ひろしま美術館・<シダネルとマルタン展>
昨日 <シダネルとマルタン展>について投稿したあとに、
ひろしま美術館・学芸員の方のコラム〜シダネルを巡る旅〜を発見しました。
<シダネルとマルタン展>について 全17回にわたって、美術展開催の経緯や関係者の思いなどが公開されています。
ひろしま美術館と シダネルの曾孫にあたるヤンさん(フリーの美術史家)とのご縁から実現した<シダネルとマルタン展>であること、
シダネルやマルタンはかつてパリ画壇の中核にいて、大正期の日本にも紹介されていたこと、
などなど。とても面白くて、何度も頷きながら読ませてもらいました。
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その中で特に興味深かったのが
「第11回:アンティミストの画家シダネルとマルタン」。
シダネルとマルタンは、大正期日本に「アンティミスト(親密派)」の画家として紹介されていました。「アンティミスト」について当時の評論家 森田亀之輔氏は次のように説明しているそうです。
この言葉を受けてひろしま美術館・学芸員の方が
いずれも素敵な文章ですね。
展示会場で「シダネルとマルタンは【象徴主義】の影響を受けている」という字面を追うだけだった私に、スッと言葉が入っていきます。
さらに続けて森田亀之輔はシダネルの絵のことについて表現します。
うわーーーっ。
もう少し展示室で耳を澄ませて、シダネルの詩を感じ取るべきでした!
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ひろしま美術館・学芸員の方のコラム〜シダネルを巡る旅〜から、もう一つ
「第16回:最後の壁画画家 マルタン」を紹介させて下さい。
<シダネルとマルタン展>の第4章は【アンリ・マルタンの大装飾画のための習作】として、マルタンの「壁画」に関連する作品やパネルが展示されていました。私は、
公共建物の壁画を手掛けたことがマルタンの画家人生にとって大きなことであり、その後の画風にも影響を与えたのね…。
などと “わかった風” に理解していました。そして、
お堅い公共建物の壁画なのに、マルタンは少し軽いタッチの作品に仕上げているのね…。
と、勝手に感想をまとめて第4章を通り抜けてしまいました。お恥ずかしい。
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ひろしま美術館・学芸員コラムによると…。
公共施設の壁画制作は、一大事業であるため、その時代を代表する画家が慎重に選ばれる。パリ市役所、ソルボンヌ大学、国の施設である国務院など公共建築物12ヶ所の壁画を、生涯にわたり手がけたのが、マルタン。
マルタンはピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898年)に次ぐ壁画画家と並び称されている。
<シダネル・マルタン展>で関連作品が展示されていた国務院の壁画は、「勤労」について描くよう依頼されたものである。
なるほど!
「これが大壁画の習作です!」と展示されていても 今ひとつピンと来なかったのは、これまで見慣れた神話や歴史的なテーマを描いた壁画ではなく、人々の日常の生活をまるで風景画のように描いていたからなのですね。
面白い!
・壁画制作にあたるマルタンの挑戦
・没後のマルタンやシダネルがなぜ忘れられた存在になったのか…。
<シダネルとマルタン展>で、「壁画」に一つの章を割いた理由、その意味が非常に大きいことを このコラムを読んで初めて理解しました。
時代に先駆けて、既存の枠を越え・変革をもたらした人々には注目が集まり、彼らはのちにヒーローとして称えられます。大胆不敵な表現によって美術史において先駆者の役割を果たしてきたのが、前衛画家たち。彼らのドラマティックな人生は、我々を惹きつけてやまないのです。
一方で、前衛者たちに追随し、すでに規範や常識となりつつある手法を継承した人々は 歴史の中に埋没してしまうのかも知れません。
<シダネルとマルタン展>の広告に「最後の印象派」「印象派の“末裔”」と印象派の冠を見つけて安心した私…(反省)。
シダネルとマルタン…。彼らの描いた世界に 目を見張るような発見や驚きはなくとも、そこには “光と詩情” に溢れた独自の絵画世界が広がっていました。
これからも画家たちの挑戦と表現(作品)をしっかり見つめ、そして “まなざし” を感じ取れるようになりたいです。
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美術展に携わった学芸員の方のコラム掲載…素敵な企画です✨。
図録に掲載する論文調の表現とは異なり、私のような素人にもわかりやすい言葉遣い・フレーズが胸に染み渡ります。また 本筋から外れたこぼれ話や主催者の本音を知ると、自分も美術展を作り上げる一員のような気がして応援したくなるのです。
他の美術館の方々も、是非この企画をご検討ください!
2019年1月に訪れて大好きになったひろしま美術館。また行きたくなりました。
(ヘッダーの画像は、ひろしま美術館のHPの画像をお借りしました)。
<終わり>
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