強殖装甲ガイバー 感想
2023年7月26日、とある漫画の画集が発売された。
その漫画の名は強殖装甲ガイバーである。
そして、画集が発売されたのをきっかけにセールとして、電子書籍版ガイバーが33円で売られたのである。
私はかねてからこの漫画に興味を持っていたため購入した。
今回の記事では、その感想を書いていこうと思う。
1.特撮ヒーローマンガ
この漫画のジャンルは上のタイトルのように特撮ヒーローものを漫画という形で表現したものだ。
特撮ヒーローものを漫画化した作品は今日では珍しくないものである。
例えば、2000年から2001年にかけて放送された仮面ライダークウガを株式会社ヒーローズから同名タイトルで出版したり、ウルトラマンの続編的世界観をULTRAMANというタイトルで出版したりしている。
一方、仮面ライダーやウルトラマンといった既存のビッグネームを漫画化・アレンジしたわけではなく、一から世界観を構築している漫画もある。
バオー来訪者や覚悟のススメなどであろう。
そして今回紹介するガイバーも作者が一から世界観を構築している漫画だ。
2.展開が早い
まず、読んで驚いたことがとても展開が早いことだ。
主人公たちが殖装する(この作品内では”変身”のことを”殖装”と呼ぶ)のだが、パワードスーツではなくて強殖生物による生体装甲を身にまとう。
この強殖生物はコントロール・メタルという金属球で制御しないと寄生した生物を乗っ取ってしまうのだ。
イメージするなら寄生獣の新一や宇田さんを思い浮かべてほしい。
また、ガイバーはコントロール・メタルに付着した強殖細胞から装着者含めて再生できる。
つまり、頭部が無事な場合(コントロール・メタルは頭部にあるため)、基本的には不死身であると言える。
イメージするならば、進撃の巨人で負傷してもその傷口から巨人化、再生するシーンを読んでもらいたい。
以上のガイバーの弱点や正体、肉体の再生を何と1巻で描いているのだ。
昨今、漫画やアニメのテンポが遅いといわれているが、こうも早いのは初めてだ。
3.世界征服を達成する悪の組織
真に怖い悪の組織とは何か。
それは悪の組織と体制側が癒着していることだろう。
何かおかしいことがあるのにニュースにならなかったり、不審死や失踪を調査している警察の中に悪の組織のシンパがいたりするなどだ。
自警団を組織することは違法だし、銃火器を携帯することもまた違法である。
そんな我々が頼る体制や社会がすでに悪の組織と癒着していたら……。
この漫画にて暗躍する悪の秘密組織「クロノス」は9巻で世界征服を達成してしまった。
世界征服を達成した後は世界中から国境を取っ払って、全世界から紛争を無くして医療や化学を発展させた。
だが、人々を秘密裏に改造して、自由意思を奪うクロノスであった。
そんなクロノスに反旗を翻したガイバーたちは当然テロリストとして扱われる。
このように悪の組織が体制側となり、正義の味方が反体制となる展開は、萬画版仮面ライダーが有名である。
だが、主人公たちがテロリストとして当局に追われて、アジトに潜伏し、民間人を巻き込まないように戦うというのは善悪が逆転していて、あまり見ない展開である。
イメージしやすくすると20世紀少年でともだちがテロを行って、ケンヂがそれを防ごうとするも失敗し、テロリストに仕立て上げられてしまうという展開を思い出してほしい。
4.クリーチャーデザイン
この漫画は特撮ヒーロー漫画であるから、当然悪の組織に幹部がいて、組織には中堅ボスがいる。
その名はゾアノイドという。
ガイバーの世界では人類の創造主は降臨者であり、人類はゾアノイドの素体として生み出されたのだ。
ゾアノイドのデザインが特撮の怪人を漫画で表現するとどうなるかということが分かって良い。
ゾアノイド化すると図体が大きくなるが、これを特撮で表現すると着ぐるみになるため、作り物感が出てしまう。
また、CGとして表現すればガイバーの生物っぽさ、グロテスクさが消えてしまう。
漫画だからこそゾアノイドの生物っぽさ、グロテスクさを表現できるし、細部まで表現できる。
また、この漫画にはクロノスの幹部、ゾアロードが出てくる。
彼らも生物的ではあるが、ゾアノイドと違ってグロテスクさよりも神秘さを感じる。
これも実写では着ぐるみ感、もしくはグロテスクさが出てしまうだろう。
漫画だからこそできるクリーチャー表現だと思う。
5.結論
ここまで書いてきたが、何を言いたいかといえばこの漫画を読んでほしいということである。
現在、電子書籍版が33円と安いため、買いやすいと思う。
また、ネットで検索すれば、バスタード、ハンター×ハンターに並ぶ完結が厳しそうな漫画ではあるが、面白いしカッコいい漫画なのでぜひ読んでほしい。