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仕事中に熱中症で倒れた!保障ってどうなっているの?コロナについても調べてみた。

30度を超える暑さの中、マスクを装着して日常生活をおくる。去年の自分が見たら、どんな罰ゲームだよ!とでもツッコミが入りそうですが、そんな日常に生きる我々…。今日も暑さとの戦いの中マスクでコロナ対策です。
通勤の途中で遠のく意識…コロナよりも先に熱中症でやられるのではないか…?一抹の不安が脳裏に浮かびます。

最近はコロナでの死亡者より熱中症での死亡者が多いとか。原因が違うものを比べるのもあまり意味が無いですが、水分をこまめにとって冷房の効いた環境で過ごすようにしたいですね。

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とは言っても、仕事柄どうしても日中に野外での移動を迫られる人も少なくないでしょう。
この殺人級の暑さの中もし営業の外回り中に熱中症で倒れた場合、入院や治療のお金はどうなるんだろう…withコロナの中で仕事中にコロナに罹った場合も、保障とかってどうなるんでしょうね…ということで、調べてみました。


1.業務中の怪我や病気、保障ってどうなっているの?

これはずばり、労災ってやつですね!

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労災とは、労働災害の略称。労働災害とは、労働者の業務上または通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡のこと。
そして、労働災害が発生した場合には、労災保険法に基づき、政府が管掌する保険である労働者災害補償保険からお金が給付されます(労災保険法1条、2条)。
「え、そんな保険入った記憶ない!」なんて人もご安心下さい。この保険は、原則労働者を一人でも雇用する事業であれば加入しないといけないもの(労災保険法3条1項)。労災保険における保険加入者は事業主であるため、保険料はすべて事業者の負担です。この労働者にはアルバイトも含まれ、請負契約や委託契約も含まれることも。(福岡高裁判平成25年2月28日 日本インシュアランスサービス事件)


労働者にとってはめちゃくちゃありがたいシステム!但し、労働者が故意又は重大な過失により事故を発生させた場合には給付が受けられないので注意しておこう(労災保険法12条の2の2)。

2.給付の種類

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労災の存在が分かったところで、給付内容を見てみよう。医療保険だと入院費や通院費が貰えるイメージだけど、労災保険はその内容が幅広い。

・療養(補償)給付
労働災害を被ったときの治療にかかる費用全額を給付。労災病院や指定医療機関の場合は現物給付となる。

・休業(補償)給付
労働災害で休業した場合に、休業4日目から賃金の60%相当を給付。さらに特別支給金20%相当も加算。

・障害(補償)給付
労働災害で被った病気や怪我が完治せずに症状が固定した場合に、障害等級に応じて年金や一時金が給付される。障害等級1~7は年金支給、8~14は一時金支給。この場合も特別支給金が加算。

・遺族(補償)給付
労働災害で死亡した場合、遺族には年金が支給される。遺族がいないときには一時金が支給される。この場合も特別支給金が加算。

・その他の給付
その他の給付としては、葬祭料や葬祭給付、傷病(補償)年金、介護(補償)給付、二次健康診断等給付がある。このうち傷病(補償)年金は、労働災害による療養を開始してから1年半が経過しても依然として症状が固定していない場合に、傷病等級に応じて支給される年金。この場合も特別支給金として一時金や年金が加算。

また、通勤時に交通事故に遭った場合、加害者に請求できる分を労災保険が立替払いしてくれるシステムもある。結構手厚い給付だね。

参考:◆「労災保険給付等一覧(労災保険給付の概要)」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-12-04.pdf

3.給付要件

では、実際に給付を受けることができる要件をみてみよう。労災保険が給付される場面は、
負傷・疾病・障害・死亡が仕事中に生じた場合
負傷・疾病・障害・死亡が通勤時に生じた場合
の2つに大別できる。そして場面ごとに要件が異なっている。

①負傷・疾病・障害・死亡が仕事中に生じた場合

この場合必要とされる要件は、
当該負傷等が業務上の災害であること(業務起因性)である。

ぎょうむきいんせい…?

これは簡単に言うと、雇い主の支配下で働いている間に、その仕事が原因で怪我や病気になったといえるか、と言うこと。基本的に事業主の支配・管理下で業務に従事している場合には、特段の事情が無い限り業務起因性は認められる。トイレに行っている場合でも認められる。また営業回りで外出している場合にも雇い主の支配下にあるといえるので、業務起因性が認められる。
一方で以下は業務起因性が認められない場合なので、頭の片隅においておこう。

・就業中に私用を行い、業務を逸脱する恣意的行為をしていてそれが原因となって災害を被った場合や労働者が故意に災害を発生させた場合

・休憩前や就業前後の時間に私的な行為によって発生した災害

そして業務上の疾病の場合、業務との間に相当因果関係が認められる疾病については労災保険給付の対象となる。これを「業務上疾病」という。
熱中症は労災対象疾病に指定されている(労働基準法施行規則別表第 1-2 8)ので、業務との間に因果関係が認められれば、熱中症の場合も労災認定がされることになる。


②通勤途上の災害の場合

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この場合は怪我や病気が発生したのが「通勤」時と言えなければならない。そしてここでの「通勤」とは、

◎ 住居と就業の場所との間の往復
◎ 就業の場所から他の場所への移動
◎ 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動

上記の移動について、合理的な経路及び方法で行っていて、業務の性質を有するものを除くものを指している。

また、上記の移動であっても、逸脱または中断した場合には、その間およびその後の移動は「通勤」とはならないとされている。ただ、この逸脱や中断には下記の例外があって、この場合はなお「通勤」と認められる。

「逸脱」「中断」の例外となる行為
① 日用品の購入その他これに準ずる行為
② 職業訓練
③ 選挙権の行使その他これに準ずる行為
④ 病院または診療所において診察または治療をうけること、その他これに準ずる行為
⑤ 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、曾祖母および兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

会社からの帰宅途中にスーパーで日用品を買うのは、労災の対象の「帰宅」に含まれるんだね。

参考:◆「労災保険給付の概要」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-12-02.pdf
 

では、具体的なパターンを見てみよう!

社内レクリエーションや接待の労災ってどうなっているの?

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最近は接待が少なくなったとは言え、避けられない場合って結構ありますよね。後、最近は社内での社員だけを集めてイベントを行う会社が増えているとか。こういった場でケガ等をした場合は労災保険の対象になるのか?
これは、労災認定されるのは難しい場合が多いみたい。明らかに業務命令で接待ゴルフをしていた場合に労災認定がされたケースがあるみたいだけど、かなりレアケースらしい。


コロナの労災ってどうなっているの?

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厚生労働省はコロナにり患した人について、労災が認定された事例を公表している。医療従事者や介護職の人は当然として、医療関係者以外でも建築業の人で、コロナにり患した同僚と同じ車で移動した場合に労災認定がされている。
基本的には先で上げたように、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には労災保険給付の対象となるとのこと。

参考:◆「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて 」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000635285.pdf
参考:◆「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例 」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000647877.pdf

労災って知らないと損しそうだなぁ。これで、安心して労働に従事できますね!

参考:◆「労働災害が発生したとき」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/rousai/index.html


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