汚ねぇからやめろ!!!
猛反省。
悔やんでも悔やみきれない。
窓際にいるHくんに罵るような怒号をぶつけてしまった。しかも、汚ねぇなどと相応しくない言葉で。
5時間目、書写の時間。
「では、書いてごらん。」
そう言って私は席に座った。
周りを見渡した。
Hくんはというと他のプリントを取り出してものいじりをしながら遊んでいた。
Hくんにまずは問いかけた。
「プリント取りに来たよね?」
「そのあと、どうするの?」
Hくん「やる。」
「じゃあ、やって。」
何人かの児童のノートを丸つけた後、またHくんを見た。
まだ遊んでいた。
次は近くに寄ってった。
Hくんは寝たフリをしたので、椅子を持ち上げ起こした。
「Hくん。」
「やるって言ったよね?」
Hくん「うん。」
「いいの、これで?」
Hくん「ダメ。」
「そうだね。じゃあ先ず何からする?」
Hくん「…。」
「なぞりからやってみる?」
Hくん「うん。」
「よし!自分でやろうね。」
また丸つけに戻った。
さて、この次だった。
わたしは吠えた。
Hくんはまだ遊んでいたのだ。
しかも、机によだれを垂らしねりけしを作っていた。
その瞬間、私が怒鳴った。
「H!汚ねぇから、やめろ!」
「やるって言ったのはあなたでしょ!それが学習する態度か!」
教室はしんとなった。
きっと私の心の中はこんな気持ちだっただろう。
「どうして、あれだけ言ってもやらないんだ!やらないと力がつかないのに!」
なぜやらない、なぜやらない…。
そればかりが心の中を支配していた。
Hくんはというと、
怯えていた。
全く指導など入っていなかった。
その後、帰りの会の準備の際にHくんを呼んだ。
お家の人の話題になるとHくんはより強く反応する。
「このままでいいのか?」
Hくん「ダメ。」
「どこから書き始めるか決めるか!」
Hくん「うん。」
私の机で座らせ、1文字1文字褒めながら共にやった。
「書けるじゃ〜ん!もう一文字は自分でやる?」
Hくん「うん。」
「よっしゃ。」
「どうして今やって授業中にはやらないの?」
その言葉は飲み込んだ。
“できない子ほど優しく”
この言葉を帰り道、頭の中で反芻させた。
“指導に熱を入れない。感情的にならない”
メモを見返して再度確認する。
指導力、人間力、授業力。
今日はその全てが低く落ちぶれていた。
共にやる。
やるまで見る。すぐに離れない。
励まし、褒める。
もう一度、もう一度確認する。
心に喝を入れる。