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少なく働いて多く稼いでください
『仕事の喜びと哀しみ』という本を読む。韓国で話題の本、らしい。
韓国で、ワークライフバランスを重視する、いわゆる最近のミレニアム世代の会社員を中心によく交わされるようになった表現が、この「少なく働いて多く稼いでください」だという。
なんだか、少し冷たい、寂しさもあるような表現だ。
たしかに、そうやって働けたほうがいいだろうし、長く苦しく働くよりも、ちょうどいい働き方で自分の人生に余白を持たせたほうがきっと、楽に生きられる。それでもたくさん稼げたほうが、ありがたい。まさに、仕事の喜びも哀しみも含ませたような、割り切ったようで、でも割り切れない、そんな挨拶だ。
仕事も、時間も、お金も、全部がステータスとして計測可能なものになってしまっている。レベルを上げて、どうステータスを振り分けるか、そんなゲームのような感覚で、仕事も家庭も、自分の時間も、それぞれが最適化した自分自身を、作られた社会の枠の中に適用しようとしている。
ワークライフバランス、という言葉に本来あるはずの、温かさや豊かさのようなものはそこにあるのだろうか、とふと思う。わたしたちは、なんのためにそれを求めているんだっけ。
つい、なんでも測りすぎてしまう。ひととのつながりや、いまこの場所で過ごす時間、そうしたものを「量」とか「質」という表現をした瞬間に、とてもつまらないものになってしまう気がしている。「質」とか「量」とか、そんな概念を持ち出した瞬間に、それは今の社会のなかに組み込まれたなにかになってしまって。ぽっかり穴が開いたような寂しさだけが残る。
韓国の文学は、こうした息苦しさを捉えるのがすごく上手い。同時にこの国も、真面目が行き過ぎたような生きづらさを感じている人がたくさんいる、のだと思う。
働くことも生きることも、もっとちがう尺度や捉え方がたくさんあっていい。単純なステータスだけで、人生も社会も測れないはずだから。
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