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北海道大学法学部編入合格体験記

 私は、令和4年度の北海道大学法学部編入試験を受験した結果合格しました。
 法学系の編入試験は大学によりますが、例年多くても10〜20人、少ないと0〜5名の規模でしか実施されていません。このように実施規模が大きくない中で受験者数も多く、倍率も高くなってしまう大学が多いため、受験生も不安になるかと思います。そうした受験生の不安を軽減するべく、少しでも参考にしてくれたら幸いだと思い、私の合格体験記を記すことにしました。
 2年次と併願して受験しましたが、2年次の方は、Bランク落ちという中々厳しい結果となりましたので、今回は3年次の方に絞って記していくことにします。

1.試験の基本情報(令和4年度試験)

・試験日
11/6
・試験科目
2年次 小論文(100点) 英語(100点)
3年次 専門科目(100点) 英語(100点)
※英語は独自試験
※R4年度は英和辞書1冊、六法の持ち込み可
・試験会場
北海道大学法学部
・合格発表
12/3
・(例年の)倍率
2年次(併願含む)10〜12倍
3年次(併願含む)5〜7倍

2.プロフィール

在籍校:関関同立の法学部
GPA:2点台前半
TOEIC:685
編入合格校:北大法 大阪市立大法(大阪公立大)

3.志望したきっかけ

 きっかけとしては、主に①将来の目標②興味ある学問分野③再チャレンジの3つが挙げられます。
 ①将来に関しては、過去の進路のデータから推測するに、北大には私と同じような志望を持つ方が多いことを知り、そういった環境に身を置き、切磋琢磨したいと思ったからです。
 ②また、私が興味を持った、現大学にはない研究テーマを専門とする先生の方がいらっしゃり、それを学ぶのに最適な環境であると考えたからです。
 ③最後は一言で言えば北大への"憧れ"です。元々受験生時代に北大に憧れていました。ある種の受験の再チャレンジの精神が働き、編入への大きなモチベーションとなっていました。これが1番のきっかけと言っても良いかもしれません。
 ここから少し話は逸れますが、編入のきっかけなんて何でもいいと思います。学歴コンプ、学部変更、興味ある研究テーマの追究、経済的な意味での国公立大志望などなど。きっかけがなんであれ、個人の自由だし、編入の勉強していくうちにきっと自分の本当にしたい勉強も見つかっていくと思いますし。
 また、複数校受験しましたが、法学編入を志すきっかけとなったのは、北大の法学編入試験の実施要項をたまたま見かけたことから始まりました。そのため実質的に最初から1番合格したかったのは北大でした。

4.(春からの)編入試験までの過ごし方

 4〜6月までは基礎固めとして、予備校の復習の徹底に努めたり、法学概論の参考書(特に重宝したのが末川博の『法学入門』)を行っていました。英語に関しては、特に苦手であったTOEIC(4月時点で400点台前半)に全振りしてました。
 7〜8月からは、法学概論(基礎法学)と並行して、政治学の基本書や、実定法(憲民刑)の入門書を始めました。この時期に実定法(憲民刑)の入門書を始めた理由として、同じ時期に過去問を見たことで、こうした実定法(憲民刑)から出題してくる大学があり、そうした大学を受験する予定だったからです。TOEICを終え、独自試験の英語対策も本格的にこの時期から始めました。この頃から北大の志望理由書にも取り掛かりました。
 9〜受験までは、入門書を含めた参考書学習だけでなく、様々な受験予定の大学の過去問を中心に行いました。直前期の休日には最低1日12時間は勉強してました。

5.北大対策に使用した主な参考書

 最初に5年分くらいの過去問の傾向を見て、どのような問題が出題されるかを確認した結果、これらの参考書を使用するのが効果的だと感じて、行いました。全て非常におススメです。

(1)専門科目

『法学入門』(末川博)
講師Nのプリント
『ファーストトラック憲法』
『ファーストトラック民法』
『ファーストトラック刑法』
『政治学入門』(木寺元)
『政治学小辞典』
『政治学の第一歩』
『政治学をつかむ』
『政治経済用語集』
過去問

(2)英語(独自試験)

『ポレポレ英文読解』
『英文読解の透視図』
『速読英単語(必修編)』
『速読英単語(上級編)』
『単語王』
『Vocabulary for Law』
過去問

6.過去問

 北大は特に過去問を使用して勉強していくことで成果が上げられやすい大学だと思っています。ある程度傾向と対策が掴めます。専門科目においては法学と政治学が出題されて、法学50点政治学50点の配点です。因みに私は専門科目においては10年間分以上は解いていきました。

