乱される
こんなにも感情を動かされたのは初めてだった。
音楽の授業のある場面。
何度言っても鍵盤ハーモニカを吹き鳴らすIくんがいた。
全体が静まっても、ドレミファソと高速で鍵盤で音を鳴らしていた。
私は堪忍袋の緒が切れ、彼の近くに行った。
低く、感情を露わにして
「やめろ」
その一言をぶつけた。
素直にやめると思った。
しかし、やめなかった。
最後には、「やめる?」と言い、彼はそれに頷き鍵盤ハーモニカを自身で片付けた。
私もそれに同意した。
「わかった。そうしな。」と。
どこを弾いているのか、なんの音を弾けば良いのか。
それがわからないから吹き鳴らす。
注目がほしい。そのために勝手な行動をする。
そう私は捉えている。
全体を乱す行為を私は許さない。
そんな心を持っているから、厳しく“困っている彼”を見ずに、気になる行動だけ叱責して自尊心を下げてしまう指導をしてしまう。
今日の音楽、わたしは「教えていない」。
指示か叱責、その2つしかしていない。
〇〇した方が、もっと良くなるよ。
こうしたら、こうなるよ。
こうしたら、良くなるよ。
ここはね、こうするんだよ。
包み込むように教えられていない。
褒めて流す。
笑顔で授業をする。
そのためには、彼らの適切な行動に注目して、見つけようとすることが必要だ。
クラス全体への支援を優先して、彼らへの支援・巻き込み・気づき、そして行動の変容を営んでいく。