平凡な平和と美人な戦争
平和というあなたの恋人、その人は容姿は凡庸であるが、寛大であり人格者である。
人は平和に一時期恋い焦がれ、愛し愛され、母に抱かれるように安堵するが、しかしその平凡さ、無味乾燥で刺激のない生活に飽きる日が来る。
戦争という絶世の美貌を備えるその人にあなたは次に恋心を抱く。その人の秋波を放つ美に憂き身を窶すほどあなたは熱中する。訪れる日々が楽しくてあなたは仕方がない。その美貌、気高さを間近に甘美を感じる、それだけであなたはあなたの憂いが消え、自身の偉大さを誇るようになる。そして、苦しみ悩む者を軽蔑する。
だが、その戦争という美人は淫乱であなたを搾取するだけして、いずれ飽きあなたを捨てる。残滓は累々たる利己によって生み出された怨念と美人が残した負債であろう。
そのとき平和の平凡さをあなたは嗄れた声音で求むのである。心から…。
理想と素材。―君は、高貴な理想を眼前にしている。だが君は、実際のところ、そうした神々しい彫像に作り上げられるほどに高貴な石像であるだろうか?さもないとしたら―君の仕事という仕事はおしなべて粗暴な彫刻作業ではなかろうか?君の理想は冒瀆ではなかろうか? ニーチェ
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