キャラクター名の保護
ドラゴンクエスト5のノベライズで付けられたキャラクター名はどのような権利として保護されるのか。製作委員会への訴訟が前にニュースになっていましたので改めて取り上げてみます。
考えられるとすれば、やはり著作権からでしょうか。
裁判も著作権を元にしているような記載がニュース記事にはあります。
(どう構成しているのかは正直気になります。)
1 著作権
著作権法において、著作権を有するためには、著作物が作成される必要があります。
著作権法では、著作物とは以下の定義がされています。
著作権法2条1項1号 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
大きく分けて、①創作性があること、②表現されていること(アイデアなど形になっていないものは排除)の要素が必要とされています。
まず、①という点ですが、創作性。個性が表現されているとか、選択の幅などともいわれます。幼児の落書きも創作性があるといわれます。
ただ、キャラクター名などのように短いワードになるとよく言われるのが「ありふれた表現だ」というワードです。
短い=誰でも思いつくような内容=ありふれており、創作性は認められない。というロジックですね。
一般的にはそう言えるのかもしれませんが、短いので必ずありふれた表現なのだとは即断できません。それこそ、キャッチフレーズだったり俳句などはその一例になってきます。
では、キャラクター名はどうなのか。
ありふれたなのかなぁ、とは疑問に思うところです。
②の表現という側面。
キャラクターというものは、著作権法の対価である中山信弘先生によれば「小説や漫画等に登場する人物や動物等の姿態、容貌、名称、役柄等の総称を指し、小説や漫画等の具体的表現から昇華したイメージ」とされています。
こちらの観点からすると、キャラクターの名前は、イメージであって表現ではないとも考えられます。
こうなってくると著作権での保護は厳しいのかなという見方もできます。
ただ、自身が作り出したものについて、無碍にされるのはつらいというもの。
裁判が「名誉回復等措置請求事件」としているのもきちんと自分がかかわった作品であるとしてほしいという気持ちの表れなのだと思います。
2 商標
さて、そのほかで権利保護を考えると、商標なのかなというところ。氏名などを保護するのはこちらが多いのが実情です。何度か商標については書いていますが、そのマークに就籍するイメージ・商品価値を保護しようとするものですね。
だけどこれ、アーティスト名だと、登録拒絶されたりすることも・・・
その辺はまた別の機会にでも。
しかしながら、あえてクリエイター界隈と言ってしまうけれども、作品の扱いについて、その内容をどう扱っていくのかなど、よくよく検討されてしかるべきではないかな。
クリエイターも作品が大事にされているのならば、そこに怒りがわきにくいのも事実かなと。