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『宿りして』を終えて(写真多め)

ごきげんよう! 春陽漁介です。

若手演出家コンクール2022が、2023年3月5日の結果発表にて全日程終了しました。

一次審査は『嫌い』の映像。
二次審査は『ビギナー♀』
最終審査は『宿りして』

昨年5月頃の申し込みから考えると約10ヶ月という長いコンクール期間で、3作品も審査していただきました。
今後の糧になるお言葉をたくさんいただき、尊敬出来る方とのお話しし、貴重な時間と経験を頂戴しました。
演出者協会事務局の皆さまと、審査員の皆さま、コンクール運営スタッフの皆さまには大変お世話になりました。出場者を支えてくださりありがとうございました。

仕込み中① 時間無いから全ての部署が同時進行。

上記3作品を共に創ってくださった皆さまにも感謝ばかりです。
演出を審査していただくというのは、当然僕一人ではどうにもならないわけで、演出を具現化してくれるキャストスタッフ皆さまの力があってこそ。
外注スタッフは、劇伴にShinichiro Ozawaさん。舞台監督に北島康伸さん。照明に安永瞬さん。音響に游也さん。
ええ、いつものメンバーです。今回も各部署から積極的に創作してくれました。

仕込み中② 幕を結ぶ高品。幕を支える森島。ただ見つめる窪田。

そもそも、5454の創作スタイルが関係者全員からたくさんのアイディアをもらって作ってるものですから、正直、僕の名前でコンクール出ちゃいけないんじゃないかとさえ思います。

特に劇団員には多大に支えてもらっちゃってるわけで。
コンクールの申し込みだって劇団員がやってくれたから無事に提出出来たわけで。
そんな中で「春陽漁介」の名前を立てて、力を尽くしてくれた皆さまには、いつまでも感謝を忘れてはいかんな、と。

仕込み中③ 幕を支える柱を全うする及川

ご観劇くださった皆さま、いつも応援してくださる皆さまにも大きな感謝を。
劇団の創作意欲は、作品を楽しんでくださる方がいて生まれます。最終審査の『宿りして』だって、コンクール作品として作り始めたのに、気づけばお客様にどう楽しんでもらうか、という部分が最重要になっていました。

5454の客観視を担ってくれる堀(カメラへの警戒心0)と横山(ピースが鋭利)

2月28日の公演のアフタートークで、審査員に言われたんです。

「台詞で説明し過ぎ。お客さんを信じろよ。自分でも台詞に書いてただろ」
「そうですよねぇ(ヘラヘラ)」

なんて、トークショーの盛り上がり重視な姿勢を取ってしまいましたが、じっくり考えて、やっぱり僕らはお客様を信じて作っていると言えます。

現実の歪みを恐れる花山先生とフラットな橘先生

僕は確かに、物語を伝える為の台詞が多いタイプです。
でもそれは、起こった出来事をわかりやすく、丁寧に伝えることで、お客様それぞれの実体験に置き換えてもらったり、日々の生活の中にドラマを作ってもらえると思っているから。
舞台上で起こるドラマを楽しんでもらうことが主ではなく(もちろん舞台も楽しんで欲しいけど)、一番の目的は、劇場を出た後のそれぞれの物語を楽しんでもらうこと。
謎が残り過ぎたり、途中でわからなくなって観ることを諦めてしまうようなことにはなりたくないと思っています。

ドラマを作りに行く小野先生ともらい事故の在原先生。

そんなこと言ってると、説明し過ぎで飽きるってこともあるんじゃない?

そうですよね。わかります。
でも、単純な物語の中にたくさんの、いや、たっっくさんのテーマを散りばめています。それはもう、物語と関係ないことさえある。
物語を追うのが余裕だったら、もっとあれこれ掘ってくれて大丈夫だよ。
そう言えるように作ってますし、どんなステータスの人が見ても、たくさんの楽しみ方が出来る作品にしていかな、と改めて決意する次第です。

列をなす箱馬。たくさんの役目を担ってくれました。

っていうか、言葉を使い過ぎって言うけど、現代の人との繋がり方って文面が主体のような気がしますよね。SNSやメッセージアプリがコミュニケーションの中心にある今って、体よりも言葉を多用していく時代になってるのでは?
現代劇をやってる我々にとって、言葉(台詞)の多用こそ現代人の感覚にアプローチしやすいような気もします。

浮く病室。
この為に機材を2つ追加してくれた照明安永に深く礼。

結局のところ、どんな作品が素晴らしいのか、舞台芸術において何が正しいのか、なんてものはわからないことだらけです。
だから、やっぱり思うわけです。
お客様が笑いながら観てくれて、テーマを一緒に考えてくれて、それぞれの日常に持ち帰ってくれることが幸せです。
ご来場とご視聴、本当にありがとうございました。

『宿りして』の主役である観客。

たくさんの応援をいただいた中で最優秀賞を取れなかったことは申し訳なく思います。でも、あまり悔しさはなくて。
コンクールに出なければあんなにメタ作品に振り切って作ることはなかったですし、『宿りして』が生まれたことの嬉しさが勝っています。

15分長回しのカフェ。一番稽古したね。

二次審査の批評で、結構辛口な審査をいただいたんですね。
「許せねぇ」「わかってねぇ」「夜道気をつけろよ?」とか思ってたんです。
でも、そのおかげで5454の作品に改めて向き合う時間を持てて、劇団員&高品くんと百波ちゃんとギリギリまで試行錯誤が出来て、5454の楽しさを再認識出来て……
あぁ、ありがたい機会いただちまったな、くそう。
という気持ちです。

演出助手も担った及川がたまに見せる虚無。

そう。高品くんと百波ちゃんには、すごく助けてもらいまして。
劇団員と同じモチベーションでコンクールに挑んでくれて、二人が生み出したキャラクターがそれはそれは魅力的で。
『ビギナー♀』まとめでも書きましたが、高品くんの台詞の活かし方と、百波ちゃんの聞く力。何よりお客様を惹きつける力には脱帽です。
5454俳優陣が本公演とは少し違うキャラクターを作れたのも、二人のおかげです。
本当にありがとうございました。

劇場での準備時間がないので、ご飯でコミュニケーション。

今コンクールを共に戦ったニノさん、西田くん、青葉くんのお三方にたくさんの刺激をいただきました。
全然作風が違うけど、物語を届けようとしている場所に繋がるモノを感じて、嬉しくて。
同世代(と言っていいのかわかんないけど)のクリエイターの思考やこだわりに触れることで、自分に足りない部分と自分が大事にすべき部分を知ることが出来ました。
これからも切磋琢磨出来る関係でいられたら嬉しいですし、そういられるよう頑張らねば。

コンクール終わり、最優秀を逃した男たち3人で下北沢を闊歩。
撮影は、青葉くん。

……創作秘話みたいなものを書くべきだとわかりながら、思いつくままに書いてたら結局感謝の気持ち説明でそこそこな文字数になってしまいました。
説明過多な癖は、ゆっくりじっくり直していこうと思います。

最後になりますが、『宿りして』を全部終え、男たちでお茶している時に高品くんと窪田に撮らされた写真を供養させてください。
この写真が、本当意味わかんなくて。

高品「漁介さん。僕ら、甘いドリンク頼みました」
春陽「あ、うん(見ればわかる)」
窪田「写真撮ってもらっていい?」
春陽「あ……うん(この人たち、マジで何言ってんだろ。カメラパシャ)」

10ヶ月のコンクール期間で一番の謎。

クリームソーダにハニカム高品とミックスジュースに負けない甘い微笑みの窪田。

春陽 拝

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