美術の授業
久し振りにメルカリを見ていたら、高校の教科書が出品されていました。
卒業して使用しなくなったら 教科書まで売り出す時代になったんだぁ…。と感心しきり。
「書き込みなし、ほとんど使用せず美品」と多くの科目を出品している方のコメントがあります。何か事情でもあったのでしょうか。
おっ!美術の教科書を発見。値段を見ると送料+200円ほど。あらま。
高校時代、芸術科目[音楽]を選択したので[美術]は習っていません。
小さい頃から 絵をほめたれたことがなく、美術の成績が良くなかったせいもあり全く興味が持てませんでした。なので(笑)、小・中学校の[美術]の授業で何をしたのか全く覚えていません。
パレットや画板、筆や絵の具を持ち歩いた記憶があるので、何らかの絵は描いたのでしょうねぇ。そうそう彫刻刀も持っていました。木版画を作ったようです。
先生に「鉛筆で下書きしているときは面白いんだけど、色を塗るとダメなんだよなぁ。もう少し丁寧に取り組みなさい」と指摘されたことを思い出しました。
現在、[美術]の授業ではどんなことを教えているのかなぁ…と『高校美術 I』『高校美術 II』の2冊(日本文教出版)を購入しました。表紙も素敵ですね。
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まだ『高校美術 I』を見ただけですが、いやぁ〜楽しいです。
A4より少しだけ大きいA4変型判。一項目が見開きページで完結しており、大きく表示された鮮明で美しい作品が並んでいるので カタログのようです。
文章の量は驚くほど少なくて、とてもわかりやすいですね。
【静物画】“身近なものを描く” のページには、オキーフ、タマヨ、そしてセザンヌにピカソの作品が!
とにかく美しい✨。
作品名や作家の名前、描かれた年代や所蔵場所も正確で…、勉強になります。
ルフィーノ・タマヨというお方、知りませんでした💦。
こんな教科書を見た後で 実際に自分が静物画を描くとしたら、自由な発想で 感じるままの表現ができそうですね。なるほど。
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そして一番すごい!と思ったのは、時代や国境を越えた名作を、一つの切り口から比較できるようなページ構成にしていること。
例えば、
【オリエンテーション】モネ『睡蓮、朝』と長谷川等伯『松林図屏風』
【美術とは?】ヤン・ヴァン・エイク『アルノルフィーニ夫妻の肖像』とカレル・アペル『太陽を運ぶ小さい人』
【彫刻による表現】運慶ら『金剛力士立像』とミケランジェロ『ダヴィデ像』
そして【想像画】にはミロ『アルルカンのカーニバル』とボス『聖アントニウスの誘惑』ですか。楽しい!見開きページなので、両作品をしっかり比較しながら鑑賞できるのがいいです。
おそらく、固定観念を持たずに作品を鑑賞させて、生徒たちに自由な発想で意見を出し合ってもらうようにしているのですね。
生徒になった気持ちで鑑賞するのも楽しいでしょうけど、私は先生になったつもりで、授業の準備をしたいです。
今日はミロ『アルルカンのカーニバル』とボス『聖アントニウスの誘惑』。
どんな風に授業を進めましょうか。
着地点は、生徒たちに独創的な自分だけの想像画を作成してもらうこと。
そのためにまず二つの名画を観察し、思考し、感覚を研ぎ澄ませ、想像を膨らませて画家たちの発想力・想像力そして表現力を鑑賞してもらう。
そのための準備。まずは私自身がしっかり作品と向き合う必要があります。第一印象、全体の特徴、細部に何が描かれているのか、画家は何を表現したかったのか…。
そして次に、作品や画家についてしっかり資料を読み込んで情報ノートを作成します。絵画の鑑賞に正解はありませんが、生徒たちの「知りたい」気持ちを次に繋げるために、事実や基礎情報はしっかり提供してあげたいですね。
今夜は徹夜で準備が必要です。
本当に授業がやりたくなってきました(笑)。
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ファッション、漫画、日常生活で目にするデザインなど、高校生が関心を持てる内容が満載!
教科書らしいところは、観音開きの折り込みになっている年表ページだけ。
初心者の私はこれを元に勉強させていただくことにします。ありがたや。
そしてお気に入りのページがこちら。
まさかモンドリアンの『コンポジション』の魅力をミッフィーが私たちに伝えてくれていたとは!何だか胸が熱くなりました。
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国籍、時代や文化そして人間の多様性を捉えた上で、それぞれの良さを見つけていくんだよ…。そんなことを改めて教えてくれる教科書。拍手👏を送らせてください。
ゴールデン・ウィークは、2冊の教科書で楽しく勉強させてもらいます!
<終わり>
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