プロローグ こんな時間に回したって、季節柄夜〜朝は洗濯物が湿気で乾きゃしない。そう思いながら夜11時過ぎ、やっと動くようになった体を布団から起こし、洗濯を開始する。これで40分は寝れない時間に拘束されるね。 さてどうしようか。 YouTubeはさっきまでずっと見てた。 お腹はすいてない。 一先ずはお香を焚いてみる。 部屋の中がみるみるうちにフルーティな香りに包まれていく。 最近知ったスウェーデンのfikaという文化について調べながら、やはりウトウトしていることに気付
夕方6時過ぎ、大宮から高崎に向かう電車に乗り、 あとは座っているだけになったためようやく雑踏をイヤホンでかき消すことができるようになった。 ぎゅうぎゅうな車両内で、脳内だけはパーソナルスペースをとりたくてノイズキャンセリングを押す。 何か物言いたげなそんな可愛くない横顔のOL、日焼けしたバカそうな男子中学生たち、勉強なんかしていないであろう女子大生たち、疲れきって立ったまま寝ている作業服の男、強面で刺青の入っているガタイのいい極道面。 電車は個性を運んでいた。 北鴻巣に
夜は更け、本格的に早く寝ないと行けない時間になってしまったのだが、俺は未だ山道を走っている。 面倒くさい仕事の用事を終え車で帰宅している最中なのだが、どうも今日の出先は遠く、山を超えて帰らなければならない。 「明日も仕事だのになんで俺だけこんな、、」 シュッ! タバコに火をつけて、誰もいない真っ暗な山道を車は走る。 同僚は皆会社から近い地域を担当していて、比較的楽に帰れるらしい。奴らにはみんな家族がいて、俺にはいないから遠くでもいいってことになってるのか???
かける君、最後のお願いです。 私を殺して、綺麗な海沿いで燃やして欲しいのです。 犯してはいけないことだと、分かっています。 ただ、私にとって棺桶は狭いのです。さざ波を聴きながら、自然と一つになって終わりたい。冷たい波にほだされながら眠りたい。最後まで何も叶わなかった人生です。一つだけ、叶えてくれないでしょうか。 寝ている彼女の枕元に僕宛ての手紙があった。 これまでの思い出が胸をつんざいて、手紙を握る手に自然と力が籠る。皺がつかないように手紙を大事に戻して、彼女の最後と向き
恋や愛、なにもかもうまく行かなくなった時、 現実に酷く苦しんだ時に一つのクセがつきました。 それは、 自分の首を強く締められている妄想をすること。 実際にはやってはいませんしいけません。 頸動脈失神はクセになってしまい〼。 もうひとつは、 頭を棍棒や餅つきの杵などで潰される妄想をすること。 勿論実際にはやってはいませんしいけません。 しかし、 自分をもう無いものとして考えるには丁度いいのかもしれないのです。 すっと楽になって寝れる夜があるのです。 結局人間
遠くを眺めている 昼が夕方に変わる刻 蜃気楼にぼやける工業地帯 そびえ立つビル群 薄い水色にオレンジを1滴垂らした空 雲はレースのカーテンの様に空に広がる 遠くで風が鳴っている あなたは ヒラエスになった わたしは あなたにもう帰れない 温度も 声も 夜も 朝も あなたがいなくなって 変わってしまった あなたは ヒラエスになった 叶うなら また触れたかった 日が暮れて 空は 濃紺になった 工業地帯は明るくなった ビル群は航空障