B-DASH『ビッグ ブラック ストア (連絡しろ)』
『ビッグ ブラック ストア (連絡しろ)』 は2004年リリースのB-DASHの3枚目のアルバム。
今までのメチャクチャ語路線を残しつつ、日本の童謡のようなテイストが特徴的。
タイトルの意味は・・・
特徴的なタイトルは、ギターヴォーカルGONGONの友人の「大黒屋」という人と連絡が取れなくなったため、むこうから連絡をもらうためにそのまま英語にして呼びかけたもの。
全国的に公開捜索した結果、無事に連絡が来たそうな。
なんとも大胆で、悪ふざけ要素が面白い。
昔なつかしい童謡のような曲調と、頑張れ系の歌詞
その当時GONGONのマイブームだったという、古い童謡のようなテイストの歌が多く、どこか懐かしさのようなものを感じる。
（「埴生の宿」はまさに民謡のカヴァー曲だが、実は日本の曲ではなくイングランド民謡。）
彼らの専売であるメチャクチャ語も健在だが、半分くらいは日本語の歌詞になっている。
「がんばれ」「情熱たましい」などストレートな応援ソングが際立つのが特徴的。
「SECTOR」「情熱たましい」「やまびこ」など代表曲も多い
全体のディスコグラフィの中で、決して目立つ作品ではないかもしれない。
けれども実は上記のような代表曲も多く収録されていて実はパンチが強い作品。
シングルカットされた「SECTOR」は、常識に囚われない曲の進行でジャンルこそ違えど、システム・オブ・ア・ダウンのような支離滅裂さ。
突飛なのにとても自然な流れで、不思議と聴いていて違和感がない。
最初は不穏な曲調で始まり、目まぐるしくシフトチェンジする中間部を経て、最終的には明るくハッピーな曲調で終わる。
それはあたかも、はじめは分かり合えず分断されていた世界から、最後には理解しあって手を取り合い、世界が平和になるような印象さえ受ける。
あの日あの時 君との想い出を
忘れはしない 夕暮れ時のバイオレンスワールド
また朝日が昇る夜明けの中 僕らは皆空見上げ
星空と月の 隙間に夜明けの雲
太陽見る人類歩行
上記は唯一意味の通じる中間部分で、そのほか大半の歌詞はメチャクチャ語で意味をなさないが、ところどころにまぎれている”アイヌ”、”アフリカ”、”アイリッシュBOY”といった単語が、サブリミナル効果のように潜在意識に植え付けられるのかもしれない。
世界中の人が手を取り合って大団円を迎えるような、ドラマティックな名曲。
また、ラストの「情熱たましい」は珠玉の応援ソング。
辛いときにもやさしく励まし、背中をそっと押してくれる元気をくれる。
この曲だけでもう優勝！といっても過言ではないでしょう。
凹んでも 落ち込んでも失敗しても大丈夫
失敗は成功の元 あじの元だよ
君はやさしい すばらしい人だ
世界に一人だけの特別な人
失敗たくさんするけど 成功たくさんするよ
ケンカして仲直りして もっと仲良くなるよ
傷つけられても 傷つけちゃっても
心開いて優しくなれる
そんな中でも個人的には一曲目の「ビッグブラックストア」もお気に入り。
ヘヴィロック色の強いインスト曲で、ラウドかつキャッチーな良曲。
そんな最初から最後までメッセージ性が強い隠れた名盤「ビッグブラックストア（連絡しろ）」。
既にCDは廃盤で中古市場では高額になっているが、2010年に再販されたおかげで、サブスクで聴ける数少ないB-DASHのアルバムとなっている。