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しっぽは正直

尾は口ほどにものをいう



 ヒトにはない器官の代表、しっぽ。骨の連続が成す曲線美、その上を覆う柔らかな獣毛。僕は変身描写の中でもしっぽが生えてくる描写が一番好きです。ノーマズルの耳尻尾どまりでも、その描き方が丁寧だと推せる。そして尾には見た目だけではない魅力が詰まっています。それは、感情表現の手段としてのしっぽ。
 動物は言葉を発せないぶん、種族によって様々なコミュニケーション手段が取られています。匂いを通じてサインを読みとったり、重低音を響かせて感情を伝えたり。そんな動物の伝達手段だからこそ、ヒトがその種に変えられたときには、隠そうと思っても隠せないものなのかもしれません。
 中でもしっぽはその動きが分かりやすいし、異なる種であるヒトにすらどういう気分か、分かってしまうくらいのエネルギーがあります。好きな人に抱きしめられて、自分はヒトなのにという思いよりも先行して喜びの表現をしてしまったり、生命の危機を感じるほどの相手を前にして威嚇はするもののその怯えが丸わかりになってしまったり。
 隠してるはずがモロ見え、という状況だけでなく、本来の使い方の、相手にその感情を全力で伝える術として活用する描写も好きです。しっぽを使った感情表現はヒトにはできない手段で言葉よりもダイレクトに相手に伝わるんじゃないかな、と思っています。あと、互いにしっぽを交じらせる愛情表現もメチャクチャ滾りますね。

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