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「21世紀文明と大乗仏教」に学ぶ(抜苦与楽の行動)
大乗仏教で説くこの「大我」とは、一切衆生の苦を我が苦となしゆく「開かれた人格」の異名であり、常に現実社会の人間群に向かって、抜苦与楽の行動を繰り広げるのであります。
「大我」と対置されるのが「小我」ですが、この「小我」は、自分のことだけを考える人間のことを指しています。一方、「大我」は、人々との繋がりを大切にする「開かれた人格」をあらわしています。
簡単にまとめると、自分のことだけに留まらないで、「開かれた人格」で他の人と共により良き社会を作る人間になりましょうということですね。「大我」といっても、特別な存在と考える必要はないと思います。
「大我」とあるので、大きな人間にならなければと感じられますが、別に大きな人間にならずとも「大我」であり得ると思うのですね。ポイントは、「開かれた人格」であるかどうか、というところでしょう。
「大我」は、「抜苦与楽の行動」をするということですが、特別なことをするのではなく、ちょっとしたことだと思うのですね。この世のあらゆる仕事など、まさに「抜苦与楽の行動」であり、家庭における家事もすべて「抜苦与楽の行動」です。所謂、仕事、家事でなくても、人の話を聞くという、たったそれだけのことも「抜苦与楽の行動」です。
「抜苦与楽の行動」は、日々、我々が行っているのですね。それ故、社会が成立しているわけです。その「抜苦与楽の行動」の規模を徐々に大きくして、よりよき社会にすることが大切ですね。
もちろん、社会には不完全なところが多々ありますので、「大我」に相当する人々が増え、社会改革、社会改善が行われる必要があります。ひとつひとつの「抜苦与楽の行動」は小さくとも、積み重ねていけば、大きなうねりになります。
まずは、人のためになる「抜苦与楽の行動」を適切に行っていけばよいですね。
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