怪文詩(2022/06/23)
「音痴なホトトギス」
音痴なホトトギス。
もう一度あの声を聴かせておくれ。
はぐれた音色を響かせて。
お前は私と同じだよ。
音痴なホトトギス。
どこにも飛んで行かないでおくれ。
孤独に叫ぶ哀しみを謳って。
お前は私と同じだろう。
音痴なホトトギス。
どこに飛んで行ってしまった。
同じ鳴き声ばかりが聴こえる。
音痴なホトトギス。
音痴なホトトギスよ。
お前は私と同じではなかったのか。
私がお前になれなかったのか。
ああ、ホトトギスよ。
美声を奏でるホトトギスよ。
その声で答えるならば、
いっそ私の前から飛び去っておくれ。
幸せなホトトギスよ。
ホトトギスよ。