あっというまに過去へと過ぎ去っていく至福
電気グルーヴ35周年ツアー「3594」。5年前は30周年ツアーファイナルの3日前に瀧逮捕にて中止というできごとがあった。35周年を迎えることができてほんとうによかった。電気グルーヴのグッズは毎回かわいいのと、集金の時間であると明確に位置づけられているので何かは買う。今回はスポーツ紙にコタツ記事を書かれるほどの話題の製品「うちわ」は必須アイテムだ。酔狂が過ぎるグッズを購入し、いちおう会場に持ち込むがうちわを振る機会はとくにない(一部MC時のみ)。フロアで前にいた人がカラビナを使ってうちわをボディバッグにぶら下げており、なんて賢いんだと感心した。きっちり2時間、わりと平温で演っているかのようだったが音と映像、気合が入っていてものすごくかっこよかった。ふるまいやグッズは酔狂が目立つが音はほんとうにもう、こっちの身体を知り尽くしているかのようにこれが一番気持ちいいんだよというぴったりのBPM、ぴったりの強さと彩りの音。その場にいる時だけ感じることができてあっというまに過去へと過ぎ去っていく至福。ライブはほんとうにいいですね。
終演後、ステージに浮かぶ美しいピンク色の「35」という文字を撮ろうとスマホを見たら「iPhoneはロックされています 2時間47分後にもう一度操作してください」と表示されていて愕然とした。ストラップをつけて肩から下げていたため、ぴょんぴょんしてるあいだに勝手に死ぬほど誤操作されパスワードロックがかかってしまったようだ。甲子園の砂を持ち帰るかのようにステージを撮りたかったのに撮れない。そして公演時は会場でちりぢりになっていた友人とはとくに合流場所を決めていない。え、これどうすればいいの。いくら考えても方法は「数千人の中からリアルに友人を見つける」しかない。とりあえず、とりあえず早く出て会場入り口で待ち伏せしよう。退場の人混みは縫いようもなく、じりじりしながらでもとにかく一直線に進んで会場を出たら、なんと正面に友人が立っていた。奇跡を感じた瞬間。ねえねえ見てこれ、と泣きついてもうひとときも離れるもんかと心に誓い、もうひとりの友人と予約していた店に向かうことができた。さらには別口で行ってた友人もいて、連絡もらってて無視してる形になってたら申し訳なさ過ぎると心配になり、それも店の前に立って通り過ぎてゆく人々をいっしょうけんめい見ていたら遭遇することができた。その後も過去の写真を見ようとしたり、わからないことを検索しようとしたり、帰りの電車を調べようとしたりするたびにあっiPhoneロックされてんだった!と壁にぶち当たり続けスマホをベースに成り立っている生活を痛感することとなった。ほんとうにApple社はとんでもねえものを開発したもんだな。
帰りは現金できっぷを買った。現金で!券売機で!きっぷを買う!何年ぶりですか。買ったきっぷはどうやってなくさないようにもってるものだっけ、というのもわからなくなっていた。