誕生日プレゼントに「ニワトリ2羽と伝統酒」をいただく
こんにちは。ボルネオ島の手工芸品店を営んでおりますラヤンラヤンと申します。毎週金曜日にマレーシア・ボルネオ島に関する記事を投稿させて頂いております。今回は、ボルネオ島に暮らす先住民ドゥスン人の村で、誕生日を迎えた日のことをお話をさせて頂きます。
(※この記事には、ニワトリを捌く写真が出てきます。)
ボルネオ島山奥にある先住民ドゥスン人の村で迎えた誕生日。私がいつも村で寝泊まりをしている家の隣には、同じ世代の娘さんが住んでいるのでいつもお互いの家を行き来していました。いつものように彼女に会いに家をお邪魔したところ、なんだかキッチンで忙しそうに・・・。
台所には、生きたニワトリが2羽いました。村でニワトリを捌くというのは、日常茶飯事ではなく、祝い事や慣習法に触れた時、外から来客があった時などと特別な時に行われることが多いです。
スーパーマーケットのない山奥にあるこの村では、個人で養鶏をしている方もおり、村人同士で生きた状態のニワトリを売買しています。村内で1キロ当たりの価格が決められており、その場で量って値段が決まります。町で丸鶏を買うよりも高く、村の方は日常的にニワトリを捌いて食べているわけではありません。
この日は私の誕生日ということで、驚くことに他の家からニワトリを買って捌いてくれていました。お祝いして頂く、その気持ちだけでも嬉しいのに、2羽も購入していたので1羽分は自分自身で出すことにしました。
ニワトリは、まず首を切って血抜きをします。そして、熱湯をかけ、羽をむしります。さらに炙ってから、丸鶏を捌きます。村で定番の調理法は、甘い醤油で煮たり、野菜と炒めたり、骨はスープにします。
鶏料理だけではなく、シダなどの山菜炒めや、川魚を揚げたもの、猪肉も用意してくれていました。これらは全て村で採れたものです。
夜に行われるパーティの前に一旦寝泊まりしているお家に戻ると、台所に小さいバケツが2つ置かれていました。その時は家に誰もいなかったため、誰が置いたのかわかりませんでした。とりあえず開けてみると・・・
発酵したタピオカ芋(キャッサバ)が入っていました。つまり村の伝統酒である、タピオカ酒でした。サバ州では一般的に「タパイ(tapai)」と呼ばれ、村ではドゥスン語で「トーミス(toomis)」呼ばれています。村のお母さんは、誕生日と知った村人がプレゼントに置いてくれたのではないかと言っていました。せっかくなので、夜のパーティの時に皆で飲むことにしました。
近隣のお家の皆さんでパーティをするのかと思っていたら、夕方からぞろぞろと村の方や小学校の先生までもが集まってくださいました。そこで判明しましたのが、タピオカ酒を置いたのは村長さんでした!
村の方と過ごす最高の誕生日。幸せな気持ちに浸っていたら・・・さらにケーキのサプライズ!ここはボルネオ島山奥の村です。スーパーマーケットはなく、電気は小型水力発電で供給しているため不安定で、当時冷蔵庫やオーブンはありませんでした。それでも村の方はなんでも作ってみようと、村スタイルの蒸しケーキを作って持ってきてくださいました。
全て村でまかなった鶏や猪肉、川魚に山菜。そして伝統酒と可能な限りで作った特別なケーキ。とても贅沢でした。村の方と自然の恵みに感謝した忘れられない誕生日となりました。