【スタッフヒストリー】安田悠人 〜常に感じていた「こうじゃない感」。美容師としてあるべき姿を求めて〜
*この記事はらふるウェブページからの転載です。
らふるには「くらしを紡ぎ、笑顔をつなぐ」というお店の理念のもと、様々な個性をもつスタッフが集まっています。
このスタッフヒストリーでは、それぞれのメンバーのこれまでを振り返りながら、どんな想いをもって、らふるで働いているかを紹介します。
今回は、らふる創業時からのメンバーで11月からは「らふる1号店」の店長となるスタイリスト安田悠人(やすだゆうと)のヒストリーです。
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やるんだったら、中途半端にやらない。
はじめましての方も、いつもお店にお越しいただいている方も、ご覧いただきありがとうございます。安田です。
今回はぼくが美容師になった理由、そしてらふるをスタートさせることになった経緯や、ぼくがハサミをにぎる上で大切にしていることなどを伝えられたらなと思います。
僕はとにかく天邪鬼な性格で、わざと人に逆らうひねくれたところがあります。誰かに言われることもあるし、自分でもそう思う。自他共に認める天邪鬼です。
「ダメ」と言われればやりたくなるし、「やってもいいよ!」と言われるとやりたくなくなってしまうみたいな(笑)。。
大人になったのでだいぶ聞き分けは良くなりましたが、それでも厄介な性格だと思います。
中学の時に、あまりにも勉強をしなかったので、先生から「お前は、名前を書けば受かるくらいの高校にしか、どうせ進学できない」と言われました。
しかも、三者面談の親の前で。
その発言にカチンときて、猛勉強し、地元で一番頭がいいと言われる高校に進学しました。(今考えると先生に一本取られた気もしますが。)
高校に入ると、周りは秀才ばかり。
生徒も先生も、人生で何になりたいかは考えなくていい、今は受験のことだけを考えろという風潮で、いい大学に入学することが全てみたいな雰囲気。
どこかそれに違和感を感じ、これまた安田の天邪鬼スイッチに火をつけたのです。
「本当に自分がやりたいことを、今見つけよう」
ピンときたのが美容師さん。
ヘアカタログ雑誌を読んでいて「カッコいい」と思った髪型は全て同じスタイリストが担当していたんです。高校生なりに、カッコいいと感じたのには理由があるはず。カッコいいスタイルをつくり続けるこの美容師さんは凄い。「こんな風に自分もなりたい」と素直に憧れたこと。
それが僕の美容師人生のはじまりでした。
でも、まわりが大学受験をするなかで、美容学校に進むぼくは学校でかなり浮いた存在。家族も大学受験するものだと思っていたようで、美容師になると伝えた時には驚かれました。「せっかくいい高校に入ったのだがら、いい大学にいってほしい」という期待もあり、最初はいい顔されませんでした。
当時のぼくは始め「地元の美容学校でいいから行きたい」と告げていたのですがこれが大失敗。
「やるんだったら、中途半端にやるな」と怒られてしまいました。
「美容師にとって東京の青山が本場なのだったら、そこで働ける状態を目指せ」と。東京の美容学校に通うことを条件に、許可がおりました。
もちろん地元の美容学校がダメな訳ではなく、僕自身の「とりあえず」な気持ちに対して叱ってくれた両親。
この一言がなければ、美容師を続けてこれなかったかもしれません。
上の人が「絶対」という文化に感じる違和感
東京の美容学校を卒業し、はじめての就職先は、青山にある有名サロン。
芸能人のお客さんが何人もいて、いわゆるカリスマ美容師が所属するキラキラしたサロンです。
美容師をやるからには、本場で腕を磨きたいと考えていたぼくには、理想的な職場に思えました。ただ、現実は甘くない。予想はしていましたが厳しい世界でした。
先輩の言うことは絶対で、上の人が白と言えば、カラスも白くなるみたいな文化。
教わるのはシャンプーくらいで、ハサミを握る人は神様のような存在であり、更にその上の役職を持つ人たちになると話しかけてはいけない。そんな雰囲気を醸し出していました。
