「ファンタレモン」の記憶
先日、入ったお店のドリンクバーには「ファンタレモン」が有りました。
私は酸っぱいものが好きで、昔から「レモンスカッシュ」が好きでした。
こどもの頃に自販機で見ていた(メーカーはわかりませんが)黒字に白や黄色のドットがデザインされた缶。
お店で出るレモンスカッシュ。
そんな記憶が強く残っていますが、今ではレモンの炭酸飲料と言えば「C.C レモン」や「キリンレモン」をよく見かける気がしています。
さて、関東で生まれ育った私にとって「ファンタ」と言えば、グレープ🍇味かオレンジ🍊味かメロン🍈味。
だから「ファンタ」にはこの3つの味しかないのだと思って育ちました。
が、中学生時代の修学旅行の行き先は京都で、事前に班で計画を立てていた際に同級生の1人が「関西には『ファンタのレモン』が売っているんだって」と口にしてから、私たちの修学旅行の目的の1つに「ファンタレモンを飲む!」が加わりました。
私が中学生時代には、パソコンを使う授業もありましたが、今のように中学生がスマホを持って簡単にネットにアクセスできる時代ではなかったため、自分が住んでいる地域以外の情報を入手するのは主に伝聞でした。
○○の友達から聞いたんだ。
とか
○○に住んでいるお姉ちゃんから聞いた。
とかの世界です。
修学旅行に行ったのは冬。
行きの新幹線で途中雪が降る景色を見ながら向かったことをとても覚えています。
京都で雪に降られることはなかったけれど、炭酸飲料を最も美味しく感じられる季節とは言い難い時期。
班行動で移動中、自販機で見つけた「ファンタレモン」。
寒いけど飲んでみたい!
ということで350ml缶の「ファンタレモン」を何人もでシェアをしては喜びました。
時間もお金もかけて口にした「ファンタレモン」でしたが、特に初めて飲む味ではなく想像通りの味でした。
きっと私たちは【関西でしか売られていない物を飲んだ】ということに感動したのでしょう。
その後の人生で「ファンタレモン」を飲む機会には恵まれませんでしたが、渇望するほどまた飲みたい、となることもなく過ごしてきたことが味について立証しているのだろうなぁ。
それでもあの時の体験はやはり強烈だったようで、数十年経っても忘れられません。
今でも関東の店頭や自販機で「ファンタレモン」は見かけません。
が、ドリンクバーの機械で見かけることはたまにあります。
そして「ファンタレモン」を見かけるたびに蘇ってくる記憶。
「ファンタレモン」を見るたびにこども達に「お母さんがこどもの頃はね、『ファンタレモン』は関西でしか売られていなかったの。だから中学生の時に修学旅行で京都に行った時に飲んだんだよ」を繰り返し話す母。
その度に「もう何回も聞いてる😫」と呆れるこども達。
ファンタレモンさん。
あなたのことは味ではなく体験だけしか引き継いでいけていなくてごめんなさい🙇♀️
でも、もしかしてこの希少価値を高めることがあなたの戦略ではなくて???
情報社会も物流社会も小さくなった現在。
今同じ体験をしたとしても、きっと感動は当時ほど感じられないだろう。
不便が感動体験のスパイスだったんだろなぁ。