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恐るべしフィレンツェ〜オニサンティ教会の場合〜

先週までイタリア・ヴェネツィアのことばかり考えていたので、そろそろ本当にイタリアに行かねば!と勝手に盛り上がっております。
ということで、本棚からイタリアに関する図録や本を引っ張り出して見ています。

昨夜フィレンツェの地図を見ていたら、(当然かもしれないのですが)何とも教会や礼拝堂の多いこと。

『フィレンツェ・ルネサンス55の至宝』森田義之 芸術新潮編集部より

イタリア語の知識はゼロ、そしてキリスト教のこともよくわかっていないので、施設の名称が全く頭に入ってきません。
(順不同)サン・ロレンツォ教会、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会、サン・ジョヴァンニ礼拝堂、オニサンティ教会、サント・スピリト教会、サンタ・クローチェ教会、サンタ・マリア・デル・カルミネ教会、ブランカッチ礼拝堂・・・まだまだあります。ふうっ。

もし、突然クイズ番組に出ることになって優勝し(←可能性は0.0001%)、
「優勝賞品がイタリア旅行。ただし明日 出発できる人に限る!」
と言われても対応できるように、先日パスポートを更新しました(もちろん有効期限10年!)。
もし今の状態でフィレンツェの街に降り立ったら、私が一番憧れているウフィッツィ美術館はもちろん、サンマルコ美術館、ピッティ(パラティーナ)美術館やアカデミア美術館に行けるだけで2年くらい楽しめること間違いありません。
しかし、街中にある教会のことは何一つわからず、区別もできないまま素通りするだけ・・・そんなの勿体なさすぎます!
しかも、教会や礼拝堂にも見逃せない美術作品がたくさんあるらしい・・・。

これは…今から少しずつ予習するしかないでしょ!

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例えば、フィレンツェ地図に小さく名前が載っている、面白い名前の[オニサンティ教会 Chiesa di Ognissanti](下の地図・左ページ中央の赤丸)。

オニサンティ教会 Chiesa di Ognissanti(写真はWikipediaより)

教会内の食堂には美術書で見たことがある、これらの作品があるそうです!

左)ドミニコ・ギルランダイオ『書斎の聖ヒエロニムス』1480年
右)サンドロ・ボッティチェッリ『書斎の聖アウグスティヌス』1480年

うわおぅ!。ルネサンスの巨匠二人のフレスコ画・対作品です。
サイズを調べると、どうやら二人の聖人は実物大に近いのです(ギルランダイオ作品=184×119cm・ボッティチェッリ作品=152×112cm)。
これは見逃せません!

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また、同じ食堂には、ギルランダイオの『最後の晩餐』もあるのです。

ドミニコ・ギルランダイオ『最後の晩餐』1480年(オニサンティ教会)

あらっ、素敵。
まるで演劇の一場面のように「見せる」演出がなされています。
出演者が観客の方を向いているので、着ている服、仕草や表情までよくわかります。大道具さんもいい仕事をしています。果実が実った樹木や飛び交う鳥たちがいいですね。そして誰が裏切り者なのか、観客である私たちは最初から一目瞭然なのです(←ユダだけをテーブルの手前に配するのは、この時代 お決まりの描き方だったそうです)。
本当にこんな演劇が見たくなりました。

実は、ギルランダイオの『最後の晩餐』はフィレンツェに三作品あるのです。
オニサンティ教会以外の二つがこちら ↓ 。

上)① バディア・パッシニャーノ教会にある『最後の晩餐』1476年
下)② サン・マルコ教会にある『最後の晩餐』1482/1486年

面白い!いろいろな違いが楽しめます。
② サン・マルコ教会の『最後の晩餐』は、オニサンティ教会の作品と似ているようですが、こちらはギルランダイの下絵を完成させたのが、本人ではなく兄弟もしくは工房というので、そんな違いも楽しめますね。
三作品全て観たいものです。

『最後の晩餐』というとレオナルド・ダ・ヴィンチの作品を思い浮かべますが、ダ・ヴィンチ作品は1495-1498年制作。もしかしたらダ・ヴィンチはオニサンティ教会で、ギルランダイオ『最後の晩餐』を見ていたかもしれません。

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さらに、ボッティチェッリのお墓を安置した礼拝堂もこの教会内にあるのです。
ボッティチェッリは、この教会が建つオニサンティ通りで生まれたのですね。

ちょうど2年前の今頃、ずっとボッティチェッリのことばかり考えて何度もnoteに投稿していたボッティチェッリ・ファンの私は、絶対にこの教会に行かねばならないでしょう(笑。

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たまたま地図からピックアップした、名前も聞いたことがない教会なのに・・。この底力たるや!。
恐るべしフィレンツェ。

<終わり>

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