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【クリエイターの法務】フリーランスから事務所に所属するときのこと(競業避止義務について)
フリーランスのことについて、ずっと書いてきましたが、そういった方ばかりでもなく、事務所に所属して活動される方も相応に多いのも実情です。
とはいえ、少し前の記事ですが、こういったものも・・・
数年前に比べていわゆる芸能人の独立など、事務所から退所する例も多くみられるようになってきました。
このへんは独占禁止法の話やらなんやらも絡むことではありますが、今回はその辺は割愛。
事務所の専属契約書中に盛り込まれることが多い「競業避止義務」について触れてみようと思います。
1 そもそも競業避止義務とは
競業避止義務とは、義務として競業他社への就職を禁じたりすることや兼職などの競合する行為を禁じるということを言います。
例えば、退職した後に今まで仕事で得た人脈やノウハウなどを活かして、会社に雇われる形ではなく仕事をしていこうとした際に、競業避止義務が!などということが浮かび上がってきたりするということがままあります。
まぁ、会社員に限らず、事務所に所属するタレントさんやモデルさんについてもこういった義務が書かれた契約書が提示されたりするということもあります。
では、そもそもこんな義務はなぜ契約書で盛り込まれていくのか。
それはズバリ。
会社が投資してきたについて、ある意味持ち逃げされたくないから。ということになります。
2 競業避止義務を負ってしまったらその通りに守らなきゃならないの?(契約の有効性)
じゃあ、そういった義務はいつでも有効かというとそうでもありません。
経済産業省の資料では、過去の裁判例も引用されていますが、おおよそ競業避止義務を課すことで守るべき会社の利益があるのかとか、期間が長すぎやしないかなどといった点から考えるわけですね。
タレントさんなどは事務所で役員のような地位にいるわけでもなく、独立にあたって退職金があるわけでもなく、他の事務所に所属することを制限されてしまうと実質的に仕事もできなくなってしまいます。
そういった観点から、
「芸能人の芸能活動について当該契約解消後2年間もの長期にわたって禁止することは、実質的に芸能活動の途を閉ざすに等しく、憲法22条の趣旨に照らし、契約としての拘束力を有しないというべきである。」東京地方裁判所平成18年12月25日判決
こういった裁判も出ているところですね。
※ただし、一切競業避止義務が認められないということまでは示されていません。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/reference5.pdf
経済産業省が裁判例などをまとめた資料を上げていますが、3年だとか長期にわたるようなものは無効と判断されていたりします。
3 やめたくなったときにこの条項に気づいた、そもそも契約書がないのでわからないとき
まず、契約書にあることが絶対ではないということです。無茶な契約は場合によっては無効だと言える場合があります(最終的な判断を出してもらうとすれば裁判までもつれ込んでしまうことになりますが)
そういう意味では、やめたいなどと思ったりした場合には、まず弁護士などに相談しておくということが重要になります。
ただ、弁護士も得意な分野やよくやっている分野というものが違ってきますから、そのあたりはネットなども見ながら、詳しいという弁護士に相談するのがおすすめです。
4 最後に
フリーランスとして仕事をすることも自身で仕事のスケジューリングやマネジメントをしていかなければならないというマイナス面がありますし、会社や事務所に所属することもマネジメントなどがある代わりに窮屈な思いをするということもあるでしょう。
一長一短というものではありますが、自身のメリットデメリットを比較しながら考え、必要に応じて所属するかを考えていくべきですから、即断即決せずにやっていきたいところです。
少しずつ減っては来ていますが、悪徳といえるような事務所があるというのも残念なところですね。。。。