7.試験当日

 専門科目を受けたときには、開始時にページをめくった瞬間に、全体的にかなり難易度が高いように感じて、ショックを受けてしまい頭が真っ白になりました。(実際は例年並みの難易度であり、緊張感から来るものだったと後になって思います。)特に法学の問題1 問2に私の実力では歯が立たない難問が出題されていました。恐らく0点に近いだろうなと確信しています。政治学では、ある程度対策していたことが出題されて、そこで部分点をもぎ取っていった感じです。
 英語は、比較的難しめの単語が頻出する、長めの長文が出題されます。はっきり言って結構難しいです。しかし、今年に関しては、英和辞書の持ち込みが認められていたので、試験前まではある程度気持ち的に余裕を持つことができていました。ただ試験を受けてみると、時間が足りなくなり、ギリギリで読み切った記憶です。また手応えに関しては全くなかったです。
 その日の夜は不合格を確信して、二度と北大に来ることはないだろうなと考えて、非常に落ち込んでいました。

8.合格発表

 倍率も非常に高く専門科目と英語の手応えは全くなかったため、不合格を確信しており、合格発表当日はかなり鬱になっていました。「どうせ落ちてるんだろう。見る必要なくない?w」くらいの感覚でした。ただ、結果発表の時間になると、やはりソワソワしてきて、「どうせ落ちてるけど、気になるから見てみるcar」くらいの感覚でした。
 ありきたりですが、「この悔しさをバネにする」と思って次に向かおうという気持ちで、泣きそうになりながら、見ました。あれ?何かおかしい。頭が真っ白になり、わけがわからなくなりました。
 もう一度見てみました。それでも違和感が...
 5回くらい受験番号を見直した記憶があります(笑)
「う、受かってる...」
 小声で独り言でボソッと言った記憶があります。
 人生で"最高の1日"となりました。

9.合格の要因

 合格の要因については考えたところいくつか出てきました。

(1)専門科目での粘り

 法学に関しては、問題1 問1の問題のテーマを参考書などを用いて学習したことがあり、思い出して、それを中心に書いていきました。また、予備校の復習の徹底により、最低限の部分点をも取っていけた部分もありました。
 政治学に関しては、一部の問題で、過去問の傾向から前日に直前の対策で詰め込んでいたことが出題されて、心の中で凄くラッキーと思って取り組みました。
 ここから言えることは、わからなくても知ってることやある程度近いことはとにかく書いて字数を埋めていくことです。白紙だと点数はもらえません。しかし何か書いてあれば、部分点はもぎ取れる可能性は出てきます。また、直前に対策していたことがそのまま出題されたのも、運が良かったといえばそうなってしまいますが、事前の準備を最後まで怠らなかった結果なのかなとも思います。

(2)予想外の英語の出来

 手応えは最悪でしたが、得点開示してみたら予想以上の点数が来てました。私自身ある程度文法が得意でしたので、辞書の持ち込み可により、ある程度余裕を持って、英文和訳や、説明問題などに注力していくことができたのではないかと思います。最終的に時間は足りなくなりましたが、英文和訳系統の問題はほとんど、一問一問丁寧に文法構造に関しては大きく外すことなく訳していくことができたと思うので、そこでそこそこの点数が来たのかなと感じます。

(3)過去問のやり込み

 私自身(北大の)過去問のやり込みは必要だと考えています。特に神大や北大といった大学は法学編入実施校の中でも問題の難易度が高すぎるわけでもなく、良問であるため、他の大学の法学編入試験を受ける上での土台を築き上げることもできると思います。また、過去問の傾向を見ながら、(特に政治学を)対策していくことが、合格に繋がると考えていました。当日の試験では(政治学の一部では)対策していたことが出題され、そこそこ書けたので、恐らくそこである程度の点数が来たと考えられます。

10.反省点

(1)実定法(特に憲民刑)の勉強

 基礎法学以外にも実定法(憲民刑)の勉強にももっと早くから力を入れて行うべきだったということが考えられます。編入は、範囲が極端に広いため、基礎法学以外からも出題されるケースも多々あります。したがって、比較的どの大学でも出題されやすい、憲法、民法、刑法をももっと早い時期から重点的に勉強しておくべきだったなと感じています。私の場合、過去問を本格的に見たのが7〜8月からだったので、少し過去問を見る時期が遅かったという感覚があります。将来の受験生には、4月など早い時期から過去問を見て、傾向を分析し、どの範囲から出題されるのかを確認して、今後の勉強に生かしていってほしいです。編入においても先を見据えた勉強は大切なのです。
 また、過去問を見て、例年、憲民刑で突っ込んだ出題がされている大学の編入試験を受ける予定であるならば、基礎法学の参考書を勉強して、ある程度十分なレベルとなったら、最低限憲民刑の基礎の基礎の部分からでもいいので、早い時期から入門書などを通して本番に備えておくべきです。

