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Local Coop 水窪 採用募集スタート

こんにちは!Local Coop 水窪採用担当です。

お待たせしましたが、いよいよLocal Coop水窪の採用募集がスタートしました。静岡県浜松市天竜区水窪町で、地域の人たちと自治の仕組みをつくり、自然資本を活かした事業を開発するメンバーを募集します。
この記事では、
「どういったことを目指しているの?」
「どんな人材を募集しているの?」
そんな質問に応えていきながら、改めてLocal Coop採用募集について詳しく解説させていただきたいと思います。
>>募集の詳細はこちらのサイトをご覧ください!


水窪で私たちが成し遂げたいこと

本プロジェクトの舞台となる水窪。森林面積が96%を占める、いわゆる「山村」です。

水窪全景 photo by 山﨑洸一

山村と聞くと多くの人は「自分とは関係ないよな…」と思われるかもしれませんが、大部分を山林が占める日本の歴史を振り返ると、実は「山村」は多くの人々の生活とつながっている場所でした。燃料となる薪炭林や建築材、薬草など、かつての暮らしを支えるあらゆる資源は山々から得ていました。自然が蓄えてきた多種多様な“生活の素材“が眠っていた場所、と言ってもよいかもしれません。
深い森が雨水をゆっくりと蓄え、きれいな水として川に注ぎ、人里を潤してきたように、私たちが考える以上に「山村」は都市部の生活をも支えてきました。

水窪で採れるしいたけ photo by 山﨑洸一

ところが、高度経済成長や都市化の流れに伴い、山を手入れし利用してきた人々は町や都市へ移り住みました。山から生まれる恵みは工業製品に取って代わられその価値を失いました。資産だった山は、価値のない負債となりました。その結果、山林は手つかずになり、荒れてしまったところも少なくありません。

過疎化による人口減少、高齢化など、課題が山積みの「山村」。年々集落の消滅も進んでおり、日本全体の傾向から見ても、「山村」は非常に厳しい環境に置かれています。
実際、昭和30年代には1万人を超えていた水窪の人口も現在は約1,600人まで減少しており、特に0~14歳の年少人口は全体の3%にまで落ち込んでいます。

水窪町の人口推移(昭和25年~令和5年)

こう聞くと、このように考える人もいるかもしれません。

「山村は現代社会において役割を終えた場所なんじゃないか?」

しかし、果たして本当にそうなのでしょうか?
たしかに今、山村と私たちの生活のつながりは薄れています。木材はその多くを海外から輸入し、山の恵みを直接享受する機会もほとんどありません。
けれども、長い歴史のなかで、今の状態が常に続くとは誰にも言うことはできません。「価値」とは決して固定的なものではなく、社会が決めるものです。そしてその社会も、決して不変のものではありません。技術や社会の進展に合わせて、私たちは、生活のあり方や自然との付き合い方を柔軟に変えてきました。技術や社会の変化によって、私たちの暮らしや自然との付き合い方は幾度となく変わってきました。いま当たり前と思われている仕組みや常識も、別のパラダイムのもとでは通用しなくなるかもしれないのです。

こう考えると、今の私たちを取り巻く環境の変化は、山村という存在を見つめなおす新たな機会を提供しているようにも感じます。

森林資源から得られるエネルギーや建材は、気候変動という大きな流れの中で新たな価値が見出されるかもしれません。「水窪じゃがた」や「栃もち」など水窪には伝統的な食文化が残っていますが、こうした食文化も、地域固有のストーリーとの結びつきからその価値が見直され始めています。また、他地域同様水窪でも、昨年の小学校入学者が0人になるなど学校の存続を懸念する声も聞かれますが、こうした少人数の教育環境も、地域の関係性を活かしたプロジェクト型の探究学習などによって最先端の教育への生まれ変わるかもしれません。

水窪じゃがた photo by 山﨑洸一

私たちは、こうしたパラダイムシフトの時代にこそ、山村が新たな価値を創出するチャンスがあると考えています。そして水窪は、まさにその可能性を追求していくのにふさわしい場所。以前の記事でも紹介したとおり、水窪という場所は、神事や祭り、地域の人たちの生きる知恵が今なお根強く生き残りながらも、新しいものを受け入れていく柔軟性があります。また、山あいのロケーションながら、養蚕・製糸業、林業、ダムや鉄道の建設など、人々と時代が行き交う交錯点でもありました。自然あふれる奥深い山にありながらも、遊び心を忘れず、この地域での生活を楽しもうとするしなやかさを持つこの地域だからこそ、山村を新たなかたちで定義することができる、そう感じています。

私たちは、これから水窪で描こうとしているこうした新たな山村のビジョンを「山村創造性主義」という言葉で表現しています。循環する自然資本と増幅する社会資本を連動させながら、山村を再び「創造」の場所へと変えていく。これこそが、私たちが水窪というフィールドで達成したいことなのです。

Local Coopとは?

