東山魁夷の不思議な世界
「緑の中で」というタイトルで、9月に東山魁夷の『緑響く』について投稿しました。
いつ見ても、こころ洗われるような緑の色彩にしばらく見入ってしまいます。
絵を見ている・・・という感覚ではなく、疲れた目を癒している、というのが正しいのかも知れません。「東山魁夷の作品が好き!」とか「嫌い!」とかの次元とは違うような・・・“ちょっと疲れた” と感じたときに、何度でも見たくなるような・・・そんな不思議な作品です。
ずいぶん前の話になりますが、母と香川県にある<東山魁夷せとうち美術館>に行きました。
それほど広くない展示室だったと思いますが、当時の私は絵画鑑賞を愉しむことを知らなかったので、個々の作品について何一つ覚えていません。
「瀬戸内海を望むロケーションが素敵だなぁ」
「東山魁夷って東山 “かいい” って読むのね」
「へぇ〜、こんな絵を描く人なんだ」
くらいでしょうか。何とも勿体無い。
当時は、どうして香川県に東山魁夷美術館があるのか、など全く気にしていませんでした。どうやら東山魁夷のお祖父様が香川県のご出身で、そんなご縁から東山家の相続人から作品の寄贈を受けたのがきっかけだったようです。
魁夷ご本人の生まれは横浜、幼少期は神戸で過ごし、長野県の風景を愛し、人生の後半は千葉県の市川市で過ごされたのですね。
では、千葉県にも美術館があるのかしら?
ありました、<市川市東山魁夷記念館>。
で、行ってきました!
90歳で亡くなった画家が50年以上過ごし、多くの作品を描いた自宅兼アトリエは、留学の地ドイツをイメージしたのでしょうか、とても素敵な建物です。
展示作品数は25点ほどでしょうか。来館者も少なくてゆっくり鑑賞できました。
やはり私がこれまでイメージしてきた[絵画鑑賞]とは少し感覚が違います。
もちろん、油彩ではなくリトグラフや木版などが多いことも原因の一つかも知れません。しかし【東山魁夷】という一つのジャンルになっているようです。
これまでも東山魁夷の作品を何点か観ているはず・・・と、インターネットで見つけた東山魁夷記念一般財団法人のHPで作品を探してみました。
「魁夷の主要作品と自らの画文」というタイトルで、主要 31 作品と、画家本人がその作品に寄せた文章(=画文)が公開されています。
どの作品も実作を鑑賞したい!と思える素敵な作品、そして画文も興味深いのです。
興味ある方はこちらでご覧ください。
https://www.higashiyama-kaii.or.jp
HPに紹介されている 31 作品中、市川市東山魁夷記念館で現在展示されていたのは 4 作品。
「道」「行く秋」「秋思」「木枯らし舞う」。
例えば「木枯らし舞う」の場合、HPにはこんな画文が付けられています。
今シーズン、木枯らしに紅葉した葉が舞う場面に遭遇したとき、目を閉じるとこの作品が浮かぶかも知れません。
うわーーっ、本当に31作品、残りの27作品もこの目で見たくなりました。
特に「好き!」というわけではないのに・・・ちょっと疲れているのかしら(笑。
9月まで山種美術館で開催されていた <東山魁夷と日本の夏 展> は行きそびれました。
でも大丈夫!。
長野県立美術館では、明日(11月14日)から <東山魁夷コレクション展 2024年第IV期> が開催されるのです。
展示会の作品リストを見ると、HPの主要作品もたくさんあります。
行けるといいなぁ。。。
<終わり>