(2)法学系の専門単語

 合格要因(2)とは逆となりますが、本番では辞書を引きすぎて、時間が足りなくなってしまったのは大きな反省点であります。ここから分かる通り、私は単語の暗記より解釈や長文読解を中心に勉強してしまっていたため、他の受験生と比べて法学系で出題頻度の比較的高い基本的な単語をそこまで多くは知らなかったように思えます。もちろんそれらの法学系の英単語の暗記も行いはしましたが、開始時期も遅く、そこまで重点的には行っていなかったため、本番で少し苦しんだ記憶です。
 R4年度は英文和訳系統の問題が中心で出題されていたため、基本的な法律系の専門単語は事前に絶対に知っておくべきです。今年度に関しては英和辞書の持ち込みが可能でしたが、長めの長文が出題されて、一々引いていたら時間が足りなくなる可能性があるため、使用する機会は最低限に留めることができるくらいには、覚えておくべきですね。

11.得点開示

 正直合格最低点か、それに近い点数だと思われます。次受ける機会があるとしたら受かってない可能性もある点数です。このようにギリギリのラインで受からないようにするには、早め早めに過去問の傾向を分析して、対策していくことが必要だと思います。
 ただ自信を持って書いていた部分もある専門科目が思ったより全然点数が来なかったなという印象はあります。どこかで誤字脱字といったケアレスミスや、事実と反する誤った内容を書いてしまったのでしょうか、すごく気になってはいます。

得点開示

12.まとめ

 あくまで単なる一合格者(それも恐らく合格者最低点かそれに近い点数である)私の合格体験記なので、参考にならない点も多いかと思います。ただ、何が要因で合格したかや、ギリギリで合格した原因として、どこら辺に反省点があるのかを追究したら、見えてくるものがありまして、将来の受験生のために、こうした気づきを残そうと思い、記してきました。
 編入の勉強は非常に大変です。ただ何らかの目的意識を持って取り組めば、この体験は将来必ず役に立つと信じています。
 私も一編入経験者として、将来の受験生の皆さんを応援しています。ここまで、長く拙い文章でしたが、読んでくださりありがとうございました。

【追記】

 北大法は3年次に編入学した場合、2年間で90単位の専門科目を取る必要があります。一方で単位認定の申請をすることができます。私の場合、前大学で取得した専門科目が22単位分引き継げました。すなわち、2年間で68単位取れば卒業できるということです。実際これは卒業に向けてかなり大きかったです。
 講義に関しては3年生というより2年生が取る科目が多くなり、実質的に2.5年生みたいな科目の取り方をしました。これは選択必修Aという2年生の最初の必修科目を満たす必要があったからということも大きいです。今年から対面試験が再開しましたが、しっかり勉強すれば取れるし、勉強しなければ落とすというどの大学もこれは同じだと思います。
 また3年次編入学した場合でもサークルに入ってる方も多く、私もいくつかサークルに入りました。ちなみに編入生NGというサークルは基本的にないと考えて大丈夫です。このように想像以上に前期の間はある程度時間の余裕を持つことができ、編入後の大学ライフを楽しめました。3年次編入だと編入生以外に友達ができないのではないかと杞憂する必要もないくらい、一般生含め、サークルやバイトやゼミを通して色々な人と関わり仲良くなれたと思います。編入生同士では授業が被ることが殆どで、すぐに仲良くなれました。今ではたまにご飯や遊びに行く仲間ができました。
 私も含め編入生でもバイトしてる方が多く、1年生からいる一般組と同じような学生生活のスタイルを送っている方が結構多いのではないでしょうか。
 実際編入学してみて感じた北大法の魅力としては、①専門科目に関して選択できる科目が多い②政治学系統の学問レベルが非常に高い③北公会等の公務員イベントが多く、合格者の先輩方と繋がりやすく情報を得やすい④ゼミが半期のため様々な分野を幅広く学べる⑤卒論必須ではないため、卒論を書こうと思えば、かなり丁寧に対応してもらえる⑤法架ゼミ等の法曹の魅力を伝えられるような講義科目があり、法曹のイメージを実際に体感しやすい⑥他学部履修がしやすい等が挙げられるでしょう。
 北大全体の魅力としても、(1)大学祭の規模が非常に大きい(2)(水産の3,4年以外)12学部が1つのキャンパスに集約されるため、他の学部の人と仲良くなりやすい(3)サークルの数が非常に多い(4)四季折々の風景が綺麗(特に紅葉🍁の季節や、冬❄️は本当に感動しました)(5)立地としても札幌駅から近いため不便がない(6)キャンパス内に動物がいる(牛🐄や羊🐏や狐🦊やリス🐿や猫🐈等)(7)キャンパス内が全国の中でもトップクラスに広く散策できる場所が多い(8)アイヌを専門とする学者が多く、アイヌに関して学びたいなら全国トップクラスに環境が整っている、等が挙げられます。
 北海道自体も観光スポットやグルメが多いので、函館や、小樽に行ったり、こちらのグルメであるスープカレー、ザンギ、海鮮丼、寿司、味噌ラーメン等を食べたりして堪能しました。
 まだまだ語り尽くし足りないですが、このようにいくらでも魅力が挙げられる最高の大学なので、編入学を目指されるなら、北大がおすすめです。拙い文章でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

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