#4 嫁が竜槍スマウグを手に入れた話
*竜槍(りゅうそう)スマウグとは
SFCのRPG『ロマンシング・サガ3』のレアドロップ装備のこと。
*発端
過去に何度か夫婦間で話題になったこともあり、彼女がSFCの『ロマンシング・サガ2』『ロマンシング・サガ3』をプレイしていたのは知っていたんだが、そういやスイッチにリメイク版あったよなと思い立って購入を勧めたのが最近のこと。
ちなみに彼女のプレイ方針としては、
①主人公はカタリナが良い
②仲間は出来るだけかわいい子が良い(強い子もほしい)
③タチアナ(※後述)に術を使わせる
このように、フワっとしてる一方で謎のこだわりが感じられるものとなっております。
まあ、カタリナが良いっていうのはわかる。某やり込み動画を好きで視聴していた者としても、「8人中唯一、OPにバトルイベントが存在しないためRTA常連の主人公である」ってのは知ってましたからね。でも訳を聞くと、当然そんな理由ではなく「かわいいから」との事。短髪のグラフィックがかわいいんだって。まじか。そもそも嫁の感性にはいささか疑問を持たざるを得ないものがあってだな・・・まあいいかこの話は!
そんなわけで、嫁のリメイク版ロマサガ3の旅が、実に●●年ぶりに始まったのだった。
余談だが、筆者である旦那(=僕)のロマサガ3経験は、当時現役でプレイはしていたのだが、実力でクリアした記憶がない。確か初めて選んだ主人公はエレン。ポニーテールのドット絵が可愛かったからね。その頃から既に、ゲーム音楽には並ならぬ興味を抱いていたので、四魔貴族バトルの曲を永遠に聴いていたかった。フォルネウスに負けた辛い記憶が今蘇ってきた。まあいいかこの話は。
*経過観察
旅が始まると、彼女はまず真っ先に「タチアナ」を仲間にしていた・・・。
ここで、ロマサガ3を知らない読者の方のために説明すると、タチアナ(本名)とはロマサガ3の仲間キャラクターの女の子で、ゲーム世界での富豪「ラザイエフ家」の末娘である。という設定があるのだが、ゲーム中では匂わせる程度でそもそも本名も登場はしない。(仲間になる度に、スフレ、シャーベットなどのスイーツを冠した偽名をランダムで使用するが同一人物である)
また、街でうろうろしているタチアナに触れただけで強制的に仲間になり、かつ、酒場で外すことができないという特徴がある。お世辞にもステータスは高いとは言えず、固定装備枠のクマちゃんも外せないため、いわゆるお荷物キャラとして有名なのがタチアナというキャラクターだ。
そんなキャラを真っ先に探し、挙句のはてに「術士になってもらう」というのだ。当時もそんな風にプレイしていたという。まじかよ。
*第一の災い
さて、そうしてほぼ最弱キャラを仲間にした嫁カタリナだったが速攻で行き詰まってしまう。
なんと、カタリナとタチアナの二人だけで「いけにえの穴」に閉じ込められてしまったというのである。まじかよ。
いけにえの穴とは、ギドラントという街で発生するサブイベントに登場する小さなダンジョンである。いわゆる「私が町長です」というネタの元凶になったものだが、何度かねずみの大群に挑んでは負けた後に「そういえば抜け道あったよね」ということに(嫁が)気付き、事なきを得たのであった。いやあ、はるか昔の記憶すぎてサブイベントほとんど覚えてないやね。ということで、この記事もうろ覚えを補完するために色々調べながら書いています。間違ってても許してね。
*第二の災い
不穏な立ち上がりを経た嫁カタリナの旅は続く。
ピドナの夢魔イベントを経てそこそこ成長したカタリナパーティだったが、モウゼスに突貫したことから再び悪夢が始まってしまう。
ウンディーネとボルカノから依頼を受けたあと、井戸に入りなんとかかんとか盾をゲット。したまではよかったが、出たあとで術士二人の猛攻を受けあえなく全滅。まあ・・・そうなるよね。なった。あいつら意外と強いよな。ちなみに、その後リベンジを果たしたそう。
*以下略
その後も「ようせいどこ行った問題」「タチアナに水の術覚えさせられない問題」「後から加入したロビンが弱い問題」などなど・・・一見何言ってるのかさっぱり分からない問題が噴出。一つずつ説明すると一生noteを書き終えられないのでこの辺にしておきます。
嫁のプレイ方針としては、前述したとおり「かわいい子と強い子優先」というものがあり、現在のパーティとしては、カタリナ・タチアナ・シャール・ようせい・ロビンという面子になっている。主人公とタチアナはまあいいとして、シャールは強い子枠だそうです。ようせいはもちろんかわいい枠。ロビンはなんとなく頭数合わせで仲間にしてそのまま・・・とかだった気がしますが、中でもようせいとロビンの加入時期が他3人に比べて遅く、HPが低い。つまり死にやすい、という問題が今の悩みどころとのこと。
差し当たっては強い武器が欲しい。そう、槍が欲しい。なぜなら、シャールは強いからね。うん・・・そうか。