そこで働いた5年間はとにかく先輩たちから技を盗みました。
スタイリスト数も多いサロンだったので、各種スペシャリストが揃っています。
前髪カットならこの人、パーマの巻き方ならこの人みたいな感じです。
それぞれの先輩に頼みこんで、技や知識を教えてもらいました。
日本でトップクラスの人たちから教われたことは、僕の美容の基礎であり大きな財産です。
しかし、上の人たちが言うことが絶対という文化に、疑問を抱く日々。
老舗であり、有名芸能人のスタイリングで名を馳せてきた成功体験を持っているので、
「自分たちのやり方はコレ」と頑なにスタイルを崩すことはしません。
ぼくは、お客様や時代のニーズによって、やり方は柔軟に変えていくべきと思っていたので、次第に違和感を覚えるようになってきました。
また、お客様への対応が雑なのではないかと思うところも。
カリスマ美容師の技術は確かにすごいです。
その凄腕を持って、5分くらいでカットの大まかな部分を終わらせます。
すると、あとはアシスタントにバトンタッチで、実際にひとりのお客様に接するのはほんのちょっとの時間なんです。せっかく楽しみに予約してきたお客様に対して、この対応はどうなんだろうと、疑問符が湧きました。
こうして、「美容師のあり方として、違うあり方もあるはず」と思い、その青山のサロンを後にすることにしました。
丁寧さを重視するか、効率を優先するか?
カットの理論を深く学びたいと、急に門を叩き働くことになったサロンは、青山とは真逆の雰囲気。落ち着いていてひとりひとりのお客様としっかり向き合うサロン。
ひとりのお客様のカットに1時間30分もかけるのです。それだけ時間をかけていたら、普通の美容院だったら絶対に怒られます(笑)。でも、それだけ時間をかけるのには、きちんとした理論があって、ものすごく丁寧にお客様の髪を扱うスタイリストが店を構える小さなサロンでした。
ぼくは、その人のことを「師匠」と呼んでいますが、髪だけでなく、お客様との向き合い方も実に丁寧。
スタッフは少人数で、サロンの場所は世田谷にあり、お客様も青山と比べると落ち着いた方々ばかり。こんなに丁寧にカットをするなんて、ぼくにとっては未知のこと。本当に多くのことを学ばせていただきました。お客様からも可愛がってもらい、すごくいい経験となりました。
一方、ぼく自身の生活に大きな変化があり、結婚をし、子供が生まれました。
もう少し稼がないといけない。その時、知り合いからのツテで、表参道のサロンでの店長業務を紹介され、そちらに移ることにしました。
正直、そこでの仕事は、自分には合わないものでした。
値段を極力下げ、客数をなるべく多くこなし、お客様の満足を最低限保ちながら、利益を確保する。オーナーの意向で、効率よく稼ぐことを最優先するお店だったのです。
経営者として、このやり方は間違ってないかもしれませんが、働く身としてはまるで機械のような感じで、ハサミを持っていてもやり甲斐を感じられませんでした。
ただ、家族のいる身なので、わがままも言ってはいられません。
やり方は嫌だけど、給料に不満はないからこのまま続けるべきか…
と思い悩んでいた時に、らふるの代表である中村からのLINEメッセージが。
「やす、店やるよ。どこがいい?」
常に感じていた「こうじゃない感」を払拭する挑戦
じつは、中村とは美容学校に通っていた頃に同じ寮に住んでいた仲。
「いつか一緒に店をやろう」という口約束を中村はずっと覚えていたんです。
美容学校を卒業してから、青山、世田谷、表参道と3つのサロンで働きましたが、振り返ってみると、その全てに抱いていた「こうじゃない感」。
学ぶべきところはありつつも、あるべきサロンの姿とは違うんだよなぁ…と。
だから、誰かの下で働くのではなく、中村と一緒に自分で店をつくるという選択肢は、とても魅力的に映りました。
ですが、ゼロから開業して、成功する保証なんてどこにもない。
むしろ、競争が激しい美容の世界では、うまくいかないケースがほとんど。
家族のいる身で、この選択は正しいものかと悩みました。
