小説:河川敷と、タバコと、瑠璃色と。第7話
前回
7.神崎宗助と和泉真菜
綱島駅から一時間ほど乗り継いで降り立った上野駅。
じりじりと焼けつくような暑さの中、黄緑色の葉を通した日差しがアスファルトを照りつける。はるかにごったがえす人口密度と鶴見川の川幅ほどに広がった通りが四方に伸びている。公園改札を出てまっすぐと進むと、緑地じみた敷地に、自然と同化したような風貌の屋敷が現れる。口コミで話題のカフェテリア、その優待券が2枚ぼくの手元に握られていた。頭上を覆う葉の形が引き延ばされ、まばらな影が頼りなさげな紙切れに投