すすぎの高校演劇部に想いを寄せて
ごきげんよう! 春陽漁介です。
舞台『ビギナー♀』が終演して、あっという間に1ヶ月半が経ち、今年もまもなく終わります。改めて思い返してもやっぱり楽しい公演で、2022年がとても充実した1年になったことに幸せいっぱいです。
『ビギナー♀』に限らず、昨日まで公演をしていた『メリーの不思議な夢』についても書き残しておきたいと思っておりますが、それは新年の挨拶と共に。
今日は、『ビギナー♀』キャストの最後のご紹介にどうぞお付き合いください。
それでは、すすぎの高校演劇部に想いを寄せて。
村岡 萌(むらおかもえ)役:山本愛友
ある16歳の少女は、入学した高校の演劇部が上演していた舞台に魅かれて演劇部に入部。そして、いつかその作品を作った劇団に出たいと願い、大学受験真っ只中にオーディションへ。18歳になった少女は、大人たちの中で緊張しながらも思い切り演劇を楽しむ姿がキラキラと輝いていて、見事舞台出演を決める。
そんな、ショートフィルムにでもありそうな物語の主人公が、山本さん。
演劇部という設定を使いたいと思えたのは、そんな彼女の経歴が持つ説得力があったからで、見事に自分を生かした役作りをしてくれました。
小さくて可愛いフォルムに、よく通る声と力強いエネルギー。ギターを弾けて、瑞々しい歌声も持っている。すでにたくさんの武器がありながら、これからの成長も期待させてくれます。
写真に写る萌の表情がお気に入り。ぼんやりとした希望に信じながらも、上手く進めないもどかしさが感じ取れます。
槙野 桐乃(まきのきりの)役:佐々木光
佐々木さんは、物怖じしないメンタルの強さを持っていて、オーディションでは、あまりに欲のない自然な芝居に驚かされました。そんなナチュラルな会話能力を持つ一方で、デフォルメした感情表現も最高で。演劇部シーンで笑いを作れたのも彼女の能力に頼るところが大きかったように思います。
演劇部員たちは、自分の役以外にも様々なモブキャラを担ってもらいました。その中でも強烈なインパクトがあったのが、佐々木さんが演じた理枝の母。台詞のないモブキャラながら、異様な存在感が写真一枚でも伝わります。
演じる上でとても重要な、「人間を捉える感性」が発達していて、彼女の私生活のことはわかりませんが、常に俯瞰した目を持ちながら生きているのだろうな、と感じます。
どんな作品でも、どんな役どころでも担っていける俳優になること間違いなしで、とても楽しみです。
都築 栞(つづきしおり)役:中心愛
一見、凛とした美しさとカッコよさがあるのに、時折挙動不審だったり、クシャっと笑っていたり。
最初、人見知りだけど、慣れるととても人懐っこくて甘え上手だったり。
基本、器用な芝居をするけど、急に攻めた演技プランを出してきたり。
オーディションで出会った時から千秋楽まで様々な側面を見せてくれてました。多分、昨日の中さんと今日の中さんは別の人。また一緒に芝居を作る時は、全く別の中さんになっているのだろう、とすでにワクワクします。
写真は、迷う演劇部を真っ直ぐに正すシーン。この綺麗な眼差しで「私はこれでいいと思う」と、仲間を想いながら語る台詞が、とても好きでした。少女たちの生き様というか、大人に迷わされてたまるか、という強い心を感じる表情です。
多方面で活躍出来る彼女が、これからも真っ直ぐに、お芝居の楽しさを感じながら突き進んでくれるのを期待しています。
梶 栄二(かじえいじ)役:窪田道聡
ついに最後の紹介となります。
演劇部顧問として、スナックわかばのはぐれものとして、劇団5454のお兄ポジションとして、全体を少し外側から見守ってくれた窪田。
今回の役柄としては、偏屈でめんどくさい奴ではありましたが、窪田の持つ柔らかさで人間味が溢れ、どうも憎めない、むしろ頑固さが愛らしいと感じるほどのキャラクターに仕上げてくれました。
写真に写る、このやさぐれ雰囲気がとても好き。カッコいいのに、情けない。絶妙なバランスです。
作中で、スナックと高校生を繋ぐように、今作のメンバーみんなを繋ぐ役目を常に担ってくれました。
以上、4名がすすぎの高校演劇部メンバーです。
他のチームに比べると、生徒と顧問という立場の違いが明確なチームだからこそ膨らむドラマがたくさんありました。そして、高校生役3人の初々しさと、顧問の渋さが、物語全体を彩ってくれたように感じます。
大人になって思い出せば、高校生活なんて成長過程のたった1ページ。3人はいつか忘れちゃうのかなぁ、なんて寂しくなったりもします。
でもこの日、確かに目的に向かって一生懸命に生きていたみんなを見守っていた栄二先生と春陽がおりました。その時間がとても幸せでした。
長きに渡り、『ビギナー♀』の出演者をご紹介させていただきました。
お付き合いありがとうございました。
本当に、本当に、魅力的な人たちに恵まれて駆け抜けた公演でした。
キャストも、スタッフも、ご協力してくれた皆様も、そして何よりお客様にあらためて、心の奥の奥から感謝申し上げます。
(心の奥から溜めて)……ありがとうございましたッ!!
まだパンフレットなどの公演グッズはBASEにてまだ販売しておりますので、ぜひ覗いてみてください。
最後になりますが、10年の節目を迎えた劇団5454は、『ビギナー♀』をスタートラインにして、また進んで参ります。
これからも、お客様に楽しんでいただける舞台にすることはもちろん、劇団員も、キャストも、スタッフも、みんなで楽しみながら創作をしていきます。
これからも、どうか応援をよろしくお願いします。
それでは、良いお年をお迎えください。
春陽漁介