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フランスの秋 パット・ドゥ・フリュイ作り

サルト地方の田舎の家よりボンジュール!
子猿たちの学校が秋のバカンスに入ったので、週末からこちらに来ております。バカンスって、あれ、また?と思われた方、ええ、そうなんです。フランスでは6週置きに2週間のバカンス(夏は2ヶ月+)があるのですよ。親は忙しいったらありゃしません。

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今回の私のミッションは、花梨(仏語Coing)の加工。
花梨、日本でもたまーに見かけますね。皆さんはどのようにして召し上がるのでしょう。
フランスでは、コンフィチュールにしたり、パット・ドゥ・フリュイというお菓子に加工することが多いかな。

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花梨はしっかり熟したものを使わないと、結構な渋みがありますので要注意。写真のものは、3週間前に義父が収穫し、私が来るまでカーブにて温存していたものです。5年前までは義母が、昨年までは義父が、自ら調理していたのですが、ついにその仕事を譲られてしまいました。
というのも、花梨の加工は時間がかかるのですよ。

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この大きな蒸し器を使って、花梨のジュースを抽出しジュレを作ります。
そして残った身の部分で、パット・ドゥ・フリュイを作るのです。
この蒸し器、一番にお湯を張り、二段目は、下の写真のようなドーナツ状になっています。真ん中の穴から蒸気が上がり、お堀のようなところにジュースが溜まっていく仕組みとなっているのです。

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最上段は、下のようになっています。

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ここに乱切りにした花梨を入れて蒸すこと一時間あまり。種も一緒に蒸し、天然のペクチンが下の段に滴るようにします。

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花梨2キロでジュース一リットルも取れません。

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2×2回、計4キロ余りの花梨から取れたジュースは1.5リットル。
ジュレは、ここに同量の砂糖とペクチン少量を入れ、ジャムを作るときのように、ぐつぐつ煮立て、沸騰したら5~8分。

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ジュレが出来ました。ペクチンの量が多すぎたみたいで、ちょっと堅めなのが残念。瓶の下部分に隙間があるのは、瓶に熱々のジュレを入れ蓋をしたら、すぐ逆さまにしてジュレが凝固させたからです。このジュレも、いずれ重力で下に行き、ジュレと瓶の蓋の間の隙間は真空に近くなる、という仕掛けです。これで瓶内を真空にさせてカビの発生を防ぎます。
ジュレは薄いトーストに、ジャムのように塗っていただきます。

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さて、パット・ドゥ・フリュイ。ゼリーとグミの間のような食感のお菓子です。
ウィキペディアによると、フランスの中央山麓地帯発祥のお菓子とのこと。こうやって保存し、冬季もフルーツが食べられるようにしたのでしょう。
フランスでは、パット・ドゥ・フリュイはチョコレートと並ぶ人気者。お値段もチョコレートと同じくらい。食後にエスプレッソとともに、軽くつまむ、そんなお菓子です。

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上の写真は、先ほどの花梨の、蒸した果肉の部分を裏ごしし、砂糖とペクチン(こちらはかなり多め)を加えて煮て、型に流し込みます。ペクチンの効果ですぐに固まります。これは、500gの果肉、砂糖同量、ペクチン80gで作りました。本来のレシピでは、砂糖、ペクチン共にもう少し多めです。
写真の、なだらかでない部分は、鍋にこびりついた部分です。勿体ないから加えましたが、すでに固まっていたので、馴染むことなく凸凹。大ざっぱな私は気にしませんっ。

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これをあら熱取れ、しばらく放置し乾かしてから、切って、粗目のグラニュー糖にまぶして出来上がり。

ジュレも、パット・ドゥ・フリュイも、薔薇のような芳香がうっすら、酸味も程よくて、エレガントな美味しさです。

この抽出型蒸し器がなくとも、花梨を薄く銀杏型に切って水をひたひたになる程度にかぶせ、ゆでたものでも十分美味しく出来ます。
ゆであがったら、果肉とゆで汁を分け、ゆで汁は煮詰めて水分を若干飛ばしてから、上記のようにジュレにし、果肉の部分で同じようにパット・ドゥ・フリュイにすればOKです。
花梨は、のど飴もあるくらいですから、喉にも良いはず。
繰り返しますが、花梨は、黄色が少し濃くなったな、というくらいまで熟させてくださいね。そうでないと、渋みがあります。

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素敵な秋を~


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