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ToréniaとPolaris

ボカデュオ2024のチーム「Torénia」と投稿楽曲「Polaris」について、lazuli.主観のライナーノーツ的な記事になります。

Toréniaはクライアントからの依頼作品経由で間接的な関わりが多かった成宮亮くんを誘う形で生まれたチームです。作曲家とエンジニアと言う立場でかかわりは多くても、関わりはクライアント経由の間接的な関わりしかしてないので実は共作と言う立場での絡みははじめてでした。

ボカデュオ、Vocalやりたかったなぁ… あれ、、、僕アニメ主題歌とかやってるんだけどな… 声かかるの全部MIXなんだよなぁ

https://x.com/naryo_1008/status/1674330503984611328

このポストを見て「次、一緒にやりましょう!」とネットナンパをしました。年末に今年のボカデュオの告知があったタイミングで、ダメ元でDMしたら快く快諾してくれたのがToréniaの始まりです。他の役職を募集したところ、初期から動作制作でお世話になっている綴さんとここ2年間の投稿曲のイラストでお世話になっている天麗さんが声かけてくれて結成したチームになります。
「このチームに注力したいから、他は断る!」と言ってくれた綴さんも、募集してすぐに「立候補していい?」と連絡くれる天麗さんも私は大好きです。
裏で仲良いメンバーを集めて、良いチームを作ると言うやり方も否定はしないけど、お世話になっている二人にも裏で声かけとかせずに公募で集まったチームになります。

他にも色々と声かけてもらったのですが、依頼が多いなかで割けるリソースはToréniaで創る作品に割きたかったのでお断りになって申し訳なかったです。

Toréniaについて

トレニアという花言葉が「ひらめき」「愛嬌」「温和」の花のフランス語表記で、メンバーのアウトプットから「ひらめいた」自分のアウトプットを重ねて、一つの作品を作る的な気持ちで付けました。
最初の工程を担う私からの次工程を任せるクリエイターへの信頼の名前です。オシャレなのでローマ字でなくフランス語表記にしてます。

最初に決めた基本的な方針(原文)

  • 作品のテーマ、ジャンル等の方向性はチームのみんなで決めます

  • ボカデュオは仕事ではないので、個々のアウトプットに関しては、基本的にはクリエイティブに対しての修正はできるだけ頼まないように!決められたテーマに対して、各々が最大限のクリエイティブで応えるチーム創作が良いかなって思います。運よく実力ある人達が集まったので、各々の創造性を信じましょう!(全員何かしらの作品で絡んでいますがお任せでも大丈夫なメンバーだと思ってます!)

私の性格にみんなを巻き込んでいるのですが良く言えば自由、悪く言えば丸投げの方針です。クリエイターが一番いい作品を創れる瞬間は作らされた作品ではなく、創りたいと思った作品だと思って私は生きています。Toréniaの名前を付けた理由が私の創りたい創作スタイルの全てです。周りのメンバーが同じ気持ちかはわからないけど、きっとわかってくれると信じて提案した方針です。

Polarisについて

テーマ先行型の創作スタイルだったので、大切なのはテーマになります。私がちょうどACIDMANをたくさん聴いていたタイミングだったので「星・宇宙テーマのバラード」と言うテーマを提案したら、みんながOKしてくれました。ボカデュオの開催が夏と言うこともあり、夏の星や夏の星座あたりをテーマにすると言うところまでチームで決めました。

星・宇宙をテーマにすると決めた時に、私はプラネタリウムに行って来ました。その中でPolaris(北極星)の物語があって、北極星が変わることを知りました。

変遷する北極星
歳差運動により天の北極が移動するため、北極星の役割を果たす星は年ごとに天の北極に近づいて極値となってから離れていき、他の星との比較によって北極星の役割を交代していく。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%A5%B5%E6%98%9F

北を指す北極星は昔から船乗りの道標として知られている星で、長い時間をかけて道標である星が変わるということ。私は情景描写よりも心情描写の曲が得意なので、北極星という道標を頼りに進んで目指していた夢や目標があって、道標を見失って迷うことがあっても、新しい道標が未来に導いてくれると言うテーマで曲を書きたいなと思って作った曲がPolarisです。
今、目の前にある道標が示す未来が全てじゃない。人は道標を見失うことがある。そんな時でも、自分を信じて進んで欲しいと言う気持ちで作った曲です。

だから、この曲はシンプルに北極星と言う星の物語を書いた曲です。何かに迷っている人に星空と一緒に寄り添える優しい曲になってほしいと思って、作曲と編曲をして、テーマに乗っかるような作詞をしました。