しかし、当時の僕は毎日の仕事に相当げんなりしていたんでしょうね。
毎日、職場から暗い顔をして帰ってくるぼくを見て、「そんな状態であれば、挑戦してみたほうがいいんじゃない?」と、最後は妻が背中を押してくれました。
こうして中村と一緒に店をやることになり、2017年4月にオープンしたのが『らふる』です。なんとか、ここまでやってくることができました(笑)。
ぼくがお店のあり方として大切にしているのが「等身大」でいること。
変に自分たちを華美に見せない。盛らない。嘘をつかない。そういったことです。
当たり前のことかもしれませんが、SNSやWebサイトで見栄えをよく見せて、お客様の来店を促進させることが慣習となりつつある美容業界のあり方に違和感を覚えていたので、自分たちはそういったことは辞めよう。
ありのままでいこうとオープン当初から、中村と話していました。
自分たちが信じるやり方をちゃんとやれば、お客様も価値を感じてくれるはず。
飾ることも、変に値下げに逃げることもせず。どんなに苦しい時も、そこだけはブラさずにやってきました。結果的に、それがよかったのかなと思います。
とはいえ、オープンした当初は、このやり方で本当に店が存続できるか不安な時期もありました。地道に自分たちがいいと信じるものを重ね上げていくぼくらのやり方は、すぐに結果が現れるものではありません。借金もあるし、焦る気持ちもありました。
でも、そういうときに相方中村がよく口にしていたのが「焦らず行こう」。正直この一言にはすごく救われました。
「らふるらしさって、何だろう」
何百回も擦り合わせてきた原点を大切に、これからも等身大であり続けるというスタンスを持ち続けていきたいと思います。
変わらないために、変わっていく
最後に、「らふるらしさ」とは何かと考えると「くらしを紡ぎ、笑顔をつなぐ」というお店の理念に対して、みんなが納得できていることかなと思います。
美容室で働くと、どうしてもオーナーの発言力が強くなり、上の意見が絶対のような雰囲気が出てきます。ぼくが働いてきた職場もそうでした。
でも、らふるでは代表であり相方の中村が、みんなの意見に耳を傾けてくれます。
その意見が、理念を体現する上で必要と思えるなら、やってみる。そことブレるようであれば再考する。そういったことを繰り返しながら、根っこの部分である「くらしを紡ぎ、笑顔をつなぐ」を、みんなで育てている感覚があります。
きっと、時代や社会の変化によって、この理念を体現する方法は変わっていくはず。
ぼくらのカットやヘアスタイルのご提案自体も変化していくはずです。
でも、根本にある理念や信念はブラさない。それが「らふるらしさ」なのかなと思います。
「暮らしをつむぎ、笑顔を紡ぐ」を共有する大切さ
美容院は単に髪を整えるだけでなく、心を整え、暮らしをちょっと豊かにするための場所。らふるのスタッフはみんな、それがしっかり見えているのだと思います。
そんな風に、スタッフが同じものを見据えながら活動できているサロンは、多くないはず。
「くらしを紡ぎ、笑顔をつなぐ」という理念自体も、お店をやりながら、「美容室や美容師の本質的な価値って何だろう?」と、みんなで考えて辿り着いた答えです。もしかしたら、この先変わっていくこともあるかもしれません。
変わらないために、変わっていく。
そんなことを、これからも『らふる』で追求していけたらと思います。
編集協力:井手 桂司
【お知らせ】新店舗展開に伴いスタッフ募集中!
『らふる』は、「暮らしを紡ぎ、笑顔をつなぐ」を理念に「末長く楽しめる髪をあなたに」というビジョンを掲げています。
目標は100年続く美容室となること。
開業からここまで、「こうした方がより良いね」「こうした方がもっと楽しいね」と思うことに忠実に、物事全てをトップダウンで決めていくのではなく、みんなで意見を出し合い、話し合い、さまざまな変化をつけながら運営をしてきました。
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