ちいちゃんのかげおくり

『ちいちゃんのかげおくり』というものをご存知だろうか。
私は小学生の頃に一度アニメを見せられたことがある。原作などがあるのかは分からない。
本来であれば調べて概要を説明すべきなのだが、調べるのが怖いので気になるのであれば各自で調べてほしい。

「見せられた」と言ったように、私は自分が見たくて見たわけではない。
私が当作品を見たのは小学校低学年の頃の夏休み。その日は登校日で学校に行っていた。ここら辺の記憶は曖昧なのだが、自分のクラスの生徒か同学年の生徒かが一つの教室に集められ、ビデオを見る時間があった。その時に見せられたのが当作品だった。
当作品は戦争を題材にしたもので、空襲が鳴り響いたり防空壕に逃げ込むなどの描写があることは覚えている。記憶の限りでは、私が初めて「戦争」というものに触れたのはこの時で、その戦争の描写が当時の私にはとても怖かった。
それ以来、戦争が一種のトラウマのようにこびりついている。

人は時々「戦争のことについて、学ばなければならない!」と言うが、戦争の怖さを知るよりも先に学ぶことの怖さを知ってしまった私には、それが出来ない。あの時よりは成長しているし、もう怖くないかもしれないが、またあの時のような思いをするかもしれない。怖い思いはしたくない。

ちいちゃんのかげおくりを見たあの日、私は怖くて寝られなかった。父に抱えられずっと泣いていた。母は学校に苦情を入れてくれていた。

怖くて調べることも学ぶことも出来ず、どういうものなのかを詳しく知ることが出来ない私には、戦争について学ぶことの大切さは分からない。しかし、学び方やタイミングの重要さは痛いほど分かる。
場合によっては学ぶどころかトラウマを植え付けてしまうことも知ってほしい。
ただ教えるだけじゃなくメンタルケアも必要で、それほどにセンシティブなことであると分かってほしい。