〜新鮮で面白い!〜 ブダペスト展
ブダペストはハンガリー🇭🇺の首都であり、ハンガリーはヨーロッパにある国である、それしか知りません。
<ブダペスト展>、エル・グレコの絵がある!というので行ってきました。
展示会は “ルネサンスから20世紀初頭までのヨーロッパとハンガリーの作品” ということで、会場には有名な作家の作品もありました。
「やはりクラーナハ」「さすが!ティツィアーノ」そしてルノワールやモネの作品も…。
ここでは、全く名前を知らなかった作家による魅力的な作品をご紹介します。
まずは第1章【ルネサンスから18世紀まで】
(いずれも図録から写真を撮らせてもらっています)。
写真は左上から右回りに、
①コルネリス・ヤンソン・ファン・クーレン『アンナ・マリア・ランプの肖像』1658年
②トレドの画家『貴族の肖像』1600年頃
③マーニョキ・アーダーム『化粧台の傍に立つ若い女性』1711年
④フアン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソ(?)『貴族の青年』1642−1645年頃?
絶世の美男美女とは言えないのですが、どれも謎めいた雰囲気がいいですね。
①黒・白・グレーと抑えた色彩の中、無表情のモデルが立っています。ちょっと男顔です。たくし上げたブラウスのレースや腕に巻いた真珠の飾り紐から上品さが伝わってきますね。
②エル・グレコに大いに影響されたに違いない!作品です。
③モデルの仕草と表情がいいですね。可愛い。
④かのベラスケスの一番弟子にして娘婿のマーソの作品か?そうであるならばモデルはスペイン王フェリペ4世の庶子の可能性もあるそうです。いやぁ、間違いなくハプスブルク家の血を引いているでしょう、間違いありません!と勝手に認定しました。
そしてお目当てのエル・グレコ『聖小ヤコブ(男性の頭部の習作)』1600年頃。
やはり好きです。本当に今から400年以上も前に描かれた作品なのでしょうか?大胆な筆はこび、絶妙な色彩のコントラスト、全体に漂うグレコ臭(←いい意味)に酔いしれてきました。もし私が肖像画をお願いするなら、絶対にエル・グレコ先生です(笑)
続いて第2章【19世紀・20世紀初頭】からご紹介。
いずれもムンカーチ・ミハーイの作品で、左上から右回りに、
①『パリの室内(本を読む女性)』1877年
② 『泉のそばの少女』1874年
③『村の英雄のための習作』1874年
④『フランツ・リストの肖像』1886年
荒々しい筆致、ムラのある塗り上がりが独特で 好きかも…。
①②③荒々しい!白い洋服、壁や床に雑に色を塗り広げたような筆運びがいいですね。
④作曲家リストは生涯繊細で線の細い人だと勝手に想像していました。貫禄ある74歳のリスト、いい味がでています。ハンガリーの巨匠ムンカーチ・ミハーイ、少し追いかけたくなりました。
次は 写真ではなく絶対に実物を見てほしい作品のご紹介です。
◉フィレンツィ・カーロイ『小川 II』1907年
戸外の光を捉えようとしたフェレンツィ・カーロイ “陽光時代” の作品。
「印象派の手法をハンガリー絵画に応用した」と解説にありました。ふむふむ。細かい筆致で色を乗せているのですが、新印象派ともまた違った独特の筆致と色のチョイス。写真ではうまく伝わらないと思いますが、新鮮で面白いのです!
◉ルイジ・ノーノ『歩く女性』1891年(左)
◉リップル=ローナイ・ヨージェフ『白い水玉のドレスの女性』(右)
『歩く女性』(写真左)を見て、何だかハンガリーっぽい!と思ったのですが、自然主義ルイジ・ノーノはイタリアの画家だそうです、失礼しました。いい絵ですねぇ。しばらくこの絵に見入っていました。
『白い水玉のドレスの女性』(写真右)は、ムンカーチ・ミハーイの助手だったリップル=ローナイが、自らの表現を求めて進み始めた最初の作品。構図全体からお洒落な印象を受ける一枚は、ホイッスラーの影響を受けているそうです。
◉アデルスティーン・ノーマン『ノルウェーのフィヨルド』1890年頃
一緒に見ていた私の母親 お気に入りの一枚。ノルウェーの画家であるノーマンの描くフィヨルド風景は、空気のクリアさと温度感がストレートに伝わってきました。色がとても綺麗に出ているからでしょうか。
◉レオ・プッツ『牧歌』1890年頃
面白い、とても面白い絵です。
女性がボートから水面に手を入れると池の表面が優しく波打ちました。その小さく円を描いて揺れる筆遣いが 女性のドレス、髪の毛や背景、キャンバス全体に広がっているのです。ゆらゆら、キラキラ輝く一枚です。
是非ぜひ実物を見ていただきたい作品です。
今回は勉強不足のため、美術史的な観点は全く無視して鑑賞したのですが、とても楽しかったです。素直に自分が好き、嫌いと感じる作品を確認し、受け止める事ができました。会期前半だったせいか、混雑なくゆっくり鑑賞することができましたよ、お勧めです。