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ひとつの嘘

キミがついた嘘が
できるだけ最後のほうにあるように
そうだとしたら
ボクが悪いことにしやすいから

いまさっきの泣き顔だけなら
雪が降るから冬なんだと
信じるくらいに簡単で
今日で最後の夜に
なんてしたくないし
景色が見えなくなる準備が
できてないから

でも 例えばなんだけど
キミの嘘が もうすこし前で
「友達と出掛けてくる」って楽しそうにしていたのが 
もしも そうだったのなら
それは それでもいいから
それならば
それならば
この手の温度は
本当だってことだから

あまり考えたくはないけど
嘘が もうちょっとだけ前で
「ひとつだけ」ってのが
嘘だとしても
大丈夫だから
ランプの精には聞いてもらえない
ルール違反
「三つ叶う願いを 
四つにして」っていう
欲張りな願いも叶えてあげるから
ねえ
そういうことにしようか

そんなこと 無いとは思うけど
もし 
キミがついた嘘が 限りなく最後の方じゃなかったら
ふたりで「うそ、うそ」って笑って済ませればいいのかな
最初に会った他人に戻っても
キミのことを覚えていられるのかな
言葉にすれば もっと
もっと薄れていくから
なにか もっと話してみてほしい

春の次に 夏が来るのを知ったのは
最近になってからだから
なにかに期待していたいんだ
嘘も言い続ければ 本物になるって
どこかで聞いたことがあるから
試しになにか言ってみてよ

お願いだから
いま言った「ごめんなさい」が嘘でありますように

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雨音ムッツ
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