いつもと同じことをいつも通りにやってもつまらないと言う気持ちはあったので、このメンバーなら許されると思って物語系の作詞にしました。恋愛ソングや感情を綴るが得意なのですが、それだといつものlazuli.なのでToréniaのlazuli.として作品を創ると言う意識して歌詞をしました
圧倒的に歌が上手い人が歌うので、歌のパートは聞き手の意識が歌に行くのは明白だったので、少しでも存在を出すために切ないイントロや泣けるイントロ作りも意識しました。誰が聴いても「この曲は良い曲の予感がする」と思える切ないイントロというバトンをボーカルにつなぐの私の役割の一つなので。主張がない=つまらないではなく、一つ一つの楽器が主張しないけど、一つ一つの音が小さく重なり合うイメージでトラック全体的に優しい感じでボーカルを邪魔にしない、でも、少しの主張があるそんな仕上がりになったかなと思います。
そして、私が渡したバトンをボーカルが私よりも曲の理解が深い解像度の高い表現をしてくれ、絵師さんが私の歌詞の物語を可視化したイラストを描いてくれた。全部のクリエイティブを一つのまとめるMVでは、まとめるのが仕事じゃないと言わんばかりの幻想的な表現で、曲と歌とイラストを最大限に活かす仕上げにしてくれた。いろんなバトンをお互いに渡し合った作品です。

感想とか

メンバーのクリエイティブ能力が高いことなんて知っているし、私なんかと一緒に創っているのが不思議なメンバー達だからこそ、言語化したい期待じゃなくて、私の創った音と紡いだ物語を通した私なりの期待みたいなものをアウトプットに込めてみた。
私の創ったアウトプットに対して、どういうアウトプットのぶつけてくるのか、創作やクリエイティブでのぶつかり合いみたいな創り方で楽しかったです。個人的には最初の工程を担う立場だったので、後から上がってくるアウトプットのレベル高さに、嬉しい反面、私の曲で大丈夫なのかなとかなり不安にもなりました。

たくさん、打ち合わせを重ねて創るスタイルも私も否定はしないし、お互いにリテイクを出し合って仕上げるのも一つの正しい作り方だと思ってます。
でも、クリエイターやアーティストは我の強い生き物なので、打合せを重ねれば好みの押し付け合いや妥協になると思ってます。私はせっかく出会えて一緒に創るチームのメンバーに対して、好みの押しつけはしたくないし、誰かに妥協をさせたいとも思わない。そもそも、今回の創り方は誰にも否定されないようなアウトプットを作れば良いだけとも言える。
共通のテーマと他のメンバーのアウトプットに対して、自分のクリエイティブを乗せると言うスタイルでは、各々の工程はそれぞれが出した答えが正解という作り方がしたかったです。良い意味で私の想定していた答えや解釈を覆されるようなアウトプットをぶつけられました。自分の作った曲なのに、曲に対する理解が浅いのは私なのでは?と思わせてくれるチームって最高だと思います。

クリエイティブのアウトプットをインプットして、更なるアウトプットを創る作り方は、ある程度のレベルの人同士じゃないと出来ないと思っています。足を引っ張る人がいたら、チームの士気は下がるし、モチベーションも下がります。技術が低い人同士で同じ作り方をすれば、各々の主張がぶつかって作品としてのまとまりもなくなります。
他のメンバーのアウトプットに対して尊重し、リスペクトして、他のメンバーのアウトプットが良いから負けられないと言う気持ちの積み重ねがあるからこそ、創れるやり方というのかな。すごく楽しかったし、幸せだった。
メンバーそれぞれのアウトプットが、他のメンバーの道標になって創らされるではなく、創り重ねるで生まれた作品がToréniaの「Polaris」だと私は思っています。

また、いつの日か、この特異的な作り方ができるメンバーに巡り合えたら嬉しいです。

最期に

私に対して「主役は曲だから」と言ってくれたメンバーへ。
みんなのアウトプットを受け取る度に、私も私の曲も主役じゃないと思った。はじまりは私の曲かも知れないけど、きっとそれは主役じゃなく、はじまりを作ると言う役割でしかない。
でも、持ち上げてくれたの嬉しかった。すごいメンバーに褒められたらうれしいし、いい作品作ろうってモチベーションに繋がった。ありがとう。楽しかった!
また、一緒にToréniaの作品作ろうね。

見つけてくれたら君へ。
見つけてくれてありがとう。一つのテーマを4人が紡いだ星の物語はどうだったかな。少しでも良いなと思ってくれたら嬉しいです。感想とかめっちゃ嬉しいのでください。みんなの励みになります。
もし、この曲があなたを導く道標の一つになることがあれば幸いです。

それでは、また、音楽でお会いしましょう。

P.S.
1年以上振りの趣味曲だったのもあって、もしかしたら誰もlazuli.の趣味曲を望んでないかもしれないという不安もめっちゃありました。この文章を書いてる時には、私にとって良い経験になったし、自信を持って良い作品が創れたと思ってます。

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