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条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第114回)詐害行為取消権の要件
読み易さは正義。
「読み」のハードルを下げて、
最速で法律の条文を読んで理解する「条文サーフィン」です。
「条文サーフィン」は、平面的な条文を立体的に読み込む一つの試みです。
この記事は一体なに?という方は、初回(第1回)の最初と最後の部分に簡単な説明がありますので、是非そちらをご覧ください。
・条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第1回)贈与
さて今回は、改正民法(令和2年4月1日現在の民法)から、「詐害行為取消権の要件」です。
・民法>「第三編 債権」>「第一章 総則」>「第二節 債権の効力」>「第三款 詐害行為取消権」>「第一目 詐害行為取消権の要件」(第424条―第424条の5)
では早速、魔法の条文の一行一行を「波」に見立てて、かるーく乗りこなす
「条文サーフィン」を始めていきましょう!!
〇民法(明治二十九年法律第八十九号)
第三編 債権
第一章 総則
第二節 債権の効力
第三款 詐害行為取消権
第一目 詐害行為取消権の要件(第四百二十四条―第四百二十四条の五)
第四百二十四条(詐害行為取消請求)
第四百二十四条の二(相当の対価を得てした財産の処分行為の特則)
第四百二十四条の三(特定の債権者に対する担保の供与等の特則)
第四百二十四条の四(過大な代物弁済等の特則)
第四百二十四条の五(転得者に対する詐害行為取消請求)
第三款 詐害行為取消権
第一目 詐害行為取消権の要件
(詐害行為取消請求)
第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
(詐害行為取消請求)
第四百二十四条
債権者は、
↓
債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを
↓
裁判所に請求することができる。
ただし、
↓
その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)が
↓
その行為の時において
↓
債権者を害することを知らなかったときは、
↓
この限りでない。
2 前項の規定は、
↓
財産権を目的としない行為については、
↓
適用しない。
3 債権者は、
↓
その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、
↓
同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
4 債権者は、
↓
その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、
↓
詐害行為取消請求をすることができない。
(相当の対価を得てした財産の処分行為の特則)
第四百二十四条の二 債務者が、その有する財産を処分する行為をした場合において、受益者から相当の対価を取得しているときは、債権者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、その行為について、詐害行為取消請求をすることができる。
一 その行為が、不動産の金銭への換価その他の当該処分による財産の種類の変更により、債務者において隠匿、無償の供与その他の債権者を害することとなる処分(以下この条において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。
二 債務者が、その行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
三 受益者が、その行為の当時、債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。
(相当の対価を得てした財産の処分行為の特則)
第四百二十四条の二
債務者が、
↓
その有する財産を処分する行為をした場合において、
↓
受益者から相当の対価を取得しているときは、
↓
債権者は、
↓
次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、
↓
その行為について、
↓
詐害行為取消請求をすることができる。
一 その行為が、
↓
不動産の金銭への換価
↓
その他の当該処分による財産の種類の変更により、
↓
債務者において
↓
隠匿、無償の供与
↓
その他の債権者を害することとなる処分
↓
(以下この条において「隠匿等の処分」という。)
↓
をするおそれを現に生じさせるものであること。
二 債務者が、
↓
その行為の当時、
↓
対価として取得した金銭その他の財産について、
↓
隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
三 受益者が、
↓
その行為の当時、
↓
債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを
↓
知っていたこと。
(特定の債権者に対する担保の供与等の特則)
第四百二十四条の三 債務者がした既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為について、債権者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。
一 その行為が、債務者が支払不能(債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。次項第一号において同じ。)の時に行われたものであること。
二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。
2 前項に規定する行為が、債務者の義務に属せず、又はその時期が債務者の義務に属しないものである場合において、次に掲げる要件のいずれにも該当するときは、債権者は、同項の規定にかかわらず、その行為について、詐害行為取消請求をすることができる。
一 その行為が、債務者が支払不能になる前三十日以内に行われたものであること。
二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。
(特定の債権者に対する担保の供与等の特則)
第四百二十四条の三
債務者がした
↓
既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為について、
↓
債権者は、
↓
次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、
↓
詐害行為取消請求をすることができる。
一 その行為が、
↓
債務者が支払不能
↓
(債務者が、
↓
支払能力を欠くために、
↓
その債務のうち弁済期にあるものにつき、
↓
一般的かつ継続的に弁済することができない状態
↓
をいう。次項第一号において同じ。)
↓
の時に
↓
行われたものであること。
二 その行為が、
↓
債務者と受益者とが通謀して
↓
他の債権者を害する意図をもって
↓
行われたものであること。
2 前項に規定する行為が、
↓
債務者の義務に属せず、
↓
又は
↓
その時期が
↓
債務者の義務に属しないものである場合において、
↓
次に掲げる要件のいずれにも該当するときは、
↓
債権者は、
↓
同項の規定にかかわらず、
↓
その行為について、
↓
詐害行為取消請求をすることができる。
一 その行為が、
↓
債務者が支払不能になる前
↓
三十日以内に
↓
行われたものであること。
二 その行為が、
↓
債務者と受益者とが通謀して
↓
他の債権者を害する意図をもって
↓
行われたものであること。
(過大な代物弁済等の特則)
第四百二十四条の四 債務者がした債務の消滅に関する行為であって、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて、第四百二十四条に規定する要件に該当するときは、債権者は、前条第一項の規定にかかわらず、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、詐害行為取消請求をすることができる。
(過大な代物弁済等の特則)
第四百二十四条の四
債務者がした
↓
債務の消滅に関する行為であって、
↓
受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて、
↓
第四百二十四条に規定する要件に該当するときは、
↓
債権者は、
↓
前条第一項の規定にかかわらず、
↓
その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、
↓
詐害行為取消請求をすることができる。
(転得者に対する詐害行為取消請求)
第四百二十四条の五 債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる。
一 その転得者が受益者から転得した者である場合 その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
二 その転得者が他の転得者から転得した者である場合 その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
(転得者に対する詐害行為取消請求)
第四百二十四条の五
債権者は、
↓
受益者に対して
↓
詐害行為取消請求をすることができる場合において、
↓
受益者に移転した財産を転得した者があるときは、
↓
次の各号に掲げる区分に応じ、
↓
それぞれ
↓
当該各号に定める場合に限り、
↓
その転得者に対しても、
↓
詐害行為取消請求をすることができる。
一 その転得者が受益者から転得した者である場合
その転得者が、
↓
転得の当時、
↓
債務者がした行為が債権者を害することを
↓
知っていたとき。
二 その転得者が他の転得者から転得した者である場合
その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、
↓
それぞれの転得の当時、
↓
債務者がした行為が債権者を害することを
↓
知っていたとき。
以上が「第一目 詐害行為取消権の要件」(第424条―第424条の5)の条文です。
ここまで読んだ貴方は、読む前の貴方とはちょっと違うはず。その違いが「条文サーフィン」を続ける意味です。
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決して無駄にならない「条文素読」が学習の「突破口」になりますよ。
ここだけの話。
テキストを読んでから条文を読むより、「条文」を読んでから「テキスト」を読む方が理解がグーンと進みます。理解のカギは「先に疑問を持つこと」です。
学習の隙間を埋める「条文素読(条文サーフィン)」で独学(自習)応援!!
ではまた。