#東大ぱてゼミ とは(ボーカロイド音楽論)
どうもこんにちは ラワイル(@La_Wile_)です。
2016年より東大の前期教養で毎セメスター、主題科目or自主ゼミとして開講され、ボカロPで音楽評論家の鮎川ぱて(@ayupate)さんが講師を務めているぱてゼミ(ボーカロイド音楽論)。
そのぱてゼミが、このたびアドカレ(アドベントカレンダー:12月1日から25日までクリスマスのカウントダウンに合わせて開けていくカレンダーをモチーフに、ブログ記事をオムニバス式に書いていく企画)を始めることになりました。これから、かなり多様な話題の記事が続くことになると思います。なぜなら、ぱてゼミは普遍的な問題を扱い多様な学生が集まるゼミだから。今回は、ぱてゼミとはどういうものかを紹介します。
ざっくり紹介
ぱてゼミでは人文科学の手法の導入とそれに基づく通念の懐疑・議論の構築を行い、応用する形でボーカロイド音楽を分析しています。
loveとは何か、権力とは何か、身体と言葉はどのような関係にあるか、成熟とは何か、時間とは何か、疎外とは何か、音楽とは何か。このような普遍と言っても差し支えないテーマを扱います。これこそが、私がぱてゼミについて「全駒場生におすすめ」と言っている所以です。それと同時に、特殊たる作品にグイグイと入り込んで作品の深みを引き出していきます。こうしたなかで、ボカロとは、ボーカロイド音楽とは何かについて迫っていきます。
社会に溢れる「ふつうこうするもの」「みんなこうするもの」という通念は、自明のこととして潜在的に社会に刷り込まれ、「こうすべきもの」と人の行動を方向づけてはいないでしょうか。「同調圧力」とか、イメージしやすいかもしれない。フーコーはこれを見えざる「権力」と呼びました。でも、それにがんじがらめになってしまったら生きづらくないですか?あるいは、その権力は人を抑圧するものなのかもしれない。では、そもそもその通念を懐疑して乗り越えたらどうだろう。
ぱてゼミでは、まずボカロシーンで人気を博した、「恋愛」なる通念を懐疑する感性を持つ曲群に着目します。そこでは、「ふつう恋愛するよね」「ふつうの恋愛ってこうだよね」「恋愛っていいよね」という通念に隠された構造を暴き立てるような想像力が見られます。
この講義の軸の一つは「アンチ・セクシャル」です。恋愛をはじめとする通念に多かれ少なかれ囲まれながら育ってきた私は、この大学というフェイズでいったん立ち止まり、思考することで、自分がこれまで抱えてきた葛藤の霧を言語化し、構造をクリアに捉えることができました。これは同時に他者理解にもつながることです。なぜなら、通念による抑圧構造は各個人に対して異なるから。ジェンダー論を元に曲を分析するパートはぱてゼミの一つの真骨頂です。
ぱてゼミは人文科学にせよ、ボカロにせよ、その面白さをこれでもかと伝えてくれるゼミです。前提知識を要求せず、丁寧に導入を行うので初心者にも敷居は低く、しかし議論は深みにまで至るので楽しめると思います。授業に出てさえいれば、課題の合格ラインはpiece of cakeですが、より深めたい熱意あふれる人は、ツイッター実況(任意、ハッシュタグは #東大ぱてゼミ)やレポートの深掘り、あるいは創作活動など(任意)で存分に活躍できます。
ボカロが好きな人も、この授業でボカロに出会う人も、現代文が得意だった人も大嫌いだった人も、大いに得るものがあると思います。かくいう私もこのゼミでボカロに出会い、ハマった人のひとりです。ぱてゼミで会えるのを楽しみにしています。
もっと知りたい人へ
ぱてゼミについて知る資料は既にいくつかあります。
東大授業カタログ(2020年)
https://catalog.he.u-tokyo.ac.jp/detail?code=51139&year=2020
第1期第1回全文掲載(東京大学新聞)
https://www.todaishimbun.org/vocaloid20161004/
インタビュー(東京大学新聞)
https://www.todaishimbun.org/vocaloid-utokyo0326/
というわけで、ここではラワイル(2019Aセメ=8期〜)が授業を受けた上での私なりの紹介をしてきました。この記事を見てぱてゼミについて知ってくれる人や、参加してくれる人がいることを願っています。
ぱてゼミアドベントカレンダーは始まったばかり。明日以降の記事もお楽しみに!
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