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青の記録(第二章)
高校に入学すると真っ先に「バンド研究会」に入部した。
新入生を集めて色んな部が、オリエンテーションという形でそれぞれの部の説明やパフォーマンスを行うのだが、バンド研究会はその時、当時の先輩達が尾崎豊の「17歳の地図」のコピーを演奏していたのを覚えている。
見学者は僕を含めて何人かいて、割と部室が満員になる規模の賑わいだった。
その場で入部希望書を提出して、早速入部。
華々しいバンド活動のスタートと思っていた。
新入部員は数人いて、楽器経験者も何人かいた。特にギターやドラムを演奏する同級生を見て、「すげー、音源と同じ音出してる」と驚愕したものだ。
たまたま同じクラスメイトに部員が集まっており、即席だが初のバンドを結成した。
当時の僕のパートはギター。
一番初めにミスチルだったかのコピーの合わせをしたのだが、あの時の衝撃は未だに忘れられない。
側から見たら高校生のしがないコピーバンドの演奏だが、初めて楽器が合わさった時の、あの何にも変え難い一体感は、本当に心の底から感動した。
音もろくに作ってなかったし、ミスもあっただろうが、家で一人で弾いてるときとはまるで違う、生音の刺激の虜になった瞬間だった。
徐々に他のパートも揃い始め、課題曲も決まったところで一つ問題が起きた。
ギターが3人いるのである。
実は集まったクラスの部員の構成は以下であった。
Vo→経験者、ドラムと元々友達。
Gt1→バンド未経験だがギターは上手い。
Gt2→楽器未経験者。
Ba→楽器未経験者。
Dr→経験者、ボーカルと元々友達。
僕。
普通ならGt2の代わりに経験者である僕がギターを弾くはずなのだが、なぜかあぶれることになった。
ここから雲行きが怪しくなり始めた。
実は中学の頃、ギターとは別にシンセサイザーを購入しており、そのことをクラスメイトに話したことがあった。
そこでキーボーディストとしての加入を依頼されたのである。
キーボード、それはJ-POP系の曲にはもれなく入っている音であり、ある意味では絶対に必要なポジションと言える。
他の部員を誘って自分の別のバンドを立ち上げようかとも考えたが、めぼしい人材はおらず、クラスメイトにもかなり強引に声をかけまくったが、誰からも色良い返事はもらえなかった。
結局、キーボーディストとして初の文化祭ライブに臨むこととなった。
ちなみに当時、コピー曲を2曲演奏したのだが、キーボードの役割は曲の裏でうっすらとコードを鳴らすだけのようなもので、はっきり言ってマジでつまらなかった。
そして高校生活初の夏休みを迎えようというとき、ある考えが頭に浮かんだ。
部活で無理なら学校の外でメンバーを探せばいいんじゃないか?
ネットがあまり普及していなかった時代なので、雑誌にメンバー募集記事を出したところ、僕の募集記事は見事に雑誌に掲載され、早速、一緒にやりたいという人からメールが来た。
ここから僕の音楽人生は、更なる混沌に飲み込まれいくことになる。