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画壇の明星・1951年の梅原龍三郎氏

古本屋さんで見つけた昔の月刊雑誌『国際文化画報』。
ラックに並んでいたのは1951年〜1954年のもの。うわーーっ、今から70年前⁈。私が生まれる前の世界を覗いてみたくなり中をパラパラ見ていました。

手にした1951年5月号のトップ記事は “マッカーサー元帥 日本を去る” というのですから、まるで歴史の教科書のようです。
そんな時代に世界の文化を取り扱った雑誌があったことに驚き、そして興味が湧きました。
ちょうど1951年5月号から【内外 画壇の明星】という特集が始まったようです。
その頃の美術界はどんな風だったのでしょうか?
面白そう。。。と購入しました!

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さてお目当ての特集【内外 画壇の明星】(其一)は、梅原龍三郎(1888−1986年)氏。ほほーっ。特集・第一回は日本の梅原氏ですか。

日本人画家についてはまだまだ勉強不足なのですが、東京国立近代美術館で見た梅原氏の『薔薇図』(1940年)に心動かされ、ハガキを家に飾っています。

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うん。この力強さに惹かれます。
特集記事にはこうあります。

梅原龍三郎画伯は豊麗な色彩でデッサンする絵を描くところに特徴がある。その色感は健康、表現は大胆。画技に至っては氏の信ずるところへ些の妥協も躊躇もなく取組んでいく。其の気魂と精神力は鑑賞者の胸をうつ

「色感が健康」、「気魂と精神力は鑑賞者の胸を打つ」面白い表現ですね。
記事を書く側も、そして読者も まだまだ未成熟な分だけ、ざっくりしたストレートな感想がいいです。

この記事が書かれた1951年、梅原氏は63歳。すでに日本洋画界の重鎮でした。
記事にある “梅原龍三郎画伯略歴” に

明治四十一年、渡彿 巴里留学す。ルノアールと知遇を得て師事す。

とあるように、1908年(20歳)留学したフランスで、梅原氏はルノワールの指導を受ける機会を得ます。
___ちなみに、2016年<拝啓 ルノワール先生 ─ 梅原龍三郎に息づく師の教え>(三菱一号館美術館)という美術展があったことを今回はじめて知りました。素敵な企画を見逃していたのですね💦。

梅原氏は 1913年(25歳)で帰国すると白樺社の主催により東京神田で個展を開催。翌年には二科会の設立に関わりました。
その後帝国美術院(現・日本芸術院)の会員となり、1944年(56歳)に就任した東京美術学校(現:東京藝術大学)教授として活躍していました。
記事の “梅原龍三郎画伯略歴” はここで終わっています。
___もしかしたら編集者は、当時の日本を代表する画家となった梅原氏の「生涯の」業績を称えて特集(其一)に取り上げたのかも知れません。
しかし、その先35年も生きた梅原氏の業績はまだまだ道なかば。実はその後も大活躍するのです。

記事の翌年1952年(昭和27年)に日本が主権を回復し海外渡航が再びできるようになると、梅原は東京美術学校教授を辞任して渡欧します。
___というか、敗戦後7年近くも自由に海外渡航ができなかったのですね。驚きです。梅原氏が教授の職を捨ててまで渡欧したくなる気持ち…感染症の蔓延で行動が制限されている今なら少しわかります。

それから海外の国際審査員を務めるなどして文化勲章を受章受賞した梅原氏。1957年(昭和32年)には日本芸術院会員をはじめさまざまな役職を辞し、以後は自由に渡欧を繰り返しながら制作に励んだというのですからそのパワーは衰えること知らずです。良きライバルだった安井曽太郎とともに洋画界の頂点を極め、「日本洋画壇の双璧」と謳われたそうです。
息を引き取ったのは1986年、97歳。素晴らしい👏。

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1951年。
まさに日本の経済・文化が急成長を遂げようとしている時代の雑誌『国際文化画報』を入手したのは大正解だったようです。掲載されている全てのことが新鮮で、写真を見てワクワク、記事を読んでドキドキしています。

まとめて購入したので、特集【内外 画壇の明星】を中心に少しずつ読み進めて、また投稿したいと思います。

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最後のページに【編集室より】という編集後記のようなものがありました。
これまた面白い。

全国数十万の読者の眼から見れば個々の人にはお気に召さない写真や記事の指摘されることもあるでしょうが、本誌の記事写真は全く客観的な立場から採否を決定して居ります。故意に歪曲した解説や、写真の掲載等のことは、絶体致して居りませんからこの点ご安心下さい。
若し海外写真記事に誤訳があるとすれば、それは原文の誤りですが、これも絶体といってよいくらいないことを保証致します。

「全く」客観的、歪曲は「絶体」していない、原文が間違っているのであり我々が誤訳することは「絶体と言って良いくらいない」ことを「保証」する!
この真っ直ぐで強気な姿勢、いいですね。この後の号にも期待してます。

<終わり>

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