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条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第141回)遺産の分割
読み易さは正義!!
「読み」のハードルを下げて、
最速で法律の条文を読んで理解する「条文サーフィン」です。
「条文サーフィン」は、平面的な条文を立体的に読み込む一つの試みです。
この記事は一体なに?という方は、初回(第1回)の最初と最後の部分に簡単な説明がありますので、是非そちらをご覧ください。
条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第1回)贈与
さて今回は、改正民法(令和2年4月1日現在の民法)から、「遺産の分割」です。
・民法>「第五編 相続」>「第三章 相続の効力」>「第三節 遺産の分割」(第906条―第914条)
では早速、魔法の条文の一行一行を「波」に見立てて、かるーく乗りこなす
「条文サーフィン」を始めていきましょう!!
<条文を読むヒント♪>
条文中の「……場合」と「……とき」の二つの語句を意図的に太字にしてあります。是非この太字部分を意識して読んでみてください。これだけで条文の構造がグッと見えやすくなるはずです。お試しあれ!!
〇民法(明治二十九年法律第八十九号)
第五編 相続
第三章 相続の効力
第三節 遺産の分割(第九百六条―第九百十四条)
第九百六条(遺産の分割の基準)
第九百六条の二(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)
第九百七条(遺産の分割の協議又は審判等)
第九百八条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百九条(遺産の分割の効力)
第九百九条の二(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第九百十条(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第九百十一条(共同相続人間の担保責任)
第九百十二条(遺産の分割によって受けた債権についての担保責任)
第九百十三条(資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担)
第九百十四条(遺言による担保責任の定め)
第三節 遺産の分割
(遺産の分割の基準)
第九百六条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
(遺産の分割の基準)
第九百六条
遺産の分割は、
↓
遺産に属する物又は権利の種類及び性質、
↓
各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況
↓
その他一切の事情を考慮して
↓
これをする。
(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)
第九百六条の二 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
2 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。
(遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲)
第九百六条の二
遺産の分割前に
↓
遺産に属する財産が処分された場合であっても、
↓
共同相続人は、
↓
その全員の同意により、
↓
当該処分された財産が
↓
遺産の分割時に遺産として存在するもの
↓
とみなすことができる。
2 前項の規定にかかわらず、
↓
共同相続人の一人又は数人により
↓
同項の財産が処分されたときは、
↓
当該共同相続人については、
↓
同項の同意を得ることを要しない。
(遺産の分割の協議又は審判等)
第九百七条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
3 前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
(遺産の分割の協議又は審判等)
第九百七条
共同相続人は、
↓
次条の規定により
↓
被相続人が遺言で禁じた場合を除き、
↓
いつでも、
↓
その協議で、
↓
遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、
↓
共同相続人間に協議が調わないとき、
↓
又は
↓
協議をすることができないときは、
↓
各共同相続人は、
↓
その全部又は一部の分割を
↓
家庭裁判所に請求することができる。
ただし、
↓
遺産の一部を分割することにより
↓
他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合における
↓
その一部の分割については、
↓
この限りでない。
3 前項本文の場合において
↓
特別の事由があるときは、
↓
家庭裁判所は、
↓
期間を定めて、
↓
遺産の全部又は一部について、
↓
その分割を禁ずることができる。
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
第九百八条
被相続人は、
↓
遺言で、
↓
遺産の分割の方法を定め、
↓
若しくは
↓
これを定めることを第三者に委託し、
↓
又は
↓
相続開始の時から
↓
五年を超えない期間を定めて、
↓
遺産の分割を禁ずることができる。
(遺産の分割の効力)
第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
(遺産の分割の効力)
第九百九条
遺産の分割は、
↓
相続開始の時にさかのぼって
↓
その効力を生ずる。
ただし、
↓
第三者の権利を害することはできない。
(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
第九百九条の二
各共同相続人は、
↓
遺産に属する預貯金債権のうち
↓
相続開始の時の債権額の三分の一に
↓
第九百条及び第九百一条の規定により算定した
↓
当該共同相続人の相続分を乗じた額
↓
(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額
↓
その他の事情を勘案して
↓
預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を
↓
限度とする。)については、
↓
単独で
↓
その権利を行使することができる。
この場合において、
↓
当該権利の行使をした預貯金債権については、
↓
当該共同相続人が
↓
遺産の一部の分割により
↓
これを取得したもの
↓
とみなす。
(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第九百十条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
第九百十条
相続の開始後
↓
認知によって
↓
相続人となった者が
↓
遺産の分割を請求しようとする場合において、
↓
他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、
↓
価額のみによる支払の請求権を有する。
(共同相続人間の担保責任)
第九百十一条 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。
(共同相続人間の担保責任)
第九百十一条
各共同相続人は、
↓
他の共同相続人に対して、
↓
売主と同じく、
↓
その相続分に応じて
↓
担保の責任を負う。
(遺産の分割によって受けた債権についての担保責任)
第九百十二条 各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。
2 弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。
(遺産の分割によって受けた債権についての担保責任)
第九百十二条
各共同相続人は、
↓
その相続分に応じ、
↓
他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、
↓
その分割の時における
↓
債務者の資力を
↓
担保する。
2 弁済期に至らない債権
↓
及び
↓
停止条件付きの債権については、
↓
各共同相続人は、
↓
弁済をすべき時における
↓
債務者の資力を
↓
担保する。
(資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担)
第九百十三条 担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。
(資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担)
第九百十三条
担保の責任を負う共同相続人中に
↓
償還をする資力のない者があるときは、
↓
その償還することができない部分は、
↓
求償者及び他の資力のある者が、
↓
それぞれ
↓
その相続分に応じて
↓
分担する。
ただし、
↓
求償者に過失があるときは、
↓
他の共同相続人に対して
↓
分担を請求することができない。
(遺言による担保責任の定め)
第九百十四条 前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。
(遺言による担保責任の定め)
第九百十四条
前三条の規定は、
↓
被相続人が
↓
遺言で
↓
別段の意思を表示したときは、
↓
適用しない。
以上が「第三節 遺産の分割」(第906条―第914条)の条文です。
ここまで読んだ貴方は、読む前の貴方とはちょっと違うはず。その違いが「条文サーフィン」を続ける意味です。
<お知らせ>
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決して無駄にならない「条文素読」が学習の突破口になりますよ。
ここだけの話。
テキストを読んでから条文を読むより、「条文」を読んでから「テキスト」を読む方が理解がグーンと進みます。理解のカギは「先に疑問を持つこと」です。
学習の隙間を埋める「条文素読(条文サーフィン)」で独学(自習)応援!!
ではまた。