Lawyers for Climate Justice (LCJ)

気候変動の問題に法律の力でインパクトを与えることに取り組む弁護士のグループです。 メンバーの活動の一端をご紹介するとともに、気候変動に関連する国内外の法制度や判例の考え方について、わかりやすく、かつ正確な情報をお届けしていきます。 講演や執筆などのご依頼もお待ちしております。

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気候変動の問題に法律の力でインパクトを与えることに取り組む弁護士のグループです。 メンバーの活動の一端をご紹介するとともに、気候変動に関連する国内外の法制度や判例の考え方について、わかりやすく、かつ正確な情報をお届けしていきます。 講演や執筆などのご依頼もお待ちしております。

最近の記事

【事例紹介】気候シニア女性の会 vs スイス政府(後編)

小出 薫(弁護士)  前編では、スイスの気候シニア女性の会によるスイスの当局(DETEC)への申立てや、連邦行政裁判所での訴訟について紹介しました。  後編では、その後、欧州人権裁判所で示された判断について紹介します! 前編はこちら↓ 1.欧州人権裁判所への提訴  国内での申立てや訴えが認められなかった気候シニア女性の会と4人の個人会員は、2020年の終わり、欧州人権裁判所に提訴しました。  原告らは、スイス政府が、欧州人権条約2条や8条から生じる保護義務を果たしてい

    • 【事例紹介】気候シニア女性の会 vs スイス政府(前編)

      小出 薫(弁護士) 1.「気候訴訟」とは  あなたは、「気候訴訟」について知っていますか?  気候訴訟は、国、企業や、企業の役員に対して気候変動対策を求めたり、いわゆる気候ウォッシュ(気候変動対策をしているかのような見せかけのPR)を是正するように求める裁判のことです。 2.世界で生まれている「気候訴訟」の潮流  これまでに、世界各地では、2,600件を超える気候訴訟が提起されています。  このうち半分ほどは、「訴訟社会」と言われるアメリカで提起されています。しかし、

      • いよいよ日本でも始まった「若者気候訴訟」!

        増本志帆(弁護士) 若者たちが発電事業者を訴える2024年8月6日、15歳から29歳までの16人の若者たちが、名古屋地方裁判所に新たな気候訴訟を提起しました。 被告として訴えられたのは、JERAや関西電力等、石炭火力発電所を保有する発電事業者10社です。若者たちは、被告の事業者らに対し、現在の世界的なコンセンサスである1.5℃目標と整合する水準までCO2排出量を削減することを求めています。 若者が中心となって本格的な気候訴訟が提起されたのは、日本で初めてのことです。

        • グリーンウォッシュと火力発電の広告について考える②

          小島寛司(弁護士・一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)事務局長)  電力会社によるグリーンウォッシュ広告   前回の記事(https://note.com/lcj_japan/n/nd652969c503d)では国際的に「グリーンウォッシュ」に対する批判が強まっていることをご紹介しました。  では、日本ではどうでしょうか。  石炭火力発電所を保有する企業による広告を例に考えてみましょう。  化石燃料の中でも特に多くのCO₂を排出する石炭を燃料として使用する石炭火

          再エネ地域共生促進税の導入

          渡部貴志(弁護士) ⑴ 前提  日本中の各地で森林を伐採して再生可能エネルギー発電施設を設置して斜面崩壊などが発生する事例が頻発しています。  山林の斜面を削って設置された大規模な太陽光発電は、森林の破壊や動植物の生息環境に影響を与えるだけでなく、土砂崩れや洪水の拡大という災害の危険をもたらしています。また、高さが数百メートルに及ぶ大規模な風力発電は、その巨大な羽を運ぶために大規模で直線的な林道を必要とし大規模な自然破壊を伴うだけでなく、景観の悪化という問題を生じさせてい

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          中小企業経営にとっての気候変動対策とは?

          増本志帆(弁護士)  気候変動に配慮しないことが経営リスクに深刻な気候危機の進行を背景に世界が急速に脱炭素へと向かう中、気候変動に配慮した経営を行わないことは、企業にとっての経営リスクになりつつあります。 サステナビリティ情報開示の流れ 現在、上場企業を中心に進んでいるのが、気候変動を含むサステナビリティ情報の開示です。 プライム上場企業には、2021年のコーポレート・ガバナンスコードの改訂により、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に対応する形での気候変動

          中小企業経営にとっての気候変動対策とは?

          グリーンウォッシュと火力発電の広告について考える①

          小島寛司(弁護士・一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)事務局長) 1 日本の政策が「グリーンウォッシュ」と批判される  2023年12月3日、ドバイで開催中のCOP28において、日本は4年連続となる「本日の化石賞」を受賞しました。  化石賞は、COPの開催期間中、世界最大の環境NGOグループ「Climate Action Network(CAN:気候行動ネットワーク)」から、その日の交渉で気候変動対策に後ろ向きな言動をとった国に贈られる不名誉な賞です。  CAN

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          いま世界で提起されている「気候訴訟」とは?

          小出 薫(弁護士) 「気候訴訟」(Climate Litigation)とは、気候変動の深刻化に歯止めをかけ、持続可能な未来を目指す訴訟です。 誰に対し、どのような訴えをするのかによって、いくつかの類型があります。 この記事は、こんな方におススメです▼  ①深刻化する気候変動に関して社会的にアクションしたい人  ②企業において、サステナビリティ分野を担当している人  ③金融機関やVCなどに所属し、環境投資について検討したい人 1.気候変動とは 気候変動(Climate

          いま世界で提起されている「気候訴訟」とは?

          弁護士が見たCOP28inドバイの様子

          喜多啓公(弁護士) 1 気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28ドバイ)への参加報告 2023年11月30日から12月13日まで、アラブ首長国連邦のドバイにて、気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が開催されました。この会議は、1992年の最初の国連気候変動協定(リオ会議)以来、毎年開催されています。 この度、日本弁護士連合会 公害対策・環境保全委員会 気候変動対策プロジェクトチームから、和田重太弁護士(大阪弁護士会)、青木良和弁護士(兵庫県弁護士会)、喜

          弁護士が見たCOP28inドバイの様子