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Photo by
t0m0y0
雫を集める森のように
雫の国にいた王子の夕暮れ
朝の反対側にある
それは
いちばん楽しい色のついた時間
波が石を転がして丸める
風が海を押して
絨毯みたいに転がって
太陽が丸いのも
それを真似したせいだと思っていた
ある日
絵描きが現れて
王子に絵を描いてみせた
知らない色をたくさん使って描いた
眠ったあとの夜の絵と
眩しく光る朝の絵と
誰かが泣いてる昼の絵だった
それから
絵描きはこう言った
「わたしは世界が描けます」と
地図を片手に
王子は何度も会いに行く
絵描きはいつも同じ場所で笑っいる
そのたびに雫の国は変わっていった
窓を開ける
星を見るために
雨の日には傘を差した
そして王子は
哀しい場所と怖い場所に
四角く印をつけた
夕暮れを四角で囲む
夜の反対が昼になって
朝ともう一つは忘れてしまって
ギンガムチェックの地図の上
いつの間にか
雫の国はなくなっていた
雨粒がバラバラでいるのは
いつまでも夕暮れが続くように
だから
やさしいフリして集めないで
集まった雫は飲みほされてしまうから
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