誰かが実現させたもの

我が家の近くにある回転寿司屋さんがまもなく閉店すると聞き、行ってきました。

こどもが慣れた手つきでタッチパネルを操作するのを見て、急によみがえってきた昔のさまざまな記憶。
そして、それらから繋がった現実。

私の話にしばしお付き合いくださいませ。

思い出したこと

私が20代前半の頃は、サーモンはお寿司屋さんではゲテモノ扱いされていて、回らないお寿司屋さんに連れて行っていただく時はたのめない風潮でした。

また、回転寿司屋さんでこども向けメニューが出始めていて「ハンバーグ軍艦」などに対して賛否両論があったと思います。

香港の回転寿司屋さんでの出来事

20代後半で香港に住み始めて間もない頃、回転寿司屋さんに入り、レーンからお寿司だけとって食べてお会計をお願いしたらものすごく待たされ、再度お会計をお願いしたら、スタッフさんたちがざわついたことがありました。

スタッフさん達がざわついたのは、伝票が見つからなかったからです。
香港の回転寿司屋さんは日本のファミリーレストランと回転寿司が合体しているスタイルだったため、お寿司の他にその他のメニュー(お肉のプレートとかうどんとか)を頼むのが通常スタイルで、他のメニューを頼むと伝票が出されるシステムのようでした。

私達のようにお寿司だけ食べてお皿で会計をする客はいないのか、伝票がないことでざわついたようです。

スタッフさんと話をして、お寿司しか食べていないからお皿で会計をしてもらいましたが、カルチャーショックを受けました。

今では日本の回転寿司屋さんでもさまざまなメニューが出されるようになり、子連れでも行きやすいお店の一つになっていますが、誰かが香港スタイルを日本で実現させようとしたのかな?

ラッピングバスのこと

お寿司とは別ですが、もう一つ思い出したことがありました。
街中を走るバスのことです。
今では車体に広告がプリントされたラッピングバスを当たり前に見かけますが、これも20年くらい前の日本には(少なくとも関東では)まだありませんでした。

私は台湾に留学していた時、風景写真をよく撮っていました。
何気ない日常の光景写真が多かったのですが、その中に大学敷地内に停まっているラッピングバスがありました。
帰国後に留学を控えた後輩たちにそれらを見せて話をしていましたが、多くの後輩たちがラッピングバスに「これ良い!」と反応していました。

私の通った大学は台湾の大学と提携を結んでいて単位交換制度があり、大学2年生の前期留学組と後期留学組を設けているので、1学年のうち半数以上が台湾へ留学します。
大学在籍中の先輩方を含めて大多数の台湾留学経験者には見慣れた光景となるラッピングバスも、当時日本ではなかったので、珍しいものだったのです。

今では当たり前のラッピングバスも、誰かが台湾のラッピングバスを見て「これは良い。日本で実現させよう」と動いた結果なのかな?

どうしてそう思ったのか

回転寿司屋さんも、ラッピングバスも、あくまで私の知っている範囲内での想像です。
実現した人は他の国を見た可能性や、ご自身のひらめきだったかもしれません。

就活中の経験

私がこんな思いを馳せるのは、就職活動である経験をしたからです。
私はある農産物の輸入を実現させた若手社員の紹介ページを見てとても興味を持ち、その会社にエントリーしました。

そしてその会社の記述試験を受けた時に、私は自分が輸入販売してみたいと思う台湾の果物について書きました。

その会社とは残念ながらご縁が無かったけれど、いまだに日本においてその果物を見たこともないので、誰にも実現されていないアイデアを私は書いたのだと思いたいです。

結論

そんな遠い記憶と現実をリンクさせ「世の中に出回る新しいアイデアは全て誰かが実現させたもの」なんだろうな。
と、大好きなサーモンを食べながら思っていました。

余談

ちなみに、香港ではマグロよりもサーモンが断然人気があり、日系スーパーで並ぶお寿司はサーモン三昧だったので、私には天国でした。

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