そんなことのために怒ってくれた、その気持ちに泣いた。

卒業の季節が　
すぐそこまで近づいてきている。

私のクラスの学生たちも
授業は全て終えて
登校はあと２回。

入学のはじめましてから
ここまであっという間だった。

今回担任したクラスは、

色々な意味で自由奔放な学生が
数名いたものの

大半は今まで見たことないくらい
真面目で穏やかな学生が多く
揉め事もほとんどなかった。

珍しい。かなりレアケース。

そんな彼ら、彼女たちの中で
卒業間際に事件が起きた。

それは、ある日の放課後…
卒業アルバムの委員たちが何名か
教室に残っていたので声を掛けた。

…ん？

いつも笑顔で優しいYちゃんの
様子がおかしい。

少し雑談をしていると、
帰った学生の机の上に　
落書きのような紙がおいてあり

なにかと思ってめくると…

そこには

ちびまる子ちゃんに出てきそうな
キャラのようなものを
殴り書きしたようなイラストが。

多分…女性を描いてる？
妖怪…？いやオモシロい？

よくわからず
『これなに？』と聞いたら

そこにいたメンバーは
ギョッとして

『先生…見ちゃいました？』
『それ、どう思います？』

と、返してきたので

『え？なかなか個性的だけど
　オモシロくない？(爆笑)』

と、言うと

Yちゃんは思い余ったように
口を開き

『もう、見られたなら話します…
　それ、先生の似顔絵なんです』

と、悲しそうに言うので
私は更に更に爆笑しながら

『えー？そうなんだ！(爆笑）』

と、返した。

すると…Yちゃんは続けて

『実は、卒業アルバムの中に
　一人ずつ先生の似顔絵を描いて
　入れることになって。

　みんな笑顔のイラストを可愛いく
　描いたんです。それなのに…
　◯◯君のこれ…ヒドイ‼
　先生こんなんじゃない‼

　描いてもらった人の気持ちを
　全然考えてないですよね？
　苦手だとしても描き方ありますよ！

　クラスみんな初めてザワついて
　「ないわー」って…

　先生、悲しくないですか？
　イヤな気持ちになりませんか？』

と、怒りと悲しみの半々な感じで
訴えてきた。

…え？

そこでそんなに怒ってくれたの？

普段、穏やかで淡々としていた
クラスの学生たちの
予想外の反応に驚いた私。

みんな純粋すぎる。

…まあ、たしかに
なかなかの画伯的な作品で。笑
(アメトーク出れそうなクオリティ）

でも、本当に絵が苦手な人もいるし

描いてくれた◯◯君は
普段からかなり不器用なタイプだから
全然想定内。笑

なにも気にならなかった。笑

だからこそ…その

みんなの気持ちに　
泣きそうになった。

とりあえず、
泣きそうなのはグッとこらえて(笑)

『いやいやいや笑

　悪気はないだろうし、
　絵が苦手だとしたら描くの
　大変だったと思うよ！

　これくらいのクオリティは
　全然想定内！笑
　オモシロいから笑

　それより、そんなことで
　怒ったり色々考えてくれて
　本当ありがとうねー‼』

と、笑顔で伝え教室を出た。

今のクラスは
穏やかで真面目な分、
あまり感情を出さないクラスなので

いつも
嬉しいのか、楽しいのか
想いが届いてるのか響いてるのか
微妙にわかりずらい部分があったけど

卒業間際になり

今回の出来事で
学生の気持ちが深く刺さってきた。

……ありがたい。

気持ちを掛けてもらえたこと。
改めて
心の底から感謝した。

クラスの学生に会えるのは
残りわずか…

最後まで最大限感謝し、

引き続き
全員が笑顔で卒業出来るよう
全力で関わろうと思う。

ありがとうみんな。

本当にありがとう。
いつもありがとう。