「聖王の槍、ってあったよねぇ」
「うん、確かあった。でも何処だっけ」
「わからない」
「アーメントゥームは? ようせいが持ってるでしょ」
「そんなに強くない」
「ええ・・・」
「もっと強い槍なかったっけ?」
「なんかあったっけな・・・覚えてないや」
「そっかー」
というような、本当にプレイ経験があるのか怪しい会話をした覚えがありますが、その後、何をどう調べたのかわからないけど、嫁は竜槍スマウグを探す旅に出たようです。まじかよ・・・。
*竜槍スマウグとは(本題)
長ったらしい前置きを経てようやく本題です。
何がどうなってそうなったのかはこの際問いません。だが・・・
「そう、噂には聴いたことがある。モンスターが落とす伝説の槍がある、と」
「繰り返し戦えるドラゴン・ルーラーがいるの。」
「そういえば、そんな名前だったな。だが・・・強敵だぞ、やつは」
「知ってる。でももう、この方法しか」
「少し考え直せ。レアドロップというのは、出ないから伝説になるんだ」
「でも、やり続ければ」
「まじかよ」
という会話があったかどうかは知りませんが、ともかく彼女は氷銀河で戦えるドラゴン・ルーラー(白)を標的にしたのは確かである。
マップを移動すれば再ポップする唯一のドラゴン。それが白いあいつ。
ドラゴンルーラー自体は固定敵として戦える機会は他にもある。ただ、戦いやすさの点で白ルーラーがほぼ一択。そもそも出現するダンジョン自体を出すのに結構めんどくさいという説もあるが、まあやるならがんばれ・・・と思って見守っていた。
だいたいそのパーティで倒せるのかな。と思ってプレイ画面を眺めていたが、双龍破と分身剣で押し切ってました。どちらも与ダメ1200程度で。いやそれで周回するのきついでしょ。勝てる以上は、狙えるとは思うんだけども。
一応調べました。2%だそうです。解析系の攻略サイトに書かれていますね。
氷銀河の最深部にある聖王遺物「氷の剣」の前に立ちはだかる。
ドラゴンルーラーの中ではHPが少なく一番倒しやすい。
冷属性防御のある装備があれば付けておきたい。
撃破後、画面を切り替えると再出現するため、竜槍スマウグを複数入手するなら最適な相手。
倒しやすいとはいえ時間は掛かる。どんだけやれば終わるんだ。
でも、嫁にとっては理屈じゃないんです。もはや後に引けないというのもあるんだろうけど、やり続ければいつか絶対に落とすんだという信念が、彼女にはあった。一番近くで見ていた僕が言うんだから間違いない。彼女はやり遂げる。いつか必ず・・・。
そして、その刻(とき)は来た——
「ふぅ。今日も一日よく頑張った」
浴槽の、ちょうど良い暖かさの温もりにそんな事を思いつつ、足を伸ばしたり縮めたりしていた時に、それは起こった。
「アイエエーーー!」
「ザッケンナコラー!」
「スッゾオラー!」
複数の叫び声と同時にゴシャアッ!という不気味な音を立てて”何か”がすぐ側に倒れ込んだ。それは突然の出来事だった。下半分をメンポに覆われた顔が真っ赤に染まった「それ」を一瞥した私は、生まれたままの姿でゆっくりと立ち上がった。
「おいおい。これは外に立たせていた奴じゃあないか」
他の者はどうした、と声をあげるかあげないかと同時に、私の視界の端をよぎる影。ヒュウ!と、鋭い風切り音を立てて「何か」が私に向かって伸びたようだった。
「おっと。手荒いアイサツ、だなァ・・・」
およそ30センチほどの目前をかすめたそれは、長く細い武器のようだ。私は滑らないよう、慎重に浴槽からあがり数歩前へ出る。やがて殺気を感じ、浴室の外に目をやると、”彼女”の足元に2・3人ほどのクローンヤクザだったものが見えたが、構わず私は続ける。どうやらただのニンジャではないらしい。
「どうしたんだい? その『槍』は・・・」
「とうとう・・・」
「うん?」
「手にいれた・・・ぞ。竜槍・素魔宇愚!」
「ほーう、それが例の」
「この槍の想い・・・受け止めよ。貴様を、消す・・・南無三!!」
私の言葉を遮って再び向けられた槍に対し身をよじるも、わずかな痛みが左腕に走る。赤く染まる掌を空に向けて、溜息を一つ。こうなってはいた仕方がない。これも「定め」か。かつて、彼女を止められなかった私の、贖うべき罪なのだ。
「最強の武器には、最強の防具で応えないとな。出でよ・・・魔王の鎧!!!」
ニンジャたちの夜は、まだ始まったばかり。
FIN
*余談
「槍取った!!!!!」って言って突然風呂場に嫁が入って来た話は実話です。ウッソでしょ・・・って思った。本当にやりやがった。
ちなみに、嫁は「もう1本欲しい」とか言って、数十分後にまたスマウグを手に入れてました。なんだよその一生分の運は。
サプライズニンジャがやりたくてうっかり書いてしまいましたが、忍殺はあまり詳しくないので深くつっこまないでいただけるとたすかります。
↓こういった趣旨のものです。