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気が付かなくなった頃

トイレをしながら床の溝にある砂埃を見る。
ホコリ。
それをゴミだから汚いと思う前、それはただの細かい粒だった。
公園の砂場にもあって、海の砂浜にもあって、ここにもある。そう思っていた頃は、これをかき集めるのが楽しかった。

テーブルの上にあるお菓子をひとつかみしてパソコンの前に戻る。
小袋に2枚入りのチョコチップクッキー。
ギザギザを開ける前に、ティッシュを一枚しいてから、ゆっくりあける。
クッキーを取り出すときも指で摘まむときもなるべくティッシュの上で済ませるのは、テーブルにクッキーの粉が飛び散らないようにするため。
クッキーを食べる前から、落ちる粉をのことを気にしている。
いつからするようになったのか。
そんな子に育てた覚えはありません。
見えるところにあると、ついつい食べてしまうお菓子に罪はない。

砂を集めると山みたいにできるからおもしろい。
クッキーがぽろっとこぼれた。美味しいのが少なくなっちゃった。残念。
そんなふうに育ちたかった。
砂の音はサラサラ。
粉の音はキラキラ。
もう聞くことのできなくなった音がたくさんあるからミュージックを聞く。
忘れてしまった音探し。

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雨音ムッツ
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