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ポエム・エッセイ

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ポエムのまとめです。わたしの頭の中は、こんな感じです。
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2024年7月の記事一覧

賢い奴の夏休み〔ポエム〕

夏休み 計画なんてたてるほうじゃなかった だから、初日からロケットスタートでつるみたい奴と好きなだけいる 暑くて溶け出した夏の時間 夜も昼もなく あるのは限りある夏 楽しみ方を知ってる奴は 上手いことスプーンを使って食べて 皮は捨てる あいつらがそうしてるあいだに オレはやっと退屈をおぼえた 昼寝もできない空の下 灰色の雲は眠気を誘うのに ミルキーな雲ばかり流れてくる 眩しくてかなわないから あっちへ行けと 扇風機の風を送った

透明反対主義〔ポエム〕

 声に出して伝えたい言葉は目に見えないのに、太陽は馬鹿みたいに照り続ける。そのくせ眩しいから堪らなくて細目にする。世界はいつも細長い。  どうにかしてカタチにしたがる。色を付けて絵を描いて、文字に起こして手紙にする。歌にして皆で震わせて、よく見えるように涙で洗い流したらやっと安心できた気がして覚えていられるんだ。  曇ったメガネを拭く前に、ふと、白く霞んだ世界には知らない何かがあるような気がして手を止めた。  そこに誰かいますか?

否定的思考〔詩〕

外が好きだった 空があって 匂いと風と 楽しいルールをつくって 笑って 喧嘩して 見上げながら反抗して 下を向くのは 不思議なものを見つけたとき 変わらないような気がした日 誰かが街を連れてきた それから 少しして 街と外が一緒になった日 夜が笑って見えて 朝が嫌になった 誰かが混ぜた みんなを騙すために

嘘と忘却の間〔ポエム〕

眼鏡をメガネクロスで拭いて汚れをとった。外は雨、またメガネが汚れる。 夜型は遺伝子でキマっているらしい。 だから、お前が苦しいときを気楽に過ごしてしまった。不幸を知らせる電話にもすぐにでることができた。 次の朝に涙がでた。これから始まる世界を洗い流すために。 頭の中でする会話はいつも最低で、雨の中でする鉛筆書きのスケッチブックみたいに汚いのに捨てられない。 溶けた世界が意味ありげに部屋の壁に飾られているのは、普通の日。 雨が汚れを流すのは、悪い日。 ねじれた木曜日。

スリッパ〔詩〕

ただ並んで置いてあるだけで ストーリー見せてくるんじゃないよ。 部屋用はもういらない わたしのはあるから。 ……。 そんな風に 足跡を残すのはずるいよ。

同仕様もない〔ポエム〕

ボコボコと雨雲が流れるのを下から観ていると、 雪が積もったあとの川のように見える。 途切れている雨雲の側面が白く光るから、 上には太陽があるんだと当たり前のことを思い、 また、 どこまで流れていくのか分からない 灰色の雨雲の濁流を無言で送り出す。 雨雲の腹は、遠くの 山々の頭すれすれのところから何かを舐め取り、 排水溝をひたひたにして騒ぎ、 屋根を打つ雨水を残して去っていった。 そんな熱気の中、駆け足で追いかけた。 いなくなった春を。

雨の日に傘をさすことみたいに〔詩〕

ある男はとても怖かった 忘れてしまうのが 冷静になってしまうのが いつか 原因はきっと 今なら否定するようなことなんだ 意味がないとか 本当にいるのかとか その先へは行けないとか 犠牲が大きいとか 疲れたとか 天気が悪いとか 嘘じゃなかった寂しさが 蒸し暑い夜の湿気と一緒に 欠けた月を満たして 終いには 嬉しい日に 間違って泣いてしまったりするから 雨が降る 傘をさすためじゃなく 涙を隠すために いつまでも土砂降りの中に立っていたら 気持ちだけを世界に残して 溶けて流れ

秘密裏〔詩〕

手紙には 自分を 喉のちょっと下にある 音がしない自分を 包む 静かにしているだけで どうしてか おしゃべりするより 伝わる ニ、三回折り曲げただけで 願いも 想いも 喜びも 哀しみも なんでか知らないけど はみ出さないから 抱きしめなくても あなたを感じます 授業中の 女友達に「回して」と渡される キミからの小さい手紙には なにが書いてあるか 分からないけど キミが笑っているから ボクはドキドキします 手紙には そんな効果もあります #シロクマ文芸部

ある日の昼前に〔詩〕

根拠の無い 愛だとか優しさとか そういったものを大切にした世界に 納得できない時間が訪れる だから分析し シンプルな項目に細分化して 順番に書き出していく それが解明するのは当たり前なくらい 彼は優秀だったから 世界は 再現可能な「根拠の無い」ことを 完全に複製して 価値が薄くなったことを気にせず 口にする 彼はひとり 黒板に書き出していく 自分が納得するまで チョークを押し当て 誰に見せるわけでもないのに 順番にこだわって書いた そんな ある日の昼前に シンプルな項目が