こうした理念を実現するためには、地域資源や地域の人びとの知恵とそれらを新たなパラダイムの中で活かしていこうとする地域内外の人材や企業をつないでいく必要があります。
また、そこから得られる自然資本・社会資本を地域の中で循環・増幅させていくためには、それらを自分たちで管理できる仕組みも必要になります。

そこで登場するのが、本プロジェクトが目指す「Local Coop」という仕組み。

Local Coopの詳細はこちらをご覧いただければと思いますが、Local Coopを進めることにより、住民が主体的に関わり合い、企業や自治体とも協力しながら、自分たちの地域を“自分ごと”として動かしていく基盤を構築していきます。

そういわれてもピンと来ないな…という方もいらっしゃると思うので、Local Coopがすでに実装され始めている他地域の事例を紹介したいと思います。
例えば、奈良県奈良市月ケ瀬地区では、郵便局の既存の物流網を活用し、都市部から離れた地域での買物を可能にする「おたがいマーケット」や、郵便局の「ぽすちょこ便」を活用し、地域の農産物の市街地への流通を促進するサービス「大和高原直送便」を実現しています。地域住民が受取先拠点に赴くなど、ちょっとした地域の力もお借りすることによって、民間企業との連携した仕組みが実現できています。

「おたがいマーケット」のスキーム図
注文した商品を引き取りに来た利用者 by 奈良新聞

他にも三重県尾鷲市では、伝統的な尾鷲ヒノキの林業が行われてきた人工林の水脈を復活させようと、地域の人が企業の方々と一緒になりながら「生物多様性の森づくり」を行っています。たくさんの個人や企業が立場を越えて森づくりのためにともに汗を流すー小さな一歩かもしれませんが、こうした「自治」を重ねていくことによって、少しずつ森も生まれ変わろうとしています。

今回募集するメンバーは…?

そして!
この「自治」の仕組みの実装を進めていくことが、今回募集するメンバーの大きな役割です。

プロジェクトの初期のゴールは、外部の人材とも連携しながら関係人口を増やし、地域資源を活用した各種プロジェクトを構築することで地域を持続可能なものにしていくことにあります。そのため本採用では、「自治」のしくみ全般を構築する人だけでなく、関係人口の滞在拠点の立ち上げなどを通じて関係人口の創出を担う人や、地域の資源を活用して新たな事業開発を行う人を募集します。
実際に業務を行う際は、新たに立ち上げる「Local Coop水窪」のメンバーとして自治体とも連携し、住民参画の促進や地域団体との協力も同時に進めていくことを想定しています。

①自治のしくみをつくる人(チーフコーディネーター)
地域住民が主体となって、これからも続いていく街づくりを実現するためには、オープンな対話の場を設け、そこから生まれる多様なアイデアを実行に移す仕組みが欠かせません。そこで求められるのが、地域内外の人材や企業、自治体をつなぎ、“地域を自分ごと”として動かす「Local Coop水窪」を立ち上げ、運営していく役割です。
「自治のしくみをつくる人 」は、まさにその中心的存在。
水窪地域で活動する団体との連携や自治体との調整、企業との協力体制の構築など、多方面のステークホルダーをつなぎ合わせる「つなぎ役」として活躍します。また、住民参加によるプロジェクトをマネジメントしながら、自然資本(森林など)や社会資本(祭りや文化など)の活用方法を検討し、持続可能な自治の仕組みを形にしていくのも大切なミッションです。持続可能な街づくりに向けて、Local Coop水窪立ち上げの発起人として挑戦したい方を募集しています。

②自然資本を活用し、地域の可能性を拓く人(アソシエイトコーディネーター)
山村を支えてきた自治会や町内会などの機能は、人口減少とともに縮小しつつあり、地域全体の活力が失われつつあります。こうした背景を踏まえると、これからは地域に暮らす住民と外部の人材が協働し、新たな価値を生み出す取り組みが必要になります。「自然資本を活用し、地域の可能性を拓く人」は、水窪が誇る森林や在来種といった自然資本に加え、長い歴史の中で培われてきた祭りや文化、その他の社会資源を活かしながら、新たな人の流れやビジネスの機会を創出する役割を担います。
具体的には、地域内外の人材が滞在できる拠点をつくること、水窪の自然資本や文化資本を活用しながら関係人口を増やすための企画や事業推進を煤得ることに携わっていただきます。

いずれのポジションも、新たに立ち上げる「Local Coop水窪」のメンバーとして自治体と連携しながら、住民参画の促進や地域団体との協力を同時に進めていくことを想定しています。都市部とは異なる山村のフィールドだからこそ生まれるアイデアやつながりを大切に、地域の未来を共につくっていきましょう。

募集詳細は下記のウェブサイトをご覧ください。

お読みいただき、ありがとうございました。
Local Coop水窪のnoteでは、今後もプロジェクトのお知らせなどを発信していきます。ぜひ今後の活動にご注目ください。(フォローいただけましたら励みになります)



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