【SIGDeMO2022に参加】マスクの紐の入力インタフェース化に向けたジェスチャの検討とプロトタイプの開発
はじめに
こんにちは、杉浦研究室修士1年の山本匠です。10月6日、7日に釧路市阿寒湖まりむ館で行われた第193回ヒューマンインタフェース学会研究会「人工現実感,エンタテインメント,メディアエクスペリエンスおよび一般(SIG-DeMO-14)」において、「マスクの紐の入力インタフェース化に向けたジェスチャの検討とプロトタイプの開発」というタイトルで発表いたしましたので、参加報告させていただきます。本研究はNTTの正井克俊先生、シドニー大学のAnusha Withana先生との共同研究です。
研究の概要
この研究はFIT2022で発表した「マスクの紐をインタフェース化する手法」から継続した研究です。以前の発表した内容についてはこちらの記事をご覧ください。今回の発表した内容は以前の内容に、ユーザ調査によってジェスチャ定義を行うGesture Elicitation Studyを加えた内容となっています。
ジェスチャ識別研究におけるジェスチャの決め方
マスクの紐を用いたジェスチャによる入力手法を研究していましたが、そもそもジェスチャを識別する研究では、識別するジェスチャをどうやって決めるべきなのでしょうか?決め方としては、以下の二つがあります。
システムの設計者や研究者自身が決定する手法
ユーザ調査(User Elicitation Study) によって決定する手法
このユーザ調査によって決定する手法は、実験被験者に対してある特定の操作(例えば、音量を上げる、ライトをつける、といったもの)を与え、その操作に関して適切なジェスチャを考案してもらいます。これを複数人の被験者に関して行い、基本的には最もよく提示されたジェスチャを、その操作を行うためのジェスチャとするものです。
2009年にWobbrockらによって発表された"User-defined gestures for surface computing"[1] 以降、様々な対象に対してEliciation Studyが行われています。Morrisらによって行われた研究[2]ではHCI研究者が考案したジェスチャよりもElicitation Studyによって考案されたジェスチャの方が好ましいという結果が出ています。
私の研究では20人の被験者に対して日常のタスクに関する21の操作を与え、ジェスチャセットを決定しました。提案されたジェスチャの種類別の割合や、使用している紐の箇所などを調査しました。
結果としては、タップ、タッチ、ひっぱる、はじくなどのジェスチャが最終的なgestureセットとなりました。
当日のフィードバック
今回の研究では日常のタスクに関するジェスチャを与えましたが、日常のタスクよりもマスクを使用しているからこその操作にすると面白いのではないかというコメントを頂きました。また、デバイスの重量や着用感に関する質問を貰いました。
感想
初めて学会発表で出張をしました。昨年まではコロナで行けるはずの出張が延期になっていたりしたので、今回先生や同期、後輩と対面で参加することができてよかったです!阿寒湖の湖畔はとても綺麗な場所でした。