがって、反力を軽減する、もしくは反力が生じても気づきにくい提示場所を模索していくことが必要だと考えています。
当日のフィードバック
発表に対して、様々なご意見をいただくことができました。例えば、衣服を引っ張るときに生じてしまう反力を受け止める必要があり、引っ張りを提示する場所を提案していただきました。また、単に姿勢が悪いという気付きを与えるのか、どれくらい移動する必要があるかを量的に示したいのか、といった点でもアプローチの仕方が変わるというお話もありました。他にも具体的な意見を数多くいただけたのでとても有意義な時間となりました。
感想
初めての学会参加となりましたが、想像していたよりもフランクに多くの意見が飛び交い、楽しい時間を過ごすことができました。また、他の発表も拝聴し、その新規性や発想に驚かされるとともに、とても刺激になりました。