【foriio × TEAMKIT 連携記念対談】フリーランスが自分を最大化できる仕事をするために
独立準備を進める際、まず用意しておきたいのが「ポートフォリオ」です。しかし、ITフリーランスならまだしも、Web界隈以外のフリーランスにとっては、これが時に難関となります。
サーバー契約、サイトの立ち上げ、更に完成しても更新をしていかなきゃいけない…はっきり言って、めんどくさい!
そんな声をまるっと解決してくれるのが、クリエイターのためのポートフォリオ作成サービス「foriio」。
今回は、foriioとTEAMKITの連携を記念して、foriioを提供するの株式会社1ne studio代表・山田寛仁さんと、TEAMKITを提供する株式会社Lbose代表・小谷草志の対談記事をお届けします。
ポートフォリオをすべてのクリエイターのものに
小谷草志(以下、小谷):プロジェクトメンバー募集サービスである「TEAMKIT」は、プロフィール機能にもかなりこだわっているのですが、山田さんは、どういった経緯で、仕事を可視化したものであるポートフォリオのサービス開発に行き着いたのでしょうか?
山田寛仁さん(以下、山田):僕はもともと広告制作会社のデザイナーとして、2年半ほど広告の仕事に携わっていました。そのなかで、撮影現場に行き、メイクさんとか、衣装さんとかにお会いしていたんですけど、そういうクリエイターの方々ってポートフォリオを手で作っていたんです。
広告の仕事って、たくさんの人の手が加わっているんですけど、完成したデータは一部の人間しか持っていないんです。なので、どうするかというと、自分が関わった撮影の写真が掲載された雑誌を書店で探して、切り抜いて、スクラップブックをポートフォリオにするしかない。
それが2008年頃の話です。その頃って、エンジニアってブラック企業で働くプログラマーという印象でとらえられていました。いまはどうでしょう?高給取りで、どこでも働けて…華やかなイメージがありますよね。それは、彼らが、自分たちで働く環境を変えるチャレンジをしたからです。
10年経って、僕も広告業界にWebデザイナーとしてもう一度戻るときがきました。だけど、エンジニアはあんなに変ったのに、現場で働いているクリエイターの環境は少しも変わっていなかった。
そこで、あるクリエイターさんに無償でポートフォリオサイトを作ってあげたんです。それが広まって、いろんな人から「私のサイトも作ってほしい!」と頼まれました。たくさんの人が欲している、だけど、僕ひとりで全員のものを作る時間はない…そこで、「それならポートフォリオサービスを作ってしまおう!」と。
小谷:そうやってサービスが誕生したんですね。foriioのほかにもポートフォリオ作成サービスはいろいろあるかと思いますが、foriioはどのような点が優れているのでしょうか?
山田:現場で僕が実感したのが、クリエイターさんの多くがデータの扱いに不慣れという点でした。なので、foriioでは、どんなファイル形式であっても、画像にして表示されるようなシステムにしました。データを変換してからアップする、という面倒な作業が省かれています。
複数のクリエイターさんが関わっている作品もあるので、自分がこの仕事にどのような関わり方をしたのかクレジットを明記できるようになっています。そうすることで、スキルのアウトプットが的確に表現できるわけですね。
また、「制作ノート」という形で、どのような想いでその仕事に携わったかなど、テキストで伝えることも可能です。
僕は、現場で働くクリエイターの姿から、このサービスを作るに至りました。それまでもたくさんのポートフォリオ作成サービスはありましたが、それらは「パソコンが使える」ことを前提で作られていました。だけど、クリエイターによっては、そうでない人もたくさんいます。
とにかく、foriioはすべてのクリエイターがつかえることを目指して作りました。
いまでは、SNSをポートフォリオ代わりに仕事をとる人もいますよね。SNSは誰でも始めやすいから、そのような使われ方もされているんだと思います。SNS並みにハードルを低くしながら、ポートフォリオとしてはずせない機能を携えたのがforiioです。
小谷:データを簡単にアップできることによって、ライターの場合、文章が載ったサイトをビジュアライズ化して見せることができるの、あれいいですよね。クリエイターというくくりを拡張する可能性を感じました。
履歴書って必要?個の時代に最適な評価基準とは
小谷:今までのポートフォリオ作成サービスが浸透しにくかったのは、それを作ることでその先になにがあるのか、を作成者側がイメージしにくかった、というのもあるのかなと考えています。
ポートフォリオって、本来、人と人の関係性の間にあるものじゃないですか。ポートフォリオに掲載した作品がそのまま仕事に繋がったというよりも、きちんとその人のスキルセットや経験が可視化されていることで、その人がどういう人なのかがはっきりし、仕事に繋がる…。それが理想の形だと思っています。
特に、フリーランスの場合は仕事内容が結構変化していくんですよね。だから、「肩書はこれ!」って決まっていないことも多い。それをどう的確に表現するか、をTEAMKITのプロフィールではこだわりました。
単なる履歴書みたいにはしたくなかったんです。そもそも履歴書って必要あるんですかね?(笑)評価基準って、大きく変わってきているのに、履歴書って全然アップデートされていない。
山田:採用するにあたって、やはりまずはアウトプットが見たいですよね。いくらいい学歴があったって、結局、作ってほしいものはビジュアライズされたもの。なので、クライアント側はもちろんそこを知りたがっています。
そのうえで、「ビジョンに共感できるか?」があり、「どこまでできるか?」が問われます。
この「どこまでできるか」を可視化するのは、非常に難しいことです。が、foriioでは、スキルだけではなく、誰と仕事をしてきたのか、クライアントにはどういった企業があったかも確認できます。
作品ごとに、どのポジションで関わったのかが分かるので、採用側としてはより欲しい人材にいきつきやすくなります。
「私はこんな仕事がしたい!」フリーランスの背伸び
小谷:案件をとりやすくするためや、スキルアップのために、自分をちょっと「盛る」こともフリーランスはあるかと思います。
いままでの実績で判断してもらったほうが、確実に自分ができる範囲の仕事ができる。クライアントも、背伸びはいらないから、できることを教えてくれって。だけどそれだと、なかなか成長ができないので、背伸びをしてチャレンジする必要もある…難しい問題だなと思っています。
山田:僕は、正直、背伸びをすべきだと思っていますね。それは生存戦略です。はったりをかますのと、約束を交わしたものができないのは、別だからです。
「経験はないですが、できます!やりたいです!」と立候補するのはいいことじゃないですか。あとは、死ぬ気でやればいいだけなので(笑)
とはいえ、変に背伸びをしすぎてしまったり、苦手なことなのに挙手してしまったり…そういうやり方はしないようにしてほしい。
foriioでは、「#私はこんな仕事がしたい!」という項目を設けて、自分がまだやったことがないけれど、チャレンジしたい仕事を宣言できるようになっています。
小谷:foriioでは、「foriio match」というサービスで、クライアント向けにクリエイターの紹介も行っているかと思いますが、そこでも重要な指標になっているのでしょうか?
山田:そうですね。やはり、熱意をもって「こんな仕事がしたいです!」と手を挙げてくれている人に仕事を振りたくなります。
たとえ実績がなかったとしても、スキルもあって、興味もある、ということならその人に仕事を依頼したい。この機能によって、クリエイターが上手に背伸びをすることをお手伝いしています。
小谷:僕は、起業する前に5年ほどフリーランスの期間があったんですけど、最初の案件が鳥取県からの空き家活用・移住者支援の案件だったんです。ぶっちゃけ、空き家や移住に関しての仕事の経験は皆無でした。
ただ、僕は鳥取県で大学時代を過ごしていて強い思い入れがあったんですよね。大きなチャレンジでしたが、その経験によって、鳥取県での仕事も、フリーランスとしての幅も広がりました。
山田:クリエイターには、自分が好きなことに忠実になってほしいですね。僕自身、「アイドルが好き!」って言っていたら、アイドルをプロデュースする仕事につながったので、背伸びはどんどんしてほしいです!
小谷:TEAMKITは、報酬や条件よりも先にプロジェクトの価値観や目指すことが伝わるような仕様になっています。好きだからこそ、できることってあると思いますし、好きな人同士で集まってプロジェクトが進められるのは、幸運なことです。foriioでも、そういったつながりが生まれているのかなと感じています。
「好き」でマッチングするために。できることは任せる
山田:結局、良い人とマッチングできるかどうか、が仕事を大きく左右します。「この人と仕事してよかった!」という気持ちを生み出したいです。
ただ、需要と供給はコントロールできない部分も多くあります。インターネットによって、個人の情報というものがどんどん抽出しやすくなっています。それによって、人となりも含めて、ポートフォリオサイトに落とし込むことが可能になってきました。
それをどう解析するかで、マッチングの精度が変わってくると思います。foriioにとっても、よりよいマッチングを生む、というのは挑戦しつづける部分です。
小谷:適切なマッチングができるようになったほうが、みんながハッピーになる。そのために、情報を取り出しやすい状態にしておくというのは、とても大事ですよね。
山田さんのサービスの発展の仕方で共感できるな、と感じたのが、外部サービスとの連携を積極的にされているところでした。普通なら自社サービス内でなるべく完結しようとするところを、foriioは、早期に連携をすすめていますよね?
プラットフォームは、ユーザーを確保するためにも「閉じた」サービスを作ろうとします。だけど、foriioはそうじゃない。TEAMKITも、プロフィール機能を、どんどんサービス外の世界でも活用してほしいと考えています。
山田:いろんなサービスと連携をすることで、その人の情報がどんどん集まっていく。それを重ねることで、信頼度や人となりがネット上に形作られていくと思います。
どこがそれをやるか、は重要なことではありません。なので、お互い連携していければいいなと考えれいます。自己紹介動画作成サービスとかあったら、ぜひ連携したいですね(笑)
僕たちは、クリエイター向け、と明確にターゲットをしぼっています。なので、ビジネスコンサルタントのための機能などは開発しません。あくまで自分たちが得意な範囲でやります。そうじゃない部分は、どんどん他に任せていきたいんです。
僕たちは自分たちの課題に集中して取り組むだけです。
個人を変えれば、社会が変わる
山田:たとえば、制作会社のリストを集めたプラットフォームを作る、とかも選択としてはあり得たと思います。ただ、業界や、ひとりひとりの生活や働き方まで変えようと思ったら、「個人」が使うもの、個人に対してインパクトあるものを開発する必要を感じました。
FacebookもTwitterもInstagramも、UberEATSも、Airbnbも、全て「個人」が主役のサービスです。これらは、社会の在り方を変えたと思っています。
LINEは、とてもシンプルで、一見誰でも作れそうなサービスですが、すでにみんなが使っているから新規サービスがとって代わることは中々できません。foriioも、たくさんの個人に使ってもらうことによってポートフォリオの決定版になれば、と考えていますし、その先で、クリエイターの働き方も変わっていくのかな、と。
小谷:これまでの社会はは、会社や団体などの集まりを中心に設計されていましたが、インターネットによって、ひとりひとりが生活をカスタマイズしやすくなりました。これからはより「個」を大事にする文化に戻ってくるという感覚があります。TEAMKITも、foriioと同じく、今後も個人に向き合っていきたいです。
よりなめらかに「個」のキャリアが築けるように
小谷:現在、foriioは自分の実績をアップすることがサービスのベースかと思いますが、今後は変化していくのでしょうか?
山田:foriioで採用につながるような流れはもっと作っていきたいですね。中長期的なビジョンとしては、foriioでポートフォリオを作っておけば、地球の裏側からオファーがくるようにしよう、と思っています。アウトプットがありさえすれば、仕事にはいくらでもつなげられるはずなので。
また、クリエイターが多くあつまる場となるので、それぞれがスキルを教え合うような教育の機能も追加できたらいいなと思っています。ある程度、課題を解決していくと、そもそも人材を育成するための教育にシフトしていくタイミングってあると思うんです。
TEAMKITと連携したことで、フリーランスにポートフォリオ作成がより浸透すればとも考えています!どちらのサービスも、自由に働きたい人を対象にしていると思うので、相性はばっちりなんじゃないかな。
会社員とフリーランスだと、評価の軸もまた変わってきますよね。ポートフォリオは、だいたい独立のときに作成するのでしょうか?
小谷:おっしゃるとおり、独立に際してポートフォリオを作成するのですが、会社員時代の実績を個人としては載せることができないという課題もあります。自分がいままで頑張って取り組んできた仕事なのに、それを引き連れて新しい仕事に挑戦できないって、おかしいと思いませんか。
僕は個人的に、全員がポートフォリオをもっている状態にして、それぞれライフステージなどによって、会社員やフリーランスなど働き方をなめらかにスイッチできるといいなと思っています。
もう、法人とか、個人とかで区別すること自体がナンセンスに感じています。ポートフォリオの文化が広がって、いままでの自分の積み重ねを全てもった状態で、そのときどきにあった働き方を選択し、好きな仕事をする…そんな社会にしていきたいですね。
山田:TEAMKITとforiioの連携が、双方のユーザーにいい影響となるといいですね。
小谷:はい!本日はありがとうございました。
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クリエイター向けポートフォリオの決定版「foriio」
執筆・編集:野里のどか(ブログ/Twitter)
撮影:北村渉(Instagram)
アイキャッチデザイン:佐藤エリ(